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アジア市場獲得は、“常識”“体験”“思考”を変えよ

アジアビジネスレポート
森辺 一樹

森辺 一樹

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2014年3月24日

今迄、先進国の消費者を相手にしてきた日本企業にとって、アジア9億人の中間層市場で成功を納めるには、企業が既に持つ“常識”、“体験”、“思考”に対する概念を変えなければならない。
なぜならば、日本とアジアでは、3C(3Cとは、「市場(customer)」「競合(competitor)」「自社(company)」の頭文字。)が完全に異なるからだ。日本とは異なった顧客、日本とは異なった競合、日本とは異なった優位性/意思決定/スピードの中でビジネスを行うのだから、当たり前と言えば当たり前なのだが、組織が大きくなればなるほど、これら概念を変えられないでいる企業が多い。そして、概念を変えられないまま戦略を立てても、たちまち失敗に終わってしまう。

“常識”に関して言えば、「まずリスクは悪であり、回避するもの」という概念を捨て、「リスクはチャンスであり、マネージするもの」であることを理解すべきだ。現地で対峙する競合の多くは、日本企業がリスクと感じ回避することを、チャンスと捉えマネージしながら前へ進む。日本のリスク常識を持ち込めば、戦いにもならない。
そして、企業にとって最も重要な人材に関する常識であるが、社員のロイヤリティーにいつまでも拘っていては、アジアでは良い人材など永遠に集まらないだろう。ロイヤリティーを得ようとするのではなく、条件と環境を駆使した仕組みで「定着」を得なければならない。

次に、“体験”に関してだが、日本や欧米での成功体験は粗通用しない。アジアでは、アジアでの新たな体験からしか活路は見出せない。高機能、高性能、高品質を競う市場から、受容価格を満たした上で、必要最低限の機能・性能・品質の市場に変わるのだから。
また、付加価値は、機能・性能・品質を高めることではなく、彼らの生活習慣を熟知することから生まれる今迄にない新しい機能であるべきだ。

そして、”思考“に関しては、輸出的思考を捨て、現産現販的思考を持たなければならない。日本は80年代以降、約30年もの間、貿易黒字を維持し続けて来た。従って、日本企業には、ビジネスのあらゆる局面で輸出的思考が根付いている。アジアは、既存チャネルへ商品を流す市場ではなく、新たにチャネルを作る市場なのだ。いくらアジアに出て、現産現販を行っていても、思考そのものが輸出的思考だとまったく意味がない。

世界的に見ても優秀な日本人と日本企業が、“常識”“体験”“思考”を少しだけ変えることができれば、必ずやアジア市場でも大きな成果を上げるに違いない。今後の活躍に大いに期待したい。

日本市場 アジア市場
常識 ・リスクは“悪”、だから回避
・人材は“ロイヤリティー”  
・リスクは“チャンス”、だからマネージ
・人材は“定着”、その為の条件と環境
体験 ・既存の成功体験
・高機能、高性能、高品質 
・新たな体験
・“ない”から“ある”へ
思考  ・輸出的思考
・既存チャネルへ流す市場
・現産現販的思考
・チャネルを作る市場

(2012年2月執筆)

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