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特集 子供向けビジネスは宝の山

中国ビジネスレポート 各業界事情
旧ビジネス解説記事

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2003年7月23日

2003/08/01 Walker China 8月号 15~23ページ PDF

特集
お子様は神様です 子供向けビジネスは宝の山!

十三億の人口を抱える中国。一人っ子政策を掲げながらも、その子供人口が下落することはない。父母に加え、双方の祖父母から溺愛される子供。その六つの財布から流れ出るかわいい「わがままっ子」(小皇帝)への投資もまた、とどまるところを知らない。

中国での子供向けビジネスは掘り方次第で宝の山になりうる。

世界一になるための中国戦略

―感動を創造する、おもちゃのバンダイ

たまごっちにウルトラマン、ガンダム―誰もが夢中になって遊んだことのあるおもちゃたち、その仕掛け人はバンダイだ。バンダイ本社が掲げるテーマは「世界一の感動創造企業」。世界一のためには、まず中国で一番に。壮大な夢を現実に変える中国戦略のキーワードは「現地化」にあった。

苦戦してきた四つの理由

世界のおもちゃの八五%を生産するともいわれる中国。おもちゃ業界が中国を世界の工場として認識したのは早く、八〇年代から中国に生産基地がつくられ始めている。

バンダイも福州に工場を設立したのが一九八五年、約二〇年の歴史をもつ。そして、中国での内販を視野に入れて一九九六年にバンダイ上海が始動するが、今日に至るまで苦戦を強いられてきた。

日本ではおもちゃ業界を牽引するあのバンダイが、苦戦する理由はなにか? 第一に、キャラクターマーチャンダイジング事業の不振が挙げられる。キャラクターマーチャンダイジングとは、キャラクターのもつ世界観を最大限に活用し、おもちゃや商品を通して子供たちに夢や感動を与えることで、バンダイが手掛ける事業の柱だ。

「中国では、メディアが日本のように機能していないことが、不振の原因として大きいですね」と猪野事業部長は指摘する。日本では、一つのキャラクターは毎週テレビで放映され、雑誌で漫画化され、消費者に強くアピールすることができる。関連グッズの購買意欲が掻き立てられるのは必至だ。一方、中国では定時に子供向け番組を放映することもなければ、子供は子供向けの雑誌を買う習慣もない。キャラクターが健全に浸透する土壌が育っていないのだ。

「二つ目の理由にはおもちゃの価格が高いこと。三つ目は海賊版の問題。四つ目には商習慣の違いが挙げられます。」

一言でいえば、現地についての調査と理解不足、と猪野氏は苦戦の理由を総括する。

中国による、中国の、中国のためのキャラクター開発

中国に住む人が「欲しい」と思う商品をつくるためには「現地化」がキーワードになる、と猪野氏はいう。これまでは日本市場向けにつくられた日本のキャラクター商品を中国で売ろうとしてきた。

それだけではなく「中国による、中国の、中国のためのキャラクター開発」をバンダイは考えている。つまり、中国独自のキャラクターを開発し、生産は中国の工場で。そして、中国人に受け入れられる価格で提供する。すべてを現地化する方向性を模索しようというのだ。「そのためには、中国の子供の視点に立ったまずマーケティングが肝心です」

流行を先取りして予測を立てるのは、日本でのマーケティング手法そのままだ。雨が降ってから傘をつくるのでは遅い、雨が降るのを察知して傘をあらかじめ用意しておかないと、と猪野氏は例える。この時代との密接なリンクがおもちゃ業界のおもしろさでもあり、リスキーな側面でもある。

その流行のムーブメントを察知するためには、自ら足を運び、自分の皮膚感覚で消費者を理解することが欠かせない。今、中国語を勉強しているのも中国の子供たちが何を話しているのか知りたいから、と猪野氏は意欲を見せる。

「中国の人たちが本当に欲しがっている価値を知りたい。それは、中国攻略の大きなヒントになってくれることでしょう。」

海賊版との価格差は一・五倍に以内に

現在バンダイが販売する正規のウルトラマン人形は二八元。巷に出回る海賊版人形は二元。

実に一四倍の価格差だ。両者が並んで売られていたとしたら、ニセモノとはわかっていても海賊版に手を伸ばしたくなってしまうのが買い手の心情だ。

海賊版を駆逐するためには、ホンモノが安くならないといけない、と猪野氏はいう。知的財産権の保護はもちろんだが、ニセモノに対する競争力を高める必要があるというのだ。

たとえば生産を現地化することで工場との距離を短くできる。商品仕様の現地化とコスト低減が可能になる。そうすれば、結果的に消費者の手が届く価格で商品を提供できるようになるのだ。

「ニセモノとの価格差を一・五倍以内に抑えられれば、消費者はホンモノを選んでくれるような気がしています」

ちなみに、上海での成功モデルとして参考にしたいのは?という質問に対し、猪野氏が挙げたのがサントリー。販売価格は地元のビールと互角。完全現地生産体制。中国向けの新しいブランドマークに、味は日本のそれとは変える?ビールに「現地化」の発想を倣い、おもちゃに応用したいというのが猪野氏のねらいだ。

来年の春節を目指して、中国市場のために着々と新しいおもちゃの開発は進行中だ。概要はまだ秘密だが、ヒントは「中国人が好きなこと」。一三億の市場で何千万個と売れるヒット商品を市場に出してびっくりさせたいと、水面下でプロジェクトは動いている。

世界一を目指すバンダイ。その世界戦略の第一歩からは、当分目が離せそうにない。

万代貿易(上海)有限公司
万代中国事業拓展部
上海黄浦区福州路666号
金陵大廈22階A座
電話021-6391-7576
FAX021-6391-7577

迅速な店舗展開でブランド力向上を図る

―「販売チャネル」をアジア全体に広げる麗嬰房Les Enphants

台北生まれの乳幼児服・用品のブランド麗嬰房。Les Enphantsはフランス語で「可愛い」という意味。象のマークをシンボルに店舗は中国全土、タイ、インドネシア、シンガポールに及ぶ。広大なエリアで店舗展開を成功させたカギは、そのフレキシブルな戦略にあった。

大陸の子供には「ポケット」が六つ?

「大陸の子供には六つのポケットをもっているんです」と麗嬰房のマーケティングに携わる林建志経理はいう。父母、父方・母方双方の祖父母を合わせて六人が一人の子供の「スポンサー」という意味だ。少子化が進み育児に投じられる金額はますます増える。

乳幼児服・用品の一大ブランドとして麗嬰房の知名度は高い。一九七一年に台北で設立。大陸には一九九三年に進出。上海を手始めに、そのネットワークは三〇都市、四三〇の直営店、フランチャイズ店三〇、ベンダーを含め一〇〇〇店舗に及ぶ。

この一〇年間の躍進ぶりについて林経理は、「現地化経営を進めた」ことをまず挙げる。現在、一五〇〇名のスタッフで台湾省出身の幹部はわずか十数名。技術面でのもち場を担当しているだけだという。

次に、「麗嬰房はブランドというより、販売チャネルである」という基本戦略を挙げた。麗嬰房の売り場には他社ブランド製品も並ぶ。社会の不断な進歩、人々の審美眼や消費傾向の変化、中国大陸の地理的なスケールを考えると、顧客満足を得るためには多種多彩な商品を備える必要があることを指摘している。いまや上海では幼児が股の割れたズボン(開?Kai Dang Ku)を履く姿はほとんど見られない。かといって、上海での消費者傾向をそのまま気候の異なる東北地方にもち込むことはできない。それほど大陸の市場は多彩である。

予想されるブランド淘汰と統合

品質へのこだわり、そして消費者へのアフターケアも重視する。電話マーケティング部門を設け、顧客からの要望吸い上げに努める。「たとえば顧客満足度九〇%という調査結果が出ますよね。私たちが注意を向けるのは、残り一〇%の不満足層の意見なのです」と林氏。「子供向け用品ビジネスは一生涯の事業」を経営理念として、企業生存の基本は顧客にあるという立場を主張してやまない。

現在、中国の乳幼児服のマーケット競争は三つに大別される。一つは「博士娃」「好孩子」といった大陸ブランド、二つは「麗嬰房」「巴巴豆」などの台湾ブランド、三つ目が舶来ブランド。林経理は、「これからは市場の競争が激烈になるでしょう。「洗牌」(ブランドの提携、統合、淘汰を続ける現象)も進んでいくことでしょう」と予見する。麗嬰房自身のブランド力について林氏は「五歳以上の年齢層の商品ですと、知名度が少々落ちるでしょうか」と唯一、現在抱えている課題を挙げた。

それでも、事業拡大路線の軌道上にある麗嬰房が繰り出す戦略は迅速、斬新である。スポーツシューズの「ニューバランス」と提携、同ブランドの大陸販売権を得た。今後は玩具、児童教育等にも視野を広げた展開を見せていく予定だ。

マーケティング&ブランドディレクター林建志(Ricky Lin)経理「もともとは理工系なんです」というRicky経理も麗嬰房に関わってすでに8年。台湾省宜蘭の出身。「大の子ども好き」なことと同社の企業文化に惹かれ転業を決意したという。

上海麗嬰房嬰童用品有限公司
上海市閔行区七路1855号
電話:021-64193780
Fax:021-64193901
http://www.phland.com.cn/

ベビーカーからライフスタイルを応援

―ベビー用品の高級ブランド・コンビの戦略

赤ちゃんの頃誰もがお世話になったベビーカーは機能やデザインなどより使いやすく進化している。そのベビーカーの日本ナンバーワンブランドがコンビだ。赤ちゃんとお母さんのコンビから家族全員のライフスタイルまで応援するコンビの、子供大国・中国で展開戦略を追った。

一三億の国民を抱える中国は、生まれてくる子供の数も多い。さらに一人っ子政策によって子供はとても大切にされるので、ベビー用品メーカーにとって、中国はかなりおいしいマーケットと思われる。ところが、どうやら一筋縄ではいかないらしい。

上海・浦東新区の野球場(?!)に事務所を構えるコンビ上海の母体・コンビ株式会社は、日本で子供をもつ親なら誰でも知っている高級ベビー用品ブランドだ。同社の主力製品のベビーカーは、使いやすさや軽さといった機能性もさることながらデザイン面でも大きな支持を得ている。

しかしコンビのベビーカーは文字通り高級品。中国での平均小売価格は二〇〇〇元。普通のベビーカーは二〇〇~二五〇元が平均なので、なんと一〇倍だ。現在の生産はすべて中国で行っているため、メイドインチャイナでこの価格?と苦戦を強いられることもある。そのため

中国市場の平均価格にマッチする商品を展開するために、プライベートブランド「ゲンキ」を立ち上げコスト重視のベビーカーも提供している。

その一方では、上海を中心に富裕層が増え、高級品が売れる土壌は確立されつつある。「爆発的ではないが、同社の高級ベビーカーも着実に売れている」(ブランドマネージャー松本裕一郎氏)という。

ちなみにコンビ上海の二〇〇二年度の売上は六〇〇〇万元。二〇〇五年には一億元を目指す。現在の事業の柱はベビーカーであるが、年末を目処に子供服などのアパレル事業も展開する予定だ。

ブランドイメージ定着が課題

パパ、ママ、赤ちゃんの三人の関係をうまくつなぐ環境づくりを応援することをモットーとするコンビ。日本やアメリカ市場ではそんなベビーカーの地位が確立されているが、中国ではまだこれから。ベビーという固定された市場で地位を確立し、売上を伸ばしていくには時間がかかるというが、そのためには「ブランドイメージ」を定着させるための戦略が必要だと見ている。

その目下のお手本は、日本のベビー用品メーカー・ピジョン。日本では競合のピジョンではあるが、中国ではコンビがビジョンの代理店となっている。そのピジョンの売り方、広告のタイミング、きめ細やかな商品ラインナップなど、地元に密着した戦略はパートナーながら参考になるという。

中国の成長とともにベビー用品もおしゃれなもの、機能的なものが求められてくるであろう。その時こそ、コンビの本領が発揮されるときなのだ。

康貝(上海)有限公司
上海市浦東新区雲蓮路201号
電話:021-5886-4488
Fax:021-5872-2666

子供向けビジネスから見える中国の今

将来への投資、教育に関わる子供向けビジネスは「宝の山」だ。子供を思う親心に財布のヒモを緩ませることができるか。金脈を掘り当てるヒントは「中国の今」を読むことにある。

まるで世界のサンタクロース!?

中国に集中するおもちゃ工場

中国は世界一のおもちゃ生産国である。全国のおもちゃ業者は六〇〇〇以上、そのうち八五%は輸出専門だ。おもな輸出先はアメリカ、ヨーロッパ、そして日本だ。世界で売られているおもちゃのうち、低価格帯の七〇%の商品は中国産である。また、中国産のおもちゃのうち七〇%が広東地方で生産されている。

中国おもちゃ協会の発表によると、二〇〇二年一一月までで、おもちゃの輸出額は八〇億米ドルに達した。前年に比較し二七%の成長率だ。また、中国のおもちゃ企業は商品開発能力が低く、加工型の輸出が多くなっているのが特徴だ。

おもちゃの種類は増え続けており、最近はタオル玩具がメインだ。中国の今後の課題は、技術力を高め、高価格帯のおもちゃを増やすことといえるだろう。

総発行部数はなんと数億冊以上!

子供なら誰でも読んでいる「十万個のなぜ」

総発行部数一〇〇〇万セット以上の記録的な数値を更新しつづけているのが、「十万個のなぜ」(十万個為什間)だ。一九五九年に少年児童出版社から発行されて以来約五〇年で、総発行部数は実に数億冊を超えるという、驚きのお化け本シリーズだ。数学、物理、化学、動物、植物、人体、地球、宇宙、環境、情報、建築といった理系寄りな切り口で、質問も「クローン技術ってなあに?」「セラミックは鉄の代わりになるの?」「コンピューターウイルスはなぜ発生するの?」など、これは本当に子供の質問?と聞きたくなる高度な内容ばかり。それもそのはず、中国科学院と中国工程院の専門家が編集を担当しており、一九九八年には国家科技進歩賞も獲得したお墨付きだ。

こんなに理系寄りの難しい本が数億冊も売れている時点で、理系に強い子供が育つ理由が納得できる数値結果だ。

これぞ隙き間産業

急速展開中、おもちゃリース業

二〇〇二年に設立されたおもちゃ用品会社「雨逢春」は、おもちゃリース業を営む中国初の企業だ。雨逢春はおもちゃのリースと販売、そして「児童楽園」(すべり台などの大型玩具を置いた子供広場)の経営を経営基盤としている。経営は順調で、全国に四八店舗をチェーン展開、内陸では新彊ウイグル地区にまで店舗をもつ。知能積み木やブランコ、おままごと、カタカタ(手押し車)、象のすべり台、おもちゃ箱などのラインナップでレンタルを展開している。

おもちゃのレンタル価格は決して高くはなく、三?一八元に設定。月収二〇〇〇元程度の家庭を対象にしている。子供はニ、三日で新しいおもちゃへの興味を失うと分析、同社はおもちゃレンタル業の市場に可能性を見出している。また、子供の体力増強の視点から、高価格な海外の何千元もする大型おもちゃを取り揃えているのも特徴だ。自分で買うには高いけれどレンタルなら試せる、という消費者心理をうまくとらえている。

本格指向の音楽教育が人気

レッスンパパ・ママが急増中

体育や音楽など、情操系の教育ブームが中国に来ている。上海に開校したばかりのある音楽教室は、第一期申込みに約五〇〇人が殺到した。

河合貿易(上海)有限公司によると、購買の動機は「子供のピアノレッスンのため」が最も多い。日本ではピアノは稽古事の一つとしてとらえられているが、中国では「将来はピアニストに」という夢を抱き、教育熱心な両親が子供に習わせる構図が多く見られる。そのため、親がレッスンに同伴することも少なくない。

ピアノの価格帯のボリュームゾーンは中国産ピアノの一万三〇〇〇元前後。しかしながら、本格指向の二万元前後のアップライト型のピアノも売れている。二〇〇二年度の中国市場でのピアノの総販売台数は二四万台。しかし人口からいえば普及率はまだまだだ。学校や家庭へのピアノ設置へ、発展の余地はまだたっぷり残されている。

幼稚園ビジネス

親心をねらいうち!特色を打ち出す

子供の教育は早くから……中国では幼稚園教育が盛んになりつつある。音楽や英語、体育などの方面に力を入れることで、子供の長所を引き出す幼稚園が増えている。「望子成龍」(子供の立身出世)を望む親心に訴えかける作戦だ。

名門で有名な宋慶齢幼稚園は、一つのクラスに英語のネイティブスピーカーと中国人教師の合計二人をつける授業を展開。幼い頃から耳を慣らし、英語が自然に話せるようになることを目指す。気になる授業料は一カ月の月謝が一一〇〇米ドル(日本円で約一二万円)の高額ぶり。ちなみに公立幼稚園の月謝は五〇〇元(約七五〇〇円)からが相場。なんと約一六倍だ。

しかしながら、これほど高くてもいい幼稚園に通わせたいと願う親は少なくない。子供の学力に基礎ができれば、これから楽に勉強できるだろうという考えが、高級指向の幼稚園ビジネスを支える。教育の早期化は加速しつつある。

前途有望!

中国の子供用品市場

一人っ子政策をとりながらも、十三億の人口を誇る中国では子供の人口は増えている。子供への消費を惜しまない親心に加え、経済発展により可処分所得が増えつつある中国。子供市場はいま、伸び盛りである。

近年来、中国の子供用品市場は急速に拡大してきている。その主な要因として、人々の収入の増加と生活水準の向上が挙げられる。とくに沿海部の大都市では、裕福な中産階級層が全体の二〇%以上を占めており、その割合は年々急速に拡大している。

家庭人数の減少による影響も大きい。現代の中国では、圧倒的多数の家庭において子供は一人っ子であり、親は揃って子供の教育や生活に投資を惜しまない。

また、商品の種類が豊富になったことも市場の拡大に貢献している。とくに、高級な食品や用品の増加が著しい。消費者にとって選択の幅が増えた結果、消費欲求が刺激されることになった。

子供の消費が多い「子供用品市場」は次のように大きく分類できる。即席食品、玩具、日用品、学習用品の四分野だ。

このうち、食品と玩具の市場は比較的成熟しており、競争も始まっている。一方、日用品と学習用品の市場には、まだまだ発展の余地が残されている。

低出産率と高増加数の共存が続く子供人口

中国子供市場の巨大化は続く

中国政府が一九七一年から実施してきた計画生育政策により、人口増加率は年々下降し、それまでの二六%から、二〇〇一年には七%までに減少した。しかし、そもそも中国の人口規模が巨大なため、毎年一三四二万人の新生児を生み出しているため、中国の人口は「低出産率と高増加数の共存」状態にある。

中国一三億の人口のうち、一四歳以下の子供は三・八億人に上り、全人口の二五%を占める。そのうち、都市部に暮らす子供は八千万、農村に暮らす子供は三億となっている。

また、全国にある小学校の数は四・五万校、幼稚園の数は一一・二万園ある。今後も、中国において、子供は巨大な消費群を形成しつづける見込みだ。

世界の玩具を生み出す中国

中国には約六〇〇〇社の玩具メーカーがあり、玩具メーカーに勤務する従業員の総数は一三〇〇万人を数える。ほとんどの玩具メーカーは沿海地域に集中しており、広東だけでも四〇〇〇社に上っている。広東メーカーのほとんどは香港企業の投資で設立されている。

現在、世界中で販売されている玩具の七〇%が中国製品である。中国は世界の玩具生産基地となった。主要な玩具は、ぬいぐるみ、プラスチック製玩具、ゴム製玩具、電子玩具、木製玩具、金属玩具、皮製玩具、子供用自動車等であるが、なかでもぬいぐるみと子供用自動車の販売数の増加が著しい。

世界的に有名な玩具メーカーの大多数は、中国に工場を開設したり、国内メーカーとの合作で中国を玩具の生産基地にしている。「電子ペット」を生産している日本のバンダイや、歴史あるバービー人形のメーカーも、中国にいくつもの工場を設立している。ミッキーマウス等の人気の外国製品も中国で生産をしている。

2000年度全国玩具輸出入統計

項目
輸入
輸出
  金額(万元) 前年比 金額(万元) 前年比
玩具 6219.7 ↑ 7.03% 586511.5 ↑ 9.90%
動物玩具 418.7 ↑ 105.45% 170804.0 ↑ 5.11%
電動玩具 495.2 ↑ 18.10% 45781.1 ↑ 7.26%
子供用自動車 422.2 ↑ 17.63% 35691.9 ↑ 49.63%
他の玩具 4883.5 ↑ 1.12% 334234.4 ↑ 9.72%
遊戯用品 7472.6 ↓ -15.77% 73925.0 ↑ 28.05%
ゲーム類 6857.8 ↑ 2.90% 59437.0 ↑ 38.30%
他の遊戯用品 614.8 ↓ -72.15% 14488.1 ↓ -1.81%

また、国内の玩具メーカーも、独自のブランドを創設している。広東のアウディ玩具が生産している〝四駆車迷?シリーズや、広東東莞が生産している智高、上海や福州で生産されているラジコンカー、本物を真似た車、バイク、飛行機等は、どれも人気だ。ほかにも、国内メーカーではぬいぐるみメーカーの嘉菲、パズルの威竜、プラモデルの百利威や、可高建造等がある。

調査によると、中国の都市部で暮らす子供は、一人平均一〇?一五個の玩具を所有しており、年間玩具消費額は一人平均三五元だった。一方、農村では一〇元に満たない。総体的にみると、中国における玩具の消費量はまだ発展途上にあるといえる。

発展が望まれる教育分野

調査によると、子供の消費の中では食品の占める割合が最も高く、五〇%を超えている。二〇〇一年に関連雑誌に掲載された子供用品の広告分析でも、このことが証明された。

食品以外では、子供の日用品が第二位になっており、服飾品や医薬品、学習用品等の占める割合は一〇%未満であった。しかし、最近の中国の教育重視傾向を受け、父兄による子供の智力開発や教育への投資は日々増加している。このため、子供の教育用品や智力開発商品といった教育分野は、まだまだ大きく発展するだろう。

都市部の裕福な家庭では、子供用品の品質や環境への影響、安全性等に対する要求が高まってきている。このため、乳幼児の粉ミルクや食品、赤ちゃん用のウェットティッシュやスキンケア用品、紙おむつ、服飾品等、主に外国製品を選択する傾向にある。

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