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「外国人の中国在留就労許可制度試行実施方案」を簡潔に紹介する(連載の二/全二回)

中国ビジネスレポート 労務・人材
邱 奇峰

邱 奇峰

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2017年3月3日

前回では、外国人の中国在留就労許可制度試行の「一、二証一本化」と「二、分類管理」について分析した。以下では、「三、ポイント制」、「四、申請手続き及び取扱手順の簡素化」、「五、新方案による幾つかの影響」について引き続き検討する。

三、ポイント制

前述した通り、中国に在留し就労するA類とB類の外国人に対してポイント制が実施され、そのうち、A類人材に対しては85点以上を、B類人材に対しては60点以上を取得するよう要求している。相対的に見た場合、ポイント制は一層細分化されており、外国人中国在留就労申請に対する審査許可基準が厳格化され、外国人(特にB類人材)が中国在留就労を申請するうえでの難度が引き上げられ、申請者の報酬給与水準、教育水準、勤務年数、年齢、中国語水準、勤務地域といった要素が全て審査対象となっている。詳細を下表の通りである。

採点項目・配点表(試行版)
採点項目 基準 配点
直接に資格を与える対象項目 国内人材導入計画において選ばれ、且つ専門分野で取得した実績に関する国際公認の認定基準を満たす者
市場の方向性に適合する奨励類職位の基準に合致する者
イノベーション・起業する人材及び有能な青年人材
国内の雇用主から支払われる年間報酬(万元)
本項目の最高は20点満点である
45万元以上  20
 35万元以上45万元未満 17
25万元以上35万元未満 14
15万元以上25万元未満 11
 7万元以上15万元未満 8
5万元以上7万元未満 5
 5万元未満 0
教育水準又は国際職業資格証明
本項目の最高は20点満点である
博士又はそれと同等水準 20
修士又はそれと同等水準 15
学士又はそれと同等水準 10
係る勤続年数
本項目の最高は15点満点である
2年を超過した場合、1年増えるごとに1点加算する 最高で15点
2年 5
2年未満 0
年間勤務時間
本項目の最高は15点満点である
単位:月
年間勤務時間が9ヶ月以上 15
6ヶ月以上9ヶ月未満 10
3ヶ月以上6ヶ月未満 5
 3ヶ月未満 0
中国語水準
本項目の最高は10点満点である
中国語を教育言語とする学士以上の学位を取得した。 10
漢語水平考試(HSK)五級以上合格 10
漢語水平考試(HSK)四級合格 8
漢語水平考試(HSK)三級合格 6
漢語水平考試(HSK)二級合格 4
漢語水平考試(HSK)一級合格 2
勤務地域
本項目の最高は10点満点である
西部地域 10
東北地域などの旧工業基地 10
中部地域における国家レベルの貧困県などの特別な地域 10
年齢(歳)
本項目の最高は15点満点である
18歳から25歳まで 10
26歳から45歳まで 15
46歳から55歳まで 10
56歳から60歳まで 5
60歳を超えた者 0
世界の名門大学卒業生又は世界500強企業での就職経験がある者
本項目で5点満点とする
世界ランキングTOP100位以内に入る国外の名門大学卒業生 5
世界500強企業に就職した経験がある 5
省級外国人就労管理部門による奨励ポイント加算
本項目の最高は10点満点である
地方の経済・社会の発展において、非常に不足している特別な人材
(省級外国人就労管理部門が具体的基準を制定する)
0-10

上表によると、中国は高学歴、高スキル、創造性及び豊富な勤務経験を有する外国人が中国に在留し就労することを奨励しており、市場のニーズを重視し、外国人の中国語学習を奨励しているほか、外国人の中国東北部、中西部といった後進地域における就労を重点的に奨励し支援していることがわかる。この点について、ポイント制において10点分の奨励を与えている。

四、申請手続き及び取扱手順の簡素化

新方案は「インターネット+行政事務サービス」による行政事務スキームを推進し、企業がオンラインでアカウントを作成し、オンラインで申請を行い、資料を提出することができると定めており、オンライン事前審査のステップを追加した。また、新方案では行政簡素化及び権限委譲により、申請資料に対する要求を相対的に簡素化し、審査許可の手順を最適化しているが、これらは具体的に以下の方面にて体現される。

1.全国レベルの「外国人中国在留就労管理サービスシステム」を構築し、1つの優先窓口があり、対応期日が設定され、規範化し、オンラインによる手続きという取扱方法が推し進められ、これにより情報が人に替わって行き来することになり、事務効率の向上に有利である。
2.各申請資料の種類、数量、書類名称、書式、部数などを統一して規範化した管理を行い、且つ新方案の別紙に提出必要資料の雛形が添付されていることは、申請者が規範化した申請資料を提出し、時間・労力・コストの削減に有利である。
3.人的資源・社会保障、外交、公安など他部門間での情報共有・連携、情報システム共通化、就労許可とビザ・居留証データの共有を実現させることは、外国人の中国在留就労申請におけるその他証書の手続きの簡素化に有利である。
4.「検査対象を無作為抽出し、法執行・検査員を無作為選任・派遣し、検査および処置結果を速やかに公開する」 という業務スキームを実施し、雇用主と中国に在留し就労する外国人との信用体系を構築し、外国人及びその勤務先に対し、二重の監督管理を実施することは、外国人に対する監督管理及びその権益の保障を強化することに有利である。

五、新方案による幾つかの影響

1.手続きとその流れが簡素化することで、企業が証書手続きを行う際に、少なくとも係る手順が一層迅速・便利になる。
●二証一本化、二許可体系の一本化に伴い、企業が外国人を招へいする際に、2つの制度体系を把握する必要がなくなる。
●同時に、新方案がオンライン+オフラインを一体化した管理スキームを採用し、全体的にいえば、外国人の中国在留就労手続き及び審査許可の手順が最適化され、従来に比べると、企業が外国人を招へいする際の手続きの効率が大きく向上し、企業は可能な限りでオンライン方式を採用することができる。

2.一般外国人の中国在留就労の難度がより高くなる可能性がある。
●新方案においては、分類管理制度においてもポイント制においても、中国在留就労を申請する非高度人材のB類とC類外国人について、いずれも規制的又は限定的な政策を採用しており、この制度によれば、将来、一般外国人が中国に在留し就労すること、又はすでに中国で就労しており就業証延期手続きを行う際の難度が高くなることが考えられる。
●企業が外国人を招へいする際には、まず当該外国人が新弁法で求められる中国で就労許可手続きを行う条件を満たすことができるかどうかを確認しなければならない。
●就業証延期手続きを行う必要のある外国人については、もしも新弁法に基づきその条件に合致しない場合には、新弁法の要求を満たすよう措置を講じて条件を作り出す必要がある。

3.企業が係る現地政策について各地域の関係部門に速やかに確認する必要がある。
●国家外国専家局によれば、2016年9月27日に発布された「外国人の中国在留就労許可制度試行実施方案の印刷・配布に関する国家外国専家局による通知」では、「『外国人入国就業許可』と『外国専門家中国在留就労許可』を『外国人中国在留就労許可』に一本化し、国家外国専家局が実施をつかさどり、地方政府は実情を踏まえて参照実施する」としている。つまり、新方案はただの原則的規定に過ぎず、各地域はこれに準じて実施実施することができ、地域ごとの異なる実情を踏まえた調整を認めている。
●新方案は、B類外国専門人材の限定的条件において「確かに必要である場合、年齢、学位、又は職務経歴などの制限を適度に緩和することができる」と規定しており、地方政府に一定の自由裁量権を与えている。
●新方案実行後、各地域における既存の弾力的政策(例えば、上海地域では、年齢が満60歳以上の外国非高度人材に対して、実務取扱上は、法定代表者(董事長)、総経理又はその他会社にとってやや重要で、代替不可能な管理職である場合、年齢制限を適宜緩和することができること)について、それがそのまま実施されることになるのかどうか注意を払う必要があると思われる。

(里兆法律事務所が2017年1月7日付で作成)

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