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繊細すぎる日本人

中国ビジネスレポート コラム
森辺 一樹

森辺 一樹

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2013年4月3日

 仕事で様々な国に行くと、我々日本人がいかに繊細な感覚の持ち主かを痛感する。事実、日本人のこの繊細な感覚が、高い品質を生み、様々なニーズに応えられる多様性を生んできた。しかし一方で、この繊細な感覚がしばしば海外ビジネスでは邪魔になることがある。

 日本人の繊細な感覚を私たちの身近な生活で他の先進各国と比較してもその差は一目瞭然だ。
 まずファッションに関してだが、日本人程オシャレな人種はいない。次々に変わるトレンドや数多くのブランド。日本人程普段着のオシャレに拘る人を探そうとすれば、パリとニューヨーク以外では探せないだろう。偏見ではないが、アメリカ人の普段着は皆、GAPの短パンにTシャツ姿で、日本人程普段着に気を使わない。ヨーロッパ人は短パンが長ズボンになっただけで、基本は同じだ。これはお金を持っている、持っていないは関係ない。彼らにとっての普段着とはそんなものなのだ。日本人のような繊細な拘りはない。

 食べ物を見ても同様だ。たかが麺類の麺の固さにも“粉落とし”、“バリカタ“、”固麺“、”普通“、”柔め“とその繊細な違いに拘る。海外では基本、茹でてあれば良いし、アルデンテ(固め)などが通用するのは、イタリアか欧米でも一部の高級イタリアンのみである。麺の発祥の地、中国ですら麺の固さに種類などはない。
 また、日本のビールの多さにも驚く。いったい1社当たり何種類のビールを出しているのだろう。アメリカ人にとってのビールは“バドワイザー”か“バドライト”。ヨーロッパ人は、“ギネスビール”か“ギネスの黒ビール”。非常にシンプルだ。
 これは別にビールに限った話しではない。何をとっても日本はとにかく種類が多い。例えば、ポテトチップスでも何種類の味があるのだろうかと驚く。塩味だけでも、うす塩、のり塩、粗塩、塩胡椒、塩わざび、ゆず塩などなど。海外の人から見たら塩は塩味一種類であり、日本のこの状況は理解に苦しむだろう。

 私はこの日本人の繊細な感覚が大好きだし、私自身日本人としての繊細な感覚を持ち合わせている。そして、日本はこの繊細な感覚をいつまでも大切にすべきだと思う。
 しかし、残念なことに、海外でこの繊細な感覚でビジネスをしようとすれば、なかなかうまくいかないのが現実だ。この繊細さが理解されるのは、日本国内のみである。世界中の大半の国々ではこの感覚そのものを持ち合わせていない。それどころか、「日本人は飽きっぽいから種類が多い」と理解しているぐらいだ。

 繊細な感覚は、過剰品質、過剰品種を生む。日本人が海外でビジネスをする際は、繊細な感覚を一旦しまい、シンプルで大雑把な感覚でやるのが良い。考え方やコミュニケーションの取り方においても、繊細な心遣いが生む日本人的な要素は捨て、少々適当でシンプルな方が上手くいくのである。

(2012年6月 執筆)

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