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わが社の中国戦略 沖電気工業―2003年度の中国向け売上高は2倍増の200億円を目指す―

中国ビジネスレポート 各業界事情
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2003年4月1日

<各業界事情>
わが社の中国戦略 沖電気工業
―2003年度の中国向け売上高は2倍増の200億円を目指す―

アジア・マーケット・レビュー 2003年4月1日号掲載記事)


沖電気工業は、2002年4月に「中国ビジネス推進室」を設置、それ以来8つの社内カンパニーと関連会社6社で構成する中国ビジネス推進委員会を毎月開催してきた。初代となる久米川吉孝室長は「ライバル各社に比べると中国市場での売上高はまだ少ない」としながらも、2003年度は200億円と2倍増を目指す。主力となる半導体製品を強化する一方、コールセンター製品の「CTStageシリーズ」やインターネット電話(VoIP)など中国向け品揃えも充実してきた。「今年は沖電気にとって“中国元年”になる」という久米川室長に展望を聞いた。〔聞き手:内田俊二〕

半導体事業の強化

―中国ビジネスの現状を紹介して下さい

「中国市場向け売上高は2002年度約100億円の見込みで、うち50%強を半導体が占める。セットメーカーや電子部品業界の申国進出で、取扱高が増え中国向けでは主力商品だ。2002年には販売会社の日沖電子貿易(上海)有限公司を設立した。今年6月には技術供与した上海宏力半導体製造有限公司(GSMC)が生産開始する。GMSCは新型ICも生産する予定で中国だけでなく海外への輸出も考えている。現地体制の強化で人民元での取引を希望する顧客への対応も可能になる」

「半導体分野では携帯電話端末の音源用ICでフェイスと提携、GSM方式端末向けの売り込みを始める。中国はGSM方式が主流だが音源用IC搭載率は1O%以下で、これからの市場だ。自社開発で自信ある音源用ICが提供できるようになった。フェイスは端末向けコンテンツ配信で実績があり、今後のビジネス拡大が期待できる。国内(PDC方式)ではヤマハの市場シェアがほぼ1OO%で、沖電気はGSM方式、それもまず中国市場で勝負する」

―半導体以外は如何ですか

「沖電気はインターネット電話(VoIP)関連製品、コールセンター製品“CTStage”では高い実績を持つ。VoIP、CTStageは今年から本格販売に乗り出す。2001年に中国でのソフト開発拠点として沖電気軟件技術(江蘇)有限公司を設立したが、SI(システムインテグレータ)の機能もあり、これら製品の拡販を支援する」

「沖電気グループが中国事業に本腰を入れ始めたのはここ2〜3年で、ようやく事業の骨格ができた。半導体に加えてVoIPやCTステージなどの投入で2003年度は前年度比2倍増の200億円を目指す。昨年末の展示会で初めて紹介した動画監視用サーバ(ビジュアルキャスト)の引き合いも多く、手応えを感じている。中国は地場企業が多く、競争が激しい市場だ。日本市場で2番手以下の商品で参入しても勝てないだろう」

■沖電気の中国拠点(表)

社名 設立時期 資本金(出資比率) 場所 概要
常州沖電気国光通信機器有限公司 1997/5 730万ドル(70%) 江蘇省常州市 PBX,IP関連製品などを生産、土地面積2,842平米
上海宏カ半導体製造有限公司 2000年 技術供与 上海市 台湾半導体企業に技術供与、2003年6月から生産開始
沖電気実業(深セン)有限公司 2001/7 100万香港ドル(100%) 深セン市南山 ATM(年産1万台)、沖データ製プリンタなどを生産
沖電気軟件技術(江蘇)有限公司 2001/12 1億円(100%) 江蘇省常州市 ソフト開発、SI事業、2005年までに人員500人まで拡充
日沖電子貿易(上海)有限公司 2002/5 50万ドル(100%) 上海市浦東新区 半導体の輸入・販売

そのほか北京と上海に沖竃気工業の駐在員事務所

生産拠点の稼動順調

―生産拠点としての中国の役割は?

「2001年にATM(現金自動預払い機)生産を移管した沖電気実業(深セン)は順調だ。ほぼ全量が日本向けで年産能力1万台、日本の“新紙幣効果”もあり高い操業率を維持している。中国の銀行に沖プランドのATMを販売するため準備を進めている。金融機関向け通帳・帳票用プリンタ、沖データ製プリンタは、月産1万台で、逐次増産している」

「1997年に設立した常州沖電気国光通信機器設備有限公司も黒字経営である。ITバブル崩壌は国内の通信機器メーカーに打撃を与えたが、常州沖電気はPBX(構内交換機)などが主力で影響は少ない。今後はIP電話関連に注力することになろう。半導体は、今年6月に操業開始するGSMCに生産を委託するが、今のところ新しい生産拠点は考えていない。むしろ今後は中国での販売強化を推進する」

中国統括会社はまだ設立しない

―中国ビジネスは難しいとの声もあります

「中国でモノを売る、作る、開発する・・・など色々なビジネス形態がある。モノ売りもコンシューマー向けと企業向けがある。たぶん日系企業が中国でコンシューマー製品を販売するのが一番困難なパターンだろう。沖電気の場合、販売先は企業で、しかも日系企業も多い。生産、開発も日本の親会社が委託する形式で大きな困難は感じていない。中国に統括会社を設立する利点は大きい。販売の一元管理ができるほか、グループ企業間の外貨バランスを調整できる。しかし外貨バランスのグループ企業間調整が認められた例はまだなく、資本金も最低36億円が必要だ。事業規模からすれば統括会社の設立は時期尚早である」

「中国ビジネス推進室は昨年4月に誕生した新しい組織だ。沖電気は社内カンパニー制を導入し、独立採算制を採用している。縦割り組織に横の役目を果たすのが狙いで、毎月開く中国ピジネス推進委員会により中国ビジネスに関する戦略も固まってきた。中国は一度決めると、その後の対応は素早い。2020年までにGDPを4倍にする目標を公言しており、少し無理があっても現在の経済成長が続くと思う。新組織が誕生して約1年がたち、新たに迎える2003年度は飛躍の年にしたい」

久米川吉孝 1974年沖電気工業入社、1983年にFAX販売で中国を担当。1997年12月〜2.02年4月まで北京駐在員事務所長、帰国後2002年5月から現職。1951年生まれ51歳、秋田県出身。

本記事は、アジア・マーケット・レヴュー掲載記事です。

アジア・マーケット・レヴューは企業活動という実践面からアジア地域の全産業をレポート。日本・アジア・世界の各視点から、種々のテーマにアプローチしたアジア地域専門の情報紙です。毎号中国関連記事も多数掲載されます。

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