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FDI 外貨管理法規の大幅な「スリム化」(連載その二/合計二篇)

中国ビジネスレポート 政治・政策
郭 蔚

郭 蔚

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2014年9月4日

現行のFDI外貨管理政策によれば、国内直接投資活動にかかわる機構と個人は、外貨管理部門にて登記手続きを行った上で、銀行にて関連業務手続きを行わなければならない。外貨登記関連手続きについて、以下のとおり簡潔に紹介する。

一般地域の外貨登記

段階項目

手続きの原則

前期活動

関連手続き:

外国投資者が外商投資企業の設立前に前期費用などの関連資金を外貨送金する必要がある場合、以下の手順で手続きを行う。

– 外貨管理部門にて主体情報または関連情報の登記を行う。

– 銀行にて前期費用口座を開設し、登記した流入限度額の範囲で資金を入金する[1]

– 銀行審査資料、人民元転後の人民元資金用途の真実性と合規性が規定に合致する場合、人民元転が認められる(審査資料および手続きの原則は外貨資本金口座と同じである)。

– 口座内の資金について国内で原通貨での振替を必要とする場合、外貨管理部門の認可を必要とせず、直接銀行に対し申請を行うことができる。

口座資金の範囲

– 収入範囲:外貨管理部門の登記金額内で外国投資者が国外から外貨送金した外商投資企業設立に用いる前期費用から資金を引き出す。

– 支出範囲:国内で人民元転を行い使用する。真実性審査を受けた後の経常項目により対外支払いを行い、元の経路で国外に戻す。後に設立される外商投資企業外貨資本金口座への振替については、外貨管理部門の登記または認可を受けた資本項目で引き出す必要がある。

設立、運営および終了段階

基本情報登記

外商投資企業は主管部門の許可を受けた後、速やかに外貨管理部門にて関連外貨登記手続き(例えば新設登記、変更登記、登録登記など)を行う。

関連口座の開設、入金および使用手続き:

・資本金口座

– 開設:外商投資企業の名義で口座を開設する。

– 入金:銀行は外貨管理業務システムの登記情報に基づき資金入金手続きを行う。

– 使用:出資確認に基づき登記を行い、銀行の資金用途の真実性審査の後、原通貨振替、人民元転手続きを行う。

・保証金口座

– 開設:国外外貨入金保証金専用口座と国内振替保証金専用口座に区分し、混用してはならない[2]

– 入金:銀行は外貨管理業務システムの登記情報に基づき資金入金手続きを行う。

– 使用:取引保証の用途のみとし、人民元転を行ってはならない[3]

企業の外国投資者による中国側持分買収の手続き

関連手続き:

– 持分変更企業はその所在地の外貨管理部門に対し外商投資企業外貨登記手続きまたは変更手続きを申請する。

– 国内の持分譲渡者の名義で国内資産現金化口座を開設する。

– 銀行は外貨管理業務システムの登記情報に基づき、口座開設主体のために資金入金手続きを行う。

– 持分変更が生じた企業は対価支払い完了後に出資確認登記手続きを行う。

– 外貨局は関連情報を照合した上で出資確認手続きを行い、「外国投資者による中国側持分買収出資確認登記証明」(以下「登記証明」という)を発行する。

– 持分譲渡者は「登記証明」(コピー)に基づき資産現金化口座内資金の原通貨振替または人民元転手続きを行う。

自由貿易区内の特別規定
2014年2月28日、国家外貨管理局上海市分局は「中国(上海)自由貿易試験区建設を支持する外貨管理実施細則の公布に関する通知」を公布し、当該規定は「金融が中国(上海)自由貿易試験区建設を支持する旨の中国人民銀行の意見」の付帯細則として、自由貿易区内の外貨管理について具体的な措置および操作規程を制定した。その中、FDIに関連する改革は以下の三つの方面が含まれる。

1. 直接投資項目における外貨登記および変更登記手続きを銀行に委譲する[4]
2. 区内外商投資企業の外貨資本金については100%自由意思での人民元転を実施する[5]。即ち、外商投資企業資本金口座に
  おける入金登記手続き済みの外貨資本金は、企業の実際経営の必要に応じて銀行で人民元転手続きを行うことができる。
3. 区内企業の国外外貨貸付管理を緩和し、区内企業の国外外貨貸付金額の上限をその所有者権益の50%に調整する。

上海自由貿易区で投資を行う外国投資者について言えば、直接投資項目における外貨登記および変更登記は、以後、外貨管理部門および銀行の間で振り回される必要がなく、資金の回転時間が短縮された。この他、企業が自由意思による人民元転を通じて、必要に応じて人民元転後に人民元転支払待機口座に預けられた資金を使用できることも、為替リスクを回避するに有利となる。

実務において、外国投資者が国内直接投資を行う場合、必要な外貨手続きを行って、はじめて国外資金を国内に持ち込み投資関連活動を行うことができるようになる。今次外貨改革は既に各地外貨管理部門にて正式に実施されており、外国投資者の中国国内における投資取引により便利な措置を提供している。特に自由貿易区内の外貨改革は、外国投資者に為替レート変動のリスクを回避する政策根拠を提供しており、人民元転手続きの簡素化および外貨資本金使用効率の引上げは、投資と貿易活動に大きな利便を与えている。

(里兆法律事務所が2014年6月20日付で作成)

備考:
法令の全文については、下記のURLをクリックしてください。
(1) 「直接投資外貨管理政策の更なる整備と調整に関する国家外貨管理局の通知」
http://www.safe.gov.cn/wps/wcm/connect/Safe_WEB_Store/Safe_WEB/zcfg/zbxmwhgl/zjtzwhgl/node_zcfg_zbxm_kjtz_store/2eab2d004d86fae7a24ea6fd3fd7c3dc?digest=tzk24_kEJwDsikoSGxNV8g
(2) 「『外国投資者国内直接投資外貨管理規定』および付帯文書の公布に関する国家外貨管理局の通知」
http://www.safe.gov.cn/wps/wcm/connect/Safe_WEB_Store/Safe_WEB/zcfg/zbxmwhgl/zjtzwhgl/node_zcfg_zbxm_kjtz_store/931334804f92a8009c79bebabd3994e6?digest=tzk24_kEJwDsikoSGxNV8g
(3) 「資本項目外貨管理政策の更なる整備と調整に関する国家外貨管理局の通知」
http://www.gov.cn/gzdt/2014-01/24/content_2575184.htm
(4) 「中国(上海)自由貿易試験区建設を支持する外貨管理実施細則の公布に関する通知」
http://shanghai.pbc.gov.cn/publish/fzh_shanghai/4187/2014/20140228143739289199022/20140228143739289199022_.html
(5) 「金融が中国(上海)自由貿易試験区建設を支持する旨の中国人民銀行の意見」
http://www.shftz.gov.cn/WebViewPublic/item_page.aspx?parentId=627&id=968



[1]
原則上、前期費用登記金額は一つの投資プロジェクトにおいて30万米ドル相当額を超えてはならない。実際の必要により、前期費用が30万米ドルを超える場合は、外貨管理部門は個別案件業務集団審議制度に基づき処理することになる。
[2]
個々の口座開設主体は、国外外貨入金保証金専用口座の開設については一つだけであるが、国内振替保証金専用口座については複数開設することができる。口座は口座開設主体登録地で開設しなければならず、他の地域で開設してはならない。
[3]
国内振替保証金専用口座内資金は、競争入札成功のいかんを問わず、いずれも元の振替口座に戻さなければならない。国外外貨入金保証金専用口座内資金は、競争入札成功後、国内投資の出資として外貨資本金口座または国内資産現金化口座に振り替えられる。競争入札が不成功に終わった場合、元の経路で国外に戻さなければならない。
[4]
注意点として、非貨幣形式での出資にかかわる外貨登記、登録通貨、企業の合併分割、移転などの特別な情報変更などについては、依然として外貨管理部門で手続きを行わなければならない。
[5]
外商投資企業は、外貨資本金口座開設銀行にて一対一で対応する人民元転支払待機口座を開設し、資本金人民元転で得た人民元資金の預金に用いるものとし、真実の取引の原則に基づき、当該口座を通じて各種支払い手続きを行わなければならない。また、現在区外で実施されている「支払のための人民元転」の原則は、資本金に対し厳格な管理を行っており、実際に必要がない状況においては、外商投資企業が人民元転手続きを行うことはできない。

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