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【コラム】中国現場体験記(9) 月光族

中国ビジネスレポート コラム
奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

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2011年6月10日

記事概要

中国における月光族(yue guang zu)のことをご存知でしょうか?『80後、90後の月光族』と彼らとは対照的な『家族を背負う若者』に関する現場体験記です。

「月」の「光」の「族」と書いて、「月光族(yue guang zu)」と言われる中国人のことです。

日本人からすれば、「月光仮面」のような名前ですが、中国では全く意味が異なります。「月」と言っても宇宙に浮かぶ「月」ではなく、1ヶ月というところの「月」のことです。また、「光」と言っても、あのまぶしい光線の「光」のことではなく、「何もなくなる、無一文になる、すっからかんになる」という意味が中国語にはあり、その意味で使われているのです。
そこで、本コラムでは、中国における「月光族」を紹介いたします。

1.80後、90後の月光族
(1)80後、90後
中国の80後、90後のことについてはご存知の方も多いと思います。「80後、90後」とは、1979年から始まった一人っ子政策である1980年以降、1990年以降生まれの若者のことを指します。

この世代は、①少数民族、②一人っ子同士の結婚、③2人目以降、罰金を支払って子供を儲けている金持ち、④戸籍登録をしない所謂「黒子」という例外を除いて、一人っ子となっています。こちらが、ぼーっとして、中国人に「お子さんは何人(なんにん)ですか?」と聞くと、「1人です(心の声:一人っ子政策を知らないのか、この日本人は。中国関係の仕事をしているくせに・・・)」と言われることになってしまいます。

日本でも最近は多くなってきましたし、筆者の生まれ故郷では当たり前の光景でしたが、中国では夫婦共働きの家族が大半です。そのため、夫婦両方の親が争うようにして孫の面倒を見るのが、中国における現在の光景のようです。おじいさん、おばあさんはそれぞれに人生を楽しみ、孫の面倒はそれほど見ない、というのではなく、中国では我先にと争うようにして、孫争奪戦が始まる、とのことでした。

こういった中で育った80後、90後の一人っ子がわがままで、「小皇帝」と言われている、ということも、よく報じられている通りです。

したがい、日本企業にとっても、労務管理の面で、これらの若者を管理することの難しさが叫ばれています。

(2)月光族
さらに問題なのは、この世代が社会に出た後にもらう給料が、今まで父、母、両方の祖父母の合計6人からもらっていた小遣い(自由に使い放題)と比べて低いという事実です。働いてもらえる給料が、働かなくてももらえる小遣いよりも低いという事実が、これら若者を、働くことが馬鹿馬鹿しく感じさせる一因となっているのです。

たとえば、筆者の中国人の友人の姪御さん(19歳)は、1ヶ月当たりの生活費が3,000~4,000元とのことだったのですが、これは北京市の平均賃金相当に当たるのです。すなわち、会社に入ったとしても、当然初任給は平均賃金より低いため、今までの生活費分も稼げないというのが実態です。一生懸命働いても、生活を維持するのが苦しいという現実があるのです。

これでは、ある意味、彼らが馬鹿馬鹿しく感じるのも止むを得ない部分もあるようにも感じます。中国に現在現れている矛盾がこの現象であり、「月光族」なのかも知れません。

「月光族」とは、毎月毎月もらった小遣いや給料を、自分のためだけに、その月の内に使い切ってしまう人たちのことを指します。「月光族」は、金銭管理のしっかりできない人のことを指していた言葉のようにも思われるものですが、昨今では、これら若者に多い現象を指しています。

2.月光族とは対照的な家族を背負う若者
上述の裕福な「月光族」とは対照的な中国人にも、筆者は多く出会いました。むしろ、田舎から北京・大連・上海・広州などの都会に出てきて働いている若者には、実家の両親や祖父母にこつこつと送金している中国人が多数います。

その他、兄弟姉妹が働いていないとか、学校に行く必要があるから、とかの理由でこつこつと送金をしている若者も大勢います。
計算したところ、「一人っ子政策実施後のはずでは?なぜ漢族のあなたに兄弟?」という人が多くいますので、先の「お子さんは何人(なんにん)?」という質問は、あながち、ぼーっとした質問ではなく、場合によっては、むしろ深い質問になってしまうかも知れません。

彼ら都会に出てきて働いている若者は、春節(旧正月)などに帰省することを楽しみにしながら、こつこつと実家に送金しているのです。年に1回、多くても数度の帰省の際にも、お金を節約するため、長距離バスや夜行列車で帰るのが通常です。北京から湖北省にバスで帰省したり、北京から新疆ウイグル自治区まで夜行列車で帰ったりするなどもざらにあります。
ただし、彼らは田舎に帰ると家族全員にお小遣いを渡し、大量のお土産物を渡さなければ面子が立たないため、帰省すると金がすってんてん、とよく嘆いてはいましたが・・・。

(1)何人(なにじん)?
また、各地で知り合った中国人に筆者はよく「何人(なにじん)?」と聞いていました。中国で「何人?」と聞く意味は、「中国人」とか「日本人」という意味ではなく、出身地を聞くことを意味します。
中国人は、「何人?」という質問に対しては、「北京人」「上海人」「湖南人」などと答えます。日本で言えば、関西人、東北人、東京人と答えるようなものかも知れませんが、彼らは出身地を非常に大切にする、出身地域による団結性を示すように感じます。

たとえば、筆者が山西省大同市(世界遺産である雲崗石窟などがある)に行ったときに、飲食店で中国人に「何人?」と聞いたところ、「四川人」と答えられました。そこで、筆者は、「どうして四川から山西省大同市に来たの?上海や広州などの別の都市に行くということは考えなかったの?」と聞いたところ、「友達がいるから」とのことでした。筆者が中国各地に行って、各地でいろいろな中国人に質問をしたときにも、同様の回答を返されることが多くあります。すなわち、多くの中国人が、地元の友人や家族・親戚が現在住んでいる場所を頼って、ある意味出稼ぎに出ているのです。彼らの多くは、出稼ぎに出た先の都会で稼ぎ、故郷の親のために家を買うのだという夢を持っています。

(2)扶養家族がいっぱい
少なくとも、現代の日本に、お金を稼いで、親に家を買ってやろうという夢を持っている若者がどれほどいるのでしょうか。筆者も含め、なかなかそこまでは考えていないと思います。

日本人は自己責任・個人主義の民族のように感じます(スポーツなどでは、団体競技は得意ですが)。一方、中国人(特に漢族)は家族や友人と言う仲間内に頼る民族のように感じます(スポーツなどでは、団体競技は苦手ですが)。すなわち、中国では、一族の中で誰か優秀な人物がいれば、その人間を伸ばすことによって、皆でその人間に金銭面でもすがりつきながら生活していこうとする色彩が強いように感じられます。一人の子供に扶養家族が多くいる状態の家族が多く見受けられます。日本では、たとえば、20代の娘に仕送りをしてもらいながら生活をすることをよし、としない親が多いように思えますが、中国では、このような家族が多いのです。

能力の高い子、稼ぐ力を有する子を一族で応援して徹底的に伸ばそうとする姿勢はすごいと感嘆しますが、この点は中国人と日本人との考え方に違いを感じます。

今後中国が、内陸部まで発達したときに、どういった展開を見せるのか、日本のようになるのか、中国独自の展開を見せるのかは興味深いところです。
もちろん、中国は56の民族でそれぞれに性格も考えも異なりますし、たとえ同じ民族であったとしても、寒く作物の出来も厳しい東北三省(黒龍江省、吉林省、遼寧省)に住む漢族と果物が放っておいてもなっている雲南省の地方都市に住む漢族とでは、全く異なります。これら性格も考えも、それぞれの民族・地域によって、全く異なることからも一概に中国とはこう、と断言できないのが実状です。


※大同市にある懸空寺

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