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技術力とブランド力のバランスを計れ

中国ビジネスレポート マーケティング
森辺 一樹

森辺 一樹

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2013年12月13日

日本には世界に通用する素晴らしい製品やサービスが多く存在する。しかし、なぜ多くの日本企業が新興国で苦戦を強いられるのか。マーケティング戦略の観点で言えば、幾つかの原因がある。しかし、今回は、“ブランド力”にフォーカスしたお話をしたい。

新興国ではブランド力が先進国以上にものをいう。中でも、最も経済成長が著し中国市場では、ブランド力を軽視しての勝利はあり得ない。新興国は、欧米日の経済支配の時代、貧困を強いられてきた。しかし、近年の劇的な経済成長により市場は急激に変化し、消費者にとって新しいモノが市場にどんどん出現している。豊かになった消費者にとっては全てのモノが新しいのである。そんな中、何を基準に商品やサービスを選ぶのか。

当然ながら、多くが彼らにとっては初めてのモノであるため、本当に良い商品やサービスを見抜ける消費者は先進国と比較すれば圧倒的に少ない。日本もかつてそうであったように、海外から入ってきたモノは”輸入品“として高級品扱いされ、自国内企業が生産したモノは”国産“として輸入品よりも劣る評価を受ける。海外から入ってくる商品は、それだけで既に”ブランド“なのだ。

しかし、ここで重要なのは、どの海外から入ってくるのかだ。多くの日本企業は、”日本製“にはとてつもないブランド力が存在すると思い込んでいるが、それは大きな間違いだ。”日本製だから売れる“は一昔前の話しである。確かに、一部の消費材には日本の圧倒的なブランド力が未だに存在するし、全般的に日本製というブランドには優位性がある。しかし、それだけでは購買の決定打にはならないし、大半は欧米のブランド力には完全に負けてしまう。日本製の方が、技術や品質が高いにも関わらず、市場では欧米ブランドに負けてしまった、もしくは、欧米ブランド程に高い価格を付けられない事例など幾らでもある。

これは非常に残念な事実であるが、“豊”=“憧れ”の象徴は圧倒的に欧米であり、アジアの消費者は欧米ブランドに弱い。もっと言うと、日本も含め、アジアは白人社会に弱い。日本も日本人自身が”日本製“や”国産“という言葉にブランドを感じ、誇りを持ったのは、高度成長期に日本製が自分たちより上と考えていた欧米人に認められたからである。もし、彼らが認めなければ、今でも”国産“に対するブランドは低かったはずだ。欧米が日本より上か下かの議論はまた別の機会にするとして、欧米には、日本には無い圧倒的なブランド力が存在する。日本企業がアジアで成功するためには、今迄の技術や品質だけの勝負ではなく、同時ブランド力をどう育てるかをもっと真剣に考えていかなければならない。特に、韓国や台湾企業の技術力が直ぐそこまで追いついてきている以上、ブランド力の重要性は今後益々上がるだろう。

(2011年7月執筆)

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