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【中国深読みコラム】第1回~中国から見た最近の日中貿易~

中国ビジネスレポート コラム
松本 健三

松本 健三

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2013年4月22日

中国税関総署は4月10日1~3月の貿易額は前年同期比13.4%増の9,746億6,900万米ドル(約97兆円)、同期間の対日貿易額は10.7%減の708億6,873万ドル(約7兆円)と発表した。税関総署中国統計部の鄭躍声部長は、中国の輸出入総額に占める日本の割合が第5位の7.3%であることを踏まえ、「この割合は決して小さくない。だが、対日不振が中国の輸出入全体に及ぼす影響は限定的」と分析した。ちなみに中国にとっての貿易額上位国・地域は、①欧州連合(EU):1.9%減の1,244億844万米ドル②米国:10.8%増の1,182億3,800万米ドル③香港:71.2%増の1,098億7,596万米ドル④東南アジア諸国連合(ASEAN):15.5%増の1,002億5,517万米ドル⑥韓国:4.9%増の633億3,832万米ドルである。

要するに、日本だけが大幅な落ち込みになっており、この事に関して商務部の陳健次官は「すべて日本側の責任」「尖閣諸島をめぐる一連の問題で中国人のプライドが大きく傷つけられ、日本を敬遠する動きから日中貿易に直接影響を及ぼした」とコメントを出している。一方、翌日の日本メディア各紙は、「尖閣問題で冷え込み鮮明」と報じてはいるものの、主語は日本であり、日本側からみた貿易額の増減しか論評しておらず、貿易相手国第5位に転落、シェア7.3%の客観的事実は報じていない。ここに現地(中国)との温度差がある。

もう一つの温度差は、日系企業と欧米企業の中国市場に対する見方である。米中貿易全国委員会が12年12月10日、米国企業420社を対象に実施した調査とJETROが12年12月18日1,268社に対して行った調査発表を比較する。米国企業の89%が黒字で、中国事業投資の増加、事業目的は中国国内市場としているのに対し日系企業の黒字は55%、赤字が24%。投資拡大と中国市場優先は52%(貿易型)。それに伴う中国市場の課題上位3位は、米国企業では①人事政策(採用&維持)②ライセンス管理③地場系企業(国営・民営)との競合となっているのに対し日系企業では、①賃金上昇:84.4%②現地人材の能力・意識:55.5%③競合相手の台頭:53.4%となっており、欧米企業に較べ加工貿易に依存する日系企業の低賃金と、それゆえの人材不足が市場開拓のネックとなっていることが読み取れる。

それでは次回は現代中国とは何か?中国市場とは何か?をお届けします。

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