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CAAT(コンピュータ利用監査技法)を使い始めて (第1回)

川島 肇

川島 肇

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2017年5月30日

『AI(人口頭脳)に奪われる仕事』という話題が、雑誌などでよく特集されている。仕事を奪われるという言い方をするとマイナスの意味しかないが、人がやらなくてもいい仕事をAI(機械)が代わりにやってくれると考えると決して悪い話しだけではないとも考えられる。ロボットに税金を課すロボット税の検討も真剣に議論が始まっているようでこの話題は事欠かない。

会計の分野に目を向けると、『機械が奪う職業ランキングの上位』には会計士の職業が常に上位にランキングされている。エクセルの1つのセルの数値を別に移し替える資料作りは真っ先にターゲットになるようで、この流れの一端にCAAT(Computer-assisted audit techniques)も入るのかもしれない。一部の大手企業や官公庁を除いてはまだ主流ではないかもしれないが、会計処理がデータ化されるにつれてCAATは加速度的に進化を遂げていくのではないかと思う。

その一方で、現実の現場では以下のような事も起こっている。
・データベース化された会計情報に肝心な情報が欠けていて有効な分析ができない、或いは、バグが含まれてそのままではデータの分析処理ができない。
・高額な監査ソフトを購入したものの、分析する担当者にITの知識がなく、応用が効かずに基本的な機能しか使えていない。
・ERPを導入した結果、自動処理で発生した大量のデータを処理しきれずにいる。
ただ、このような葛藤を抱えているにしてもCAATは有用なツールに違いない。少しずつ使い方に慣れて、その優位性を活かしていくべきだと思う。

具体的にはCAATの導入で、以下の点が変わって来る。従来の監査では紙ベースで入手した帳票類の媒体を目視や電卓で分析して作業が、CAATの導入により電子ファイルで入手したデータを、データ分析ソフトや表計算ソフト等を利用して、監査人のパソコンで監査業務が行われるようになる。
目視や電卓では、膨大な資料を限られた時間の中で正確に行う事は非常に困難であったが、それに比べて、電子ファイルで入手したデータをパソコンで加工、集計し、監査資料を作る方が効率的であるという事は理解できる。更にこの効率化と並べてもう一つのメリットとしては、分析した結果の「見える化」が挙げられる。この「見える化」をテーマとして話しを進めていきたい。

(1) ヒストグラム

なぜ最初にヒストグラムかというと、CAATを利用する監査ソフトでは、データ分析の第一歩として『分析→統計』ツールで上限値、下限値、平均値、標準偏差などの基本情報を得る処からスタートするからだ。その次の工程で『分析→ヒストグラム』ツールを使えば、ヒストグラムが簡単に出来あがる。ヒストグラム上で等間隔に分けられた階級のいずれかをダブルクリックすれば詳細をドリルダウンする事ができ、個別のトランザクションが表示される。

ヒストグラムは品質管理やアンケート調査などでよく使われるが、財務資料としては「棒グラフ」「折れ線グラフ」「円グラフ」などと比べて馴染みが少ない。ヒストグラムの特徴は、あるデータ項目の分布を視覚的に把握する為が容易になる事である。つまり異常値の発見や、データの集中度合いを「見える化」できるという事で、言い換えると、ヒストグラムはある項目の内訳を横(階級)と縦(度数)の長方形の面積で表現し、全体からのバランスで集中や散らばり具合を視覚化・分析する事になる。

例えば、設備間接材や固定資産の購入における購入金額のばらつきをヒストグラムにした場合に下記の表になったとする。(会社の決済権限規程では、10,000万元以上の購入案件の場合に稟議書が必要)
ヒストグラムのばらつきは、4,000元~5,999元の等級が膨らみ、10,000元以降の案件が急に減少しているが分かる。通常、購入案件は少額のものが多く含まれ、高額になるにつれて減少していくのであれば、このばらつきは少し不自然な姿をしていると言える。
ここで、『稟議書の決済手続きを避ける為に、10,000元以上のオーダーを分割して取引を決裁権限内に抑えて処理しているのではないか』という仮説を立ててみる。

その仮説を基に、4,000~5,999元の等級をドリルダウンして、1つ1つの取引を精査する。同じPO#の取引はないか、同じサプライヤから同金額の購入インボイスはないか、設備一式を分割して購入していないかなどを順に確認し、故意に分割したオーダーが無いかを調べていく。

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