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新広告法施行後の違法広告に対する処罰実例の分析(2/3)

中国ビジネスレポート 法務
郭 蔚

郭 蔚

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2017年1月19日

二、禁止広告

【典型事例その2】
某外資企業(以下「B社」という)が同社のウェブサイトで「ワールドクラスの一品ブランド」、「世界で最新、最先端」などの用語を使用した。工商部門は、当該行為を絶対的表現の使用であると認定したが、B社は、案件が立件されてから処罰を正式に受ける前に、自主的に用語を修正したため、最終的にB社は2万元の罰金が科されるだけにとどまった。

【法的根拠】

法令名称 関連条項
「中華人民共和国広告法」 第九条 広告には下記の行為があってはならない。……(三)「国家級」、「最高級」、「最佳(最もよい)」などの用語を使用すること。……
第五十五条 本法の定めに違反し、虚偽の広告をした場合、工商行政管理部門は広告の掲出停止を命じ、広告主がしかるべき範囲内で影響を取り除き、広告費用の3倍以上5倍以下の過料に処する。広告費用が計算できない或いは明らかに低すぎる場合、20万元以上100万元以下の過料に処する。……営業許可証を取り消すことができ、且つ広告審査機関が広告審査許可文書を撤回し、1年以内にその広告審査申請を受理しない。……
「中華人民共和国行政処罰法」 第二十七条 当事者が下記状況のいずれかに該当した場合、法により軽めに処罰し、又は処罰を軽減するものとする。(一)違法行為による危害の影響を積極的に取り除き又は軽減させること。……違法行為が軽微で且つ速やかに是正し、危害の影響をもたらさなかった場合、行政処罰は行わない。……

【筆者解釈】
禁止広告とは、商品に関する広告が係る法律で禁止される範疇に該当するものである。当該禁止対象は、広告内容であったり、広告の掲出ルートや掲出方式であったり、また広告がターゲットとする対象者及び広告代弁主体である可能性がある。具体的には、国旗、国歌、絶対的表現などを使用してはならないことを含み、また、医薬品、健康食品、酒類、教育研修などの広告に対しても禁止的内容が定められている。

新たに改正された「広告法」は、絶対的表現の使用に対する処罰に力を入れているため、企業が宣伝を行う際にはくれぐれも注意を払い、レッドラインに触れないようにしなければならない。法律の次元では、「広告法」で使用禁止が明確にされている絶対的表現は、「国家級」、「最高級」及び「最佳(最もよい)」に限られているが、工商部門の実際の法執行状況から見ると、工商部門は、特定の広告用語が「絶対的表現」に該当するかどうかを判断するうえで、大きな自由裁量権を握っている。

筆者のこれまでの実務経験から、下記の絶対的表現がよく見られるため、企業は、広告の中でなるべく避けるようにするとよい。

内容
「最」が含まれるもの 最高級、最佳(最もよい)、最高、最低、最具(~を一番に備えもつ)、最新技術、最先進科学、最大程度(最大限)、最好(最高)、最大、最先(最も早く)、最時尚(最も洒落た)、最受歓迎(最も人気ある)、最便宜(最安値)、最新、最先進(最も先進的)、最新科学、最新技術、最先進加工工芸(最先進加工工程)など
「一」が含まれるもの 唯一、全網銷量第一(全オンライン売上高第一位)、第一(NO.1/Top1)、独一無二(唯一無二)、一流など
「級/極」が含まれるもの 国家級、世界級(ワールドクラスの)、宇宙級、頂級工芸(トップクラスの工程)、極品(極上品)、終極(究極)、極致など
「ブランド」と関係のあるもの 金牌(金メダル)、王牌(奥義)、領袖品牌(指導者たるべきブランド)、領導者(リーダー)、締造者(創始者)、至尊、巓嶺(頂点)、之王(~の王)、王者など
「虚偽性」を帯びるもの 万能、永久、前無古人(=前人未到の)、史無前例(有史以来初の)、特効など/td>

本件において注目に値すべきこととして、B社が広告費用に関する有効なエビデンスを提供できなければ、本来、法に依拠し20万以上の過料に処すこともできたのだが、B社が違法行為による悪影響を自主的に取り除いた結果、最終的には2万元の行政処罰が科されるだけにとどまった。したがって、企業は広告違法行為が発生してしまった後は、軽めの処罰で済むよう、違法行為による危害の影響を速やかに取り除き又は軽減させるのがよい。

(続く)

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