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人事労務は経営者の仕事:プロ監督に学ぶ、着任早々に押さえる三つの要 -その2.外野のコントロール

中国ビジネスレポート 労務・人材
小島 庄司

小島 庄司

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2015年2月26日

コラム概要
日本企業が海外駐在員を派遣する場合、任期は通常3~4年。これはゼロから適応して一定の成果を出すには、かなり厳しい短期間です。そこで、同じく短期間での成果が求められるチームスポーツのプロ監督に、着任早々押さえるべき三つの要点を学んでみましょう。三部作の二回目です。<一回目記事はこちら
【1,496字】

小島註:この元原稿を書いたのは2014年7月頭です。

時が過ぎるのは本当に速いですね。本場ブラジルの開催で盛り上がったワールドカップもすっかり過去の話。駐在員としての任期も、きっとあっという間に過ぎていきます。ということで、プロ監督に学ぶ着任早々の要点、続編です。

●着任早々に押さえる三つの要
①目標や意図の明確化
②外野のコントロール
③規律の徹底

前回は「①目標や意図の明確化」を説明しました。独り相撲で自滅しないためにも、改革時間を確保するためにも、経営者の考えの『見える化』は重要です。今回は続いて②を見ていきましょう。

●外野を自分有利なようにコントロールする

二つ目のポイントは最大にして最強の難敵「外野」の対応。外野とひと口に言っても、経営者に影響を与える外野はたくさん存在します。『外野』を就業規則の記法っぽく定義すると、「日本本社の経営者、役員、出身部門の責任者、中国本部、投資方、元赴任者、欧米駐在帰り、海外支援部門、取引先、家族を含みこれに限らない、現地法人の経営結果に責任を取らないが口は出す皆さん」でしょうか。

もちろん、こういう外野の皆さんが間違っている、問題がある、影響力を最小限化する必要があるとは限りません(限りません、ということは、必要な場合もあるということですが)。二つ目のポイントは外野の「排除」ではなく「コントロール」です。

プロの監督で言うと、上層部(チームのオーナーや経営陣)やメディアとの関係を上手く築けるかという課題。ナショナルチームの監督であれば、協会や各クラブチームとの関係が重要です。海外や自宅から離れた街で指揮を執るのであれば家族の理解も大切ですね。彼らを敵に回すか味方にするかは天と地ほど違います。

外野のコントロールで定評があるのは星野仙一氏。このため、野球ファンの間では好き嫌いが分かれるものの、球団上層部の受けはいつもかなりいい。オーナーやフロントを自分の応援隊にしてしまうので、予算にシビアな球団で大きな戦力補強を認めさせたり、すぐに結果が出なくても一貫した支持を勝ち得たりしています。これが下手だと、結果を出しているのに上層部の受けが悪く、契約不更新となってしまう監督もいます(名指しは避けますが)。

外野を自分有利にコントロールする決定的なテクニックはありませんが、次のようなことは試してもいいと思います。

・数字以外に、現地社員の活躍や成長が見えるような報告をこまめに行う。写真も有効。
・現法や自身の人事に大きな影響力を持つ大物には、遠慮せず直接の報告機会をつくる(大会社の場合、手土産持参などで秘書さんと良好な関係を築いておき、短時間でもいいからアポイントを入れてもらう)。できれば年に数度。
・立ち上げ時など、他現法や他拠点と同じ指標で比較評価されたくない場合は、独自の指標(観点)を使って成長や改善や将来性をアピールする。
あと、実際に上手だなぁと感じることがあるので挙げますが、
・私のような(一応肩書きのある)外部の人間を使って、現地経営の要点や、外部環境の厳しさを本社首脳に啓蒙したりアピールしたりする(まったく同じ話でも、なぜか外部の人間の話だと素直に聞けてしまうのは日本も中国も同じ)。

共通点は、自分から接点をつくって、存在と活動をアピールすること。離れていて目が届かないだけに、日本時代の五倍ぐらいアピールしないと、埋没したり、忘却されたり、人から聞いた話を鵜呑みにされたりしてしまいます。

本社から離れて最前線で戦う場合、誠実に頑張っているだけではダメです! 外野を自分の応援隊に引き込むような接点づくりを大事にしてください。

ではまた次回!

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