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【中国深読みコラム】第5回~日中の逆転~

中国ビジネスレポート コラム
松本 健三

松本 健三

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2014年1月8日

記事概要

本稿では、中国経済の隆盛と日中貿易の現状について解説するものとする。【1,594字】

4回連載終了後、コラムの継続要請がありましたので引き続き投稿させていただきます。このコラムは基本的に日本のメディアでは書かれない、中国側から見た視点で執筆しておりますので、ご了解をお願いします。

さて、日中間のGDPが逆転した3年前はずいぶん話題となりましたが、一般の認識としては一人当たりのGDPが追い抜かされない限り、中国が日本を凌駕したという意識はないでしょう(2012年度一人当たりGDP値:日本46,706ドルで世界12位、中国6,071ドルで世界88位。参考値として米国は51,703ドルで世界10位、シンガポールは52,051ドルで世界9位、香港は36,676ドルで世界25位です)。上海人はよくこう言います。人口2,000万人の上海だけならば既に5万ドルを越えており、シンガポールや香港に負けてはいない、と。人口1,300万人の東京の人も、東京だけならばスイス(78,880ドル、世界4位)に負けていない、と言うかもしれません。GDP比較とはこういったもので、あまり意味が無いかもしれません。しかしながら、国力という観点から経済の総量を比較すると、やはりそこには現実的課題が浮かび上がります。

最近、韓国サムスン、携帯生産を中国からベトナムにシフト(12月13日付環球網)という記事が出ました。ご存知の通り、サムソンはスマートフォン世界シェアトップの35%を握り、年間5億台の携帯電話を出荷する会社で、現在この内60%が中国で生産されています。一方、EMS(エレクトロニクス機器の受託製造サービス)世界最大手、台湾・鴻海精密工業傘下の富士康科技集団(深セン市、フォックスコン)は貴州省貴陽市の工場を稼働した、との新華社配信(12月16日)がありました。フォックスコンは米国アップル社より生産委託を受けている会社です。この両社の思惑は同床異夢で、同じ業界でも中国との距離のとり方が異なります。中国を世界の工場として存続させる為にコストの安い中国奥地に移転する一方で、中国はもはや生産拠点ではなく世界最大の市場との認識で、生産はもっとコストの安い国に移転するのか、中国が豊かになるに従い企業の海外戦略も見直しを迫られています。この潮流は韓国サムソンだけではなく、ドイツのスポーツ用品大手アディダスが一足先の昨年(2012年)8月、中国国内におけるOEM先約300社工場に対し契約打ち切りを通告、現在ではインドネシアが同社向けの最大供給国で中国は同社の最大市場となっていることにも現れています。

それでは日本企業はどうするのか?かつて華南地方で盛んだった来料加工業はコストの高い中国から、より労働力の安価な国に移転せざるを得ないでしょう。もう日本には戻れません。中国で生産拠点を維持継続するのは中国を市場として、顧客・ユーザーの近くにいる必要がある企業が残ることになります。これらの企業が対象とする中国市場は、すべての業界・業種で日本の数倍の規模になっています。例えば、ドイツのフォルクスワーゲンの場合、中国市場(年間300万台)は母国ドイツ(100万台)の3倍となっており、この現象は車だけではなく衣料・食品、化粧品、ブランド商品までほぼすべての消費財に該当します。

更に、生産財の機械や金属材料に関しては、かつて日本が政府資金(日本輸出入銀行)を活用して日本の製品を中国に輸出したように、現在は中国製品を、日本を含む外国商社やエンジニアリング会社が中国政府の資金を利用して新興国向けに輸出する時代になっています。まさに時代の変遷は隔世の感がありますが、中国経済の隆盛と日中貿易の現状は、その立場が逆転したと言えるでしょう。歴史の流れを冷静に見つめるならば、中国の台頭が揺るがす先進国の常識をどう切り替えるか、が問われているのではないでしょうか。

(1,594字)

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