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【コラム】中国現場体験記(97) 中国人の婚約結納金と血族主義~中国人も楽じゃないよ~

中国ビジネスレポート コラム
奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

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2016年6月20日

今回は、中国人でいるのも楽じゃない(中国人の婚約結納金と血族主義)というエピソードに関する現場コラムです。

1.家族・親戚、一族に頼りきる
中国人の血族主義、面子については、日本人には理解しにくい部分もあります。ある広東人女性から聞いたエピソードです。
この女性のところに、あるとき父親と親戚の女性から電話がかかってきました。曰く、「親戚の女性の娘(姪御)が、高校を卒業しても仕事をせずに遊んでばかりで困っている。そこで、広州市へ出て行かせて働かせようと思うが、面倒を見てあげてほしい。ついては、マンションに同居させてもらい、就職活動の援助や、世間についても教えてあげてほしいのだが・・」
この女性はちょうど引越しを計画していたところでしたが、姪御が一緒に住むということで引越しは延期。しかも、姪御は居候を始めてからもなかなか定職につかず、アルバイトも「つまらない」とすぐに辞める始末。現在は、「ネイルの勉強にでも行こうかな」と言っているとのことでした。

筆者:「ところで、その姪御さんからは、いくらかお金をもらっているの?」
広東人女性:「そんなものは何ももらっていない。中国人なら無償で、家族・親戚の援助・支援をするのが当たり前。少々、迷惑でも仕方がない。それが中国人だから」
筆者:「いつまでも無償で住む場所と食事を提供するというのは、あなた自身が大変では?」
広東人女性:「日本人には理解できないかも知れないけど、それが中国人。仕方がない」

2.中国人の婚約結納金
中国人もなかなか大変だなと思う事に、中国人男性が女性や女性の家族に渡す結納金の話もあります。

(1) 中国人女性(漢族)と結婚した日本人男性のケース
中国の遼寧省人女性(漢族)と結婚した筆者の友人(日本人)は、結納金として8万人民元(日本円140万円相当)を結婚相手の両親に渡したそうです。物価の安い中国の東北地方の水準から考えれば、8万人民元は、日本の140万円以上の価値があることは言うまでもありません。
他にも、河南省人女性(漢族)と結婚した日本人男性は、結納金として20万元(日本円350万円相当)を結婚相手の両親に渡したそうです。さらに、この日本人男性は、結婚相手の親戚一同のために、日本製の炊飯器10台を購入して配ったそうです。

(2) 漢族同士のケース
 ある天津人の漢族男性は、結婚相手に婚約指輪として、7万人民元(日本円122.5万円相当)の指輪を渡しました。一般に結納金は10万人民元から20万人民元(日本円175万円から350万円相当)とのことでした。ただし、上海市、広州市といった沿岸都市では、徐々に結納金を渡す風習はなくなってきているようです。

(3) 満州族同士のケース
満州族の友人に聞いたところ、家庭環境にもよるようですが、相場は10万人民元から30万人民元(日本円175万円から525万円相当)と、少し高めのようでした。漢族に聞いても中国の北方、東北地方に行くほど、結納金が高いように思われましたので、民族にかかわらず東北地方は総じて結納金が高いようでした。

(4) チワン族同士のケース
中国最大の少数民族であるチワン族は、広西チワン族自治区などに住む民族です。チワン族の友人にも聞いてみました。チワン族の結納金は、通常は3万人民元(日本円52.5万円相当)、貧しい家で1万人民元から3万人民元(日本円17.5万円から52.5万円相当)、裕福な家で5万人民元から10万人民元(日本円87.5万円から175万円相当)とのことでした。

3.中国人でいるのも楽ではないよ
中国人は、家族・親戚という血族同士であればいくら迷惑をかけても、かけられても仕方がない、また、家族になる人間なら、お金を支援したり、支援してもらったりして当たり前、という傾向が強いようです。
中国人でいるのも、また、中国人社会に入り込んで行くのも、なかなか大変だなと思ったエピソードでした。

以 上

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