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人事労務は経営者の仕事:プロ監督に学ぶ、着任早々に押さえる三つの要 ‐その3.規律の徹底

中国ビジネスレポート 労務・人材
小島 庄司

小島 庄司

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2015年3月9日

コラム概要
日本企業が海外駐在員を派遣する場合、任期は通常3~4年。これはゼロから適応して一定の成果を出すには、かなり厳しい短期間です。そこで、同じく短期間での成果が求められるチームスポーツのプロ監督に、着任早々押さえるべき三つの要点を学んでみましょう。三部作の最終回です。(一回目記事はこちら、二回目記事はこちらからお読みいただけます)
【1,510字】

小島註:この元原稿を書いたのは2014年8月頭です。

サッカー日本代表の新監督就任が発表されました。「次の四年」はすでに始まり、すごい速さで流れていくことでしょう。今回は、そんな短期勝負に生きるプロ監督たちの着任早々の要、最終回です。

●着任早々に押さえる三つの要
①目標や意図の明確化
②外野のコントロール
③規律の徹底

三つ目は「規律の徹底」。新監督の規律徹底は、メディアでも取り上げられることがありますよね。

□キャンプでの門限遵守や移動時のスーツ着用を厳命。一軍選手も例外なし。
□戦術を理解し尊重しようとしないエースを放出した。
□裏番長のようなベテラン選手に対し、ベンチでの振る舞いに警告。一時はチームが険悪なムードに。

なぜメディアで取り上げられるかというと、そりゃ扇情的な要素があるからです。「新任監督vsベテラン番長」の主導権争いなんて、言い方は失礼ですけれど「猿山のボス争い頂上決戦」みたいで、どっちに転んでもただでは済まない火薬の臭い満載じゃないですか。

そして、だからこそ、「規律徹底の戦い」は、監督にとって避けて通れない一戦。避けて通ったり、腫れものに触るように気を遣ったり、正面から衝突したものの抵抗に負けて妥協したりすれば、選手も事務方も、そしてメディアやファンまでもが、「このチームの真のボスは選手の○○」と認識します。この状態でチームとして成果を出せるか。まず無理でしょう。チーム戦では、方向性がばらばらなスター軍団よりも、一つにまとまった地味チームが強い。そもそもチームスポーツの醍醐味はここにあるわけです。

●ボスは私、チーム優先。基本姿勢を正す

この規律徹底の戦いには、二つの意味を込めなければなりません。一つは「ボスは私。誰がこのチームを仕切るのかをはっきりさせる」。もう一つは「チーム優先。特定の誰かをチームより優先することは許さない」。どちらかだけでは問題が生じます。「ボスは私」だけを強調すると、権力欲や独裁欲だと受け止められかねません。「チーム優先」だけだと、最終責任者が最終決断するべき局面で、メンバーたちがノーと言うわがままを許すことになります。

チームを優先させろ。わがままは許さない。最終決断は最終責任者である私が行う。これを全チームメンバーに徹底させないとどうなるか。野球でもサッカーでも、地力に優れたチームが空中分解した例はいくらでもありますよね。私が印象的だったのは、ジョゼップ・グアルディオラがFCバルセロナの監督に就任した際の逸話です。チームよりも自分のプレースタイルを優先させていたスター選手数人をチーム構想から外すと明言し、遅刻1分ごとに500ユーロの罰金を科しました(自分が所用で遅刻した際もきっちり罰金を払いました)。これが見本です。

会社の経営管理でも同じです。事前連絡なく遅刻する、タバコをポイ捨てする、安全用具を着用しない、会議に遅れる、大した理由もなく欠席する、管理監督者なのに見て見ぬフリ。こういうわがままを許してはいけません。特に管理者やベテラン社員など影響力の大きい社員の規律破りを見逃すと、モラル低下は全社に及びます。

こういう規律の戦いから逃げた(負けた)経営者を見て社員たちはどう思うか。中国でもタイでもフィリピンでも、「リーダーシップが欠如している」と見なします。
社員はもう真剣に経営者の話を聞きません。声の大きいベテラン社員や管理者の顔ばかり見るようになり、経営者は何もさせてもらえないまま任期が過ぎるのを待つことになります。覚悟を決めて規律徹底の戦いを布告してください。

新任監督が押さえる三つの要。こんな観点でもスポーツニュースに接してみてください。

ではまた次回!

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