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【コラム】中国現場体験記(29) 新疆ウイグル自治区をゆく~時差がない編~

中国ビジネスレポート コラム
奥北 秀嗣

奥北 秀嗣

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2011年10月19日

記事概要

筆者にとっての2回目のウイグル周遊を中心とした、ウルムチ、カシュガル、クチャ、アルタイ、カナスでの出来事を中心に、7回に分けて紹介します。

新疆ウイグル自治区は、中国の最西部に位置するウイグル族(ウイグル人)を中心とする西域であり、シルクロードの重要拠点でもあります。新疆ウイグル自治区の歴史には、日本人の郷愁を駆り立てるものがありますが、政治的・文化的・気候的には大変厳しい環境にあります。

今回から7回にわたり、その新疆ウイグル自治区を中心に、ウルムチ、カシュガル、クチャ、アルタイ、カナスを訪れた際に筆者が体験した事、感じた事などをまとめた、ウイグル周遊記「新疆ウイグル自治区をゆく」をお届けします。

1.新疆ウイグル自治区
(1)2回目のウイグルへの旅
2010年6月、2回目のウイグル旅行に出発しました。この2回目の旅では、ウルムチ(ウルムチ騒乱の舞台)、カシュガル(シルクロードの要衝、古代・疏勒国が栄えた)、クチャ(地下資源が豊富と言われる街、古代・亀茲国が栄えた)、アルタイ(イリ・カザフ自治州に所在し、26にわたる民族が居住する)、アルタイ・カナス湖(新疆ウイグル自治区最奥の楽園と言われる)へ行き、カザフスタンやタジキスタンとの国境地域を回って来ました。

1回目の旅行直後に発生したウイグル騒乱(2009年7月5日)の緊張のためか、北京にある日系の旅行会社では今回の旅行の手配を受けてもらえなかったのですが、中国地場の旅行会社に依頼したところ、彼らは問題なく手配をしてくれました。

また、今回はちょうどサッカーのワールドカップ南アフリカ大会の開催時期と重なっており、筆者は、日本対カメルーン戦は古代・亀茲国が栄えた街であるクチャのホテル、日本対オランダ戦はウルムチのホテルで観戦し、大きな声で日本を応援したものです(トルコ系のウイグルの人たちもサッカー好きが多いためか、ワールドカップはテレビで放映されていました。インターネットは思うようには接続できませんでしたが・・・)。

(2)中国内には時差がない
中国国内には時差がなく、東西南北全ての地域が北京時間で統一されています。たとえば、中国で最東部に位置する黒龍江省ハルピンと最西部に位置する新疆ウイグル自治区カシュガルとの間にも時差はないのです。そのため、たとえ同じ時間であっても、ハルピンは暗闇に包まれ、カシュガルには太陽が燦燦と昇っているという状況が現実に発生するのです。

トルファンからウルムチまでの道を(時間的には)夜中に走ったときも、日はまだ昇っていました。カシュガルでは日が昇った状態で夕食を取ることになります。イスラム色の濃厚なカシュガルのレストランでは通常飲酒はできませんが、外部から区切られた外国人向けホテル内では飲酒ができます。その中のバーは、シルクロードの旅にやって来た欧米人たちの溜り場になっていました。また、その一角の漢族経営のバーでも飲酒ができるのですが、バーを一歩外に出ると、(時間的には)夜にも関わらず青空が広がっていることもあるのです。

現地のウイグル人運転手に聞いたところ、新疆ウイグル自治区では、学校も昼から始まるとのことでした。夕食の時間も大体夜9時からだそうで、その頃からレストランなどが客で混み始めます。夜9時以降でも普通に幼い子供が食事をしているのを見ると、実際には、北京との時差は、2、3時間はある印象でした。また、5月末にトルファンからウイグルまでの砂漠道を夜走った際に、9時頃に日が沈み始めたものの、11時を過ぎてからやっと太陽の光が完全になくなったのも非常に印象的でした。

一説には、中国国内に時差を設けると、独立運動が頻繁に発生するウイグルやチベットと北京との間に時差が生まれ、その結果、それらの人々に北京との違いを意識させ、独立運動を助長することになるため、あえて時間を統一しているのだとも言われています。


※ウルムチからトルファンへの道 夜9時の夕焼け空

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