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【中国深読みコラム】第9回~中国経済を支える大学生~

中国ビジネスレポート コラム
松本 健三

松本 健三

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2014年6月20日

記事概要

【1,228字】

 先週の6月7日~8日の2日間、2014年度の高考(ガオ・カオと発音する)がありました。
今回は将来中国経済界の幹部候補生になる大学生を考察したいと思います。
高考とは普通高等学校招生全国統一考試の略称で、日本の大学入試センター試験に相当します。日本のセンター試験は国公立大学の足きり(一次試験)を主目的にしていますが、中国の高考は一発勝負の本番です。

高考に参加する大学数は全国で985校、受験生は約939万人と公表されています。
今年は6月7日9時~11時半が語文(国語)、午後3時~5時が数学、翌8日9時~11時が選択科目(文系:政治、歴史、地理、理系:物理、化学、生物より二科目)、午後3時~5時が外国語(英語)です。
数学は文系でも必須科目で、理系の語文(国語)も同様です。また、6月8日の外国語は英語ですが、地方大学では翌9日に、チベット語、モンゴル語、ロシア語、日本語、朝鮮語が当該地方政府の指定で追加されます。
配点は語文、数学、外国語が各150点、選択科目が300点の750点満点。高考の結果は6月23日に各大学より発表されますが、北京の大学に入学するには文・理系共に550点以上が必要で、最難関の北京大学や清華大学の合格基準は700点(2013年度)と言われています。

 現在の高考は1949年に中華人民共和国が成立して3年目の1952年から始まりますが、ご存知の様に中国は長い官僚統治の歴史があり、文官登用制度としての科挙の試験(中国語では科挙考試という)は随の文帝時代(西暦598年)まで遡ります。
1905年(清朝光緒31年=明治38年)に廃止されるまで1300年も連綿と続いた官僚登用制度は、歴史的に見て光と影(功罪)がありますが、新中国の国家建設の為に復活します。
1966年~1976年の文化大革命期間中は学生の募集を停止しましたが、鄧小平が復活してまず着手したのが高考の再開でした。
改革開放、経済発展には、それを担う人材が必要であり、教育改革は国家百年の計であることを最も理解していたのは、青年時代フランスやソ連に留学した鄧小平であったと思われます。
それから37年がたち、100万を超える留学生が海外に派遣され、現在ではすべての経済分野で世界的活躍をして、世界第二位の経済大国になった中国を支えています。

2014年2月24日に国家統計局が発表した全国の大学在校生数は2,468万人(本科生)、今年の卒業生数は638万人の予測です。この内、15,290人が平均87倍の競争を突破して国家公務員となります。まさに科挙に合格した現代版進士(官僚)といえるでしょう。
尚、科挙に合格し中国の官僚になった日本人が1人だけいます。遠い昔の遣唐使(留学生)だった阿倍仲麻呂という人で、百人一首にある、「天の原 ふりさけみれば 春日なる三笠の山に いでし月かも」の歌は皆様もご存知かと思います。

では又次回をお楽しみに。

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