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【中国深読みコラム】第12回~中国の対外投資~

中国ビジネスレポート コラム
松本 健三

松本 健三

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2014年10月21日

10月16日、中国商務省より驚くべき数字が発表された。9月単月の中国からの海外直接投資額が前年同期比90.5%増の97億9,000万ドル(約1兆400億円)となり、9月の海外からの中国向け投資額90億1,000万ドルを初めて上回った。
海外から中国向けは1.9%増とほぼ横ばいに対し、中国からの投資は約2倍になっており、ここにきて積極的な海外展開を進める中国企業のニュースも連日報道されている。

中国が「受け手」という従来の構造から、中国が直接海外投資の「出し手」に変貌しつつある事情を深読みしたい。

経済成長率の鈍化により、日本では中国不況到来と報道されているが、現実には中国の貿易黒字は溜まる一方で、9月の貿易額は前年度比11.3%増の3,964億3,224万ドル(約42兆4,200億円)、うち輸出が15.3%増の2,136億8,746万ドル、輸入が7%増の1,827億4,478万ドルで差し引き309億4,300万ドル(約3兆3,100億円)の黒字。単月でこれだけ巨額の黒字なので、1月~9月の累計黒字は実に2,315億8,100万ドル(約24兆7,800億円)という数字になっている。
おそらく2014年度1年間では33兆円前後の黒字になると思われるが、この数字は1年間の日中貿易額とほぼ同じ金額である。

中国の経常収支の構造は、貿易黒字で稼いで、海外に支払う配当、特許・パテント代、海外旅行等のサービス収支で赤字になっているが、今年1月~6月の経常収支は805億ドル(約8兆6,000億円)の黒字である。これが溜まりに貯まり、今年6月末時点の対外金融純資産額は1兆9,921億ドル(約213兆円)まで膨らみ、海外投資の原資となって今猛烈な勢いで海外企業の買収や、欧米の不動産投資に流れている。

今年1月~9月で中国からの海外直接投資額は前年度比21.6%増の749億6,000万ドル(約8兆円)で、同期間の中国への投資額873億6,000万ドルに迫っている。特に米国向けは28.2%増の39億5,000万ドル(4,230億円)になり、米国からの中国向け投資額21億7,000万ドルを大幅に超過している。過去バブル期に、日本がアメリカ企業とニューヨークの一等地を買い漁った構図に近い。ちなみに同期間の日本から中国への投資額は43%減の33億9,000万ドル(約3,600億円)である。
これは一体何を意味するのか?

国連貿易開発会議((UNCTAD)統計によると、対外直接投資額の国別ランキングで中国は、2000年の34位から2005年に19位、2010年には5位、2012年には米国、日本に次いで3位となった。おそらく今年か来年には日本を抜いて2位になり、投資国としてもGDP同様アメリカに次ぐ大国になるのは間違いないと予想される。

日本は現在、知的財産権等使用料として米国に次ぐ世界第二位の黒字額(2013年度1兆4,191億円)を誇っている。その内の70%は海外の生産子会社より日本の親会社へ支払うロイヤリティー収入である。中国の旺盛な海外事業展開は、往年の日本企業の後追いをしていることは間違いなく、更に中国の場合は政治的要素が加わり、アフリカ・中南米など、経済的理由だけではない海外展開となっているのが特徴である。尚、米国は海外子会社からのロイヤリティー以上に、基本特許による外部から純粋な特許料収入を稼いでおり、技術立国日本としてはここで中国との差別化を図ることが求められる。

以上

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