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インドネシア投資実態レポート (2)

アジアビジネスレポート インドネシア
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2013年9月20日

前回は、外国投資が増え続けるインドネシアの投資の現状や懸念材料について書きました。今回は、実際に投資を行うに当たっての進出形態について見ていきたいと思います。


インドネシアでの投資を行う際に開かれた進出形態は
外国人がインドネシアでの投資を行う際に開かれた進出形態としては、外資100%又は現地ローカルパートナーとの合弁での現地法人設立、駐在員事務所の開設があります。

外国投資に関する認可は投資調整庁(BKPM)の管轄であり、インドネシアへの投資を行う際は、まず投資調整庁により発行されている“投資ネガティブ・リスト”をチェックする必要があります。このリストは、外国投資家に閉鎖・規制されているビジネスセクターを示すもので、主な規制・業種は表1のとおりです。この外国投資規制分野に当てはまる業種を除いては、外国投資家は株式会社の形態により外資100%の外国投資企業を設立することができます。逆に言えば、規制分野に当てはまる分野に進出する場合は、ローカルとの合弁会社設立やフランチャイズ等による進出の検討を行う必要があります。現地法人は通常、
PT(Perseroan Terbaras)を社名の冒頭に付して登録され、日本の株式会社と同様に株主は出資額までの責任を負い、会社運営に株主の違法行為がない限りたとえ株式会社が破産したとしても当該債務の返済について株主の個人資産にまで責任が及ぶことはありません。

(表1)主な外資規制分野

内資100%要件 小売業など10分野45業種
外資比率規制あり レストラン、フォワーダー、旅行代理店、建設、医療、教育など13分野75業種
ローカルとのパートナーシップが条件 水産の加工・販売・流通業など6分野36業種

現地法人の設立にあたっては、株主(最低2株主が必要)、経営陣、登記住所等を事前に決定する必要がありますが、中でも最近、目まぐるしく変わっているのが最低資本金額(投資額)です。現行株式会社法では、会社設立の為の最低授権資本金額は、50,000,000ルピア(約50万円、1円=100ルピア:2013年5月現在)としていますが、外国資本の場合、投資調整庁より要求される授権資本金の額はUSD建てで、現在はUSD300,000~となっています。2011年頃はサービス業でUSD100,000~、製造業でUSD150,000~だったのですが、近年上がり続ける背景には、過熱する外国中小
企業の投資を抑制し、ローカルの中小企業を保護する意図もあるものと思われます。この外国資本の場合の最低授権資本金額については法律によって運営されている訳ではなく、あくまでも投資調整庁の内規によって運用されており、そのためか事業内容や投資規模によって投資調整庁からの要求額に幅があるため事前に確認が必要です。

次に、インドネシアでの法人格を持たない駐在員事務所形態での進出は、主に進出に当たって長期の事前調査が必要な場合(ローカルパートナー探しを含めた)や既にインドネシア企業との業務提携があるため自らの進出を行わない場合等に選択されます。駐在員事務所はその業種に応じて許可を申請する官庁が異なっていましたが、2012年に入り、担当省庁からの推薦状を受け、申請許可は投資調整庁が一括して行うシステムに移行しつつあります。基本的に、補助的業務(海外の親会社の為の仲介、販売促進、情報収集)のみを行うことができるとされており、原則として公共事業省管轄(建設業)の駐在員事務所以外は営業活動又は契約に至る販売活動は行うことはできません。


投資奨励措置は主に製造業や大規模投資に限定
外国投資に際し、政府がどのようなインセンティヴを与えるかは、その時の政府の投資政策に影響されますが、インドネシアの場合、従来から主に製造業の誘致に力を入れてきたためか、投資奨励措置も製造業に対するものが中心となります。外国投資に対する優遇措置は①特定業種・地域に対するものと②先駆・戦略産業に対するものに分けられ、与えられる便宜は①が主に関税免除と所得控除、②が法人税の減免となっています。新規投資及び一定規模以上の事業拡張において機械・物資・原材料を輸入する場合、輸入関税や付加価値税を免除するマスターリストと呼ばれる優遇措置は、日系製造業の投資にもよく利用されています。

インドネシアには、Kawasan Berikat (Bonded Zone、KB)と呼ばれる保税指定の地域もあり、輸出志向型産業が入居していますが、2011年の改正では国内の課税地域への売上は、前年度の輸出実現価額及び他の保税地域への引き渡し実現価額の最高25%までに制限され、(改正以前は完成品の場合、全体生産量の50%、部品の場合は全体生産量の60%までは販売可能であった)、国内向け売上にシフトしていく企業には使い勝手の悪いものになってきています。

また昨年新たに導入された、法人税の一時免除(タックスホリデー)制度は、パイオニア産業で1兆ルピア以上(約100億円)の投資を行う企業に、商業生産開始から最短5年、最長10年、法人税を免除する優遇措置が与えられています。パイオニア産業とは基礎金属、石油ガス採掘および/あるいは石油ガスを源とする有機基礎化学、機械、再生エネルギー、通信機器の5産業で、最低1兆ルピアの投資計画を有すること等を条件としています。

貿易商社には輸入制限も
製造業には投資奨励措置を与える一方で、雇用や技術移転を生みにくい貿易商社には、近年、輸入に対する制限が設けられ、その活動がやりにくくなっている現状もあります。2012年5月の改正により、通常商社等が保有する一般輸入業者認定番号(API-U)で輸入できる商品が、関税率表に記載されている全21セクションのうち、1セクションに含まれる品目のみに限定するという規定が発表されました。その背景にはインドネシア国産品の保護という政策的な意図もあったものと推測されますが、これに対する業界からの反発が相次いだため、商業省は9月にこれを再改正し、API-Uを有する会社が特別関係を有する海外所在の会社(親会社又は代理店契約等を保有する等)からの物品を輸入する場合には、複数のセクションの物品の輸入を認めることになりました。同様に、製造業の保有する輸入業者認定番号(API-P)についても、2012年5月の改正では、完成品の輸入を原則禁止していましたが、9月の再改正では、API-Pを有する会社が保有する事業許可に則したものであり、API-Pを有する会社と特別関・uカを有する海外所在の会社からのものであることが証明できれば完成品の輸入も可能となりました。輸入許可を巡っての法律の改正はここ最近特に目まぐるしく変わっており、企業が安定してビジネスを行う上で大きな障害となっているのが現状です。

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