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本社のグローバル化を急げ

中国ビジネスレポート 労務・人材
森辺 一樹

森辺 一樹

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2012年11月14日

 昨年度、ユニクロと楽天の「英語の公用語化」が世間を騒がせた。日本企業が英語を公用語化する取り組みに曲がった見方をする人は少なく無い。しかし、私はこの取り組みが企業の次の10年、非常に大きな差となり顕在化することになると確信している。

 人口減少による日本国内の市場縮小が、日本企業がグローバル化を強いられる最大の理由である。2050年、日本の総人口は8千万人~1億人と予測されており、内3分の1は高齢者である。今迄は国内が最重要市場であり、次いで欧米市場であった。しかし、昨今のアジアを中心とした新興国の著し経済成長を背景に、世界は逆転の構図となるだろう。世界が未だかつて経験したことが無い新たなグローバリゼーションの幕開けである。

 企業がグローバル化を強いられれば、当然そこで働く人材もグローバル化を強いられる。言い換えれば、人材のグローバル化無くして、企業のグローバル化はあり得ない。日本企業の海外展開における最大の課題は、アジア最低レベルの語学力がもたらすグローバル人材育成の遅れである。一方で、韓国企業の躍進は目覚ましく、グローバル企業の代表格となったサムスン社は、地域専門家制度など新興国向け人材育成の強化と同時に、累計2万人が参加する語学教育プログラムを実現するなど語学教育には相当な力を注ぎグローバル人材育成を推し進めている。英語は当然として、中国語や日本語教育にも積極的に投資を行っている。中国への留学生は韓国人が最も多く、中国、アフリカ等の市場開拓への力の入れようには学ぶものが多い。
 LG社でも状況は同様で、社員のTOEIC平均スコアは900点だという。現地法人と本社のやり取りは、韓国人同士であっても、英語が基本言語と徹底している。
 
 そして、欧米企業の現地化は日本企業より遥かに先を行っている。現地法人の経営トップが現地人ということは周知の事実であるが、最近では、本国本社に中国やインドの現地人を抜擢する人事も目立ってきた。現地法人だけがグローバル化しても、それを統括する本社がグローバル化できなければ何の意味も持たないからだ。この現象は今後益々増えてくるだろう。
 
 「日本は語学教育の効率化の面でかなり遅れており、語学ができないという劣等感、国内でまだ何とかなるであろうという個々の甘えが企業のグローバル人材育成の遅れにさらに影響を与えている」と中国語eラーニングを開発・販売するWEIC社の内山社長は言う。

 私もその通りだと思う。これからの時代、海外部門、もしくは海外赴任にならなければ語学力は不要だということは絶対にない。日本企業がこの新たなクローバル経済で勝つ為には、日本本社のグローバル化が必須である。諸外国企業に遅れをとらない為にも、一刻も早い本社のグローバル化が求められている。
 そして、忘れてはならないのが、企業のグローバル化はそこで働く人のグローバル化である。我々一人一人がグローバル人材に向けての一歩を踏み出さなくてはならないのではないだろうか。

(2011年1月執筆)

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