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内部統制【第二回】:3.CAAT(Computer-Assisted Audit Techniques, コンピュータ利用監査技法)の適用に関して

国際ビジネスレポート
川島 肇

川島 肇

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2015年10月2日

※前回までの記事はこちら ( https://chasechina.jp/author/writer40 )

内部統制の監査に経営資源の多くを掛けられない中堅・中小企業では、特にERPを導入しているような企業において、CAAT導入の検討は価値のある事だと思います。内部監査へのCAATの適用は、公認会計士協会から出されている報告が参考となります。 
IT委員会研究報告第40号では、事例による検討を報告しており、仕分けデータを分析する専用ツールのほか、表計算やデータベースなどのアプリケーションによっても効率的にCAATを実施することが可能な旨も述べられています。監査現場の具体例では、不正・誤謬の発見につながる着眼点や改善に向けた方向性などを例示しています。量産販売における売上早期計上や完成工事高架空計上の事例では、容易に実施できる証憑類の突合だけでなく、製品販売プロセスの不備を期末時点における未出荷売上データを入手しその妥当性の評価を行う事で、あるいは、工事別原価率データを確認し完成処理がなされた工事で原価率が著しく低い工事を抽出して計上の妥当性を検討する事で、それぞれの場面でCAATの実践により不正の兆候を掴む可能性があったと指摘しています。又、架空循環取
引に関わる不正会計データ捏造の摘発では、CAATによる仕訳テストの実施が有効である例を述べています。

研究報告第43号では、CAATの適用に伴い、以下のようなメリットを挙げています。

・監査対象期間の全仕訳を対象とした仕訳テストが可能となったこと
・分析的手続において作業負担をかけずに対象範囲を広げる事が可能となったこと
・関連データとの整合性の検討が容易になったこと

更にベンフォートの法則(※)を用いて母集団自体の分析を行い、虚偽表示の有無を検討することも可能であると述べています。(※ランダムな数字の集合体から、各数字の最初の一桁を取り、その数字が発生した回数を並べると、一定のルールが存在するという法則、不正検査の業界では有名な法則

最後にExcelを用いたCAATについて少し説明します。表計算ソフトとして、日常業務で幅広く利用されているソフトであるため、CAATでも利用しやすい利点があります。しかし、データ量に制限があり、データの上書きにより基データの有効性には注意が必要となります。CAATで使用するExcelの機能は下記となります。

・ピボットテーブル (グループ集計、条件付き集計と分析、ドリルダウン分析、等)
・関数 (VLOOKUP関数、IF関数、SUMIF関数、文字列操作関数、等)
・ 外部データの取込(CSVファイルをExcelへ変換)

又、CAATを適用した場合の概略手順は以下のような順番になります。
・事前準備段階では全般的な取引の傾向を把握し、抽出する条件を確定すること
・実際にデータを分析し、ルールの逸脱や不正の可能性のあるグレーな取引を抽出
・本監査で想定されたリスクのある取引の実地検証を行い、モニタリングにより同様の取引が起こっていないを継続的に監視する。

以上

フリーモント ビジネスソリューション
川島

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