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8月の経済指標

中国ビジネスレポート マクロ経済
田中 修

田中 修

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2011年9月21日

記事概要

本稿では、8月及び1-8月期主要経済指標を紹介する。【3,494字】

はじめに
 本稿では、8月及び1-8月期の主要経済指標を紹介する。

1.8月及び1-8月期の主要経済指標
(1)物価
①消費者物価
 8月の消費者物価は前年同期比6.2%上昇し[1]、7月より0.3ポイント鈍化した[2]。都市は5.9%、農村は6.7%の上昇である。食品価格は13.4%上昇し、非食品価格も3.0%上昇している。居住価格は5.5%上昇した[3]
(参考)3月5.4%→4月5.3%→5月5.5%→6月6.4%→7月6.5%→8月6.2%
前月比では、7月より0.3%上昇した。食品価格は0.6%上昇し、約0.19ポイントの影響を与えた。肉類及び肉製品価格は1.5%上昇し、うち豚肉価格は1.3%上昇(7月より上昇率は6.4ポイント鈍化)した。非食品価格は0.2%上昇し、居住価格は0.2%上昇した。
 1-8月期では、前年同期比5.6%の上昇である。都市は5.4%、農村は6.1%の上昇であり、食品価格は12.3%、非食品価格は2.8%、居住価格は6.1%の上昇であった。
 なお、国家統計局は、8月の上昇率6.2%のうち食品価格の牽引効果は約4.02ポイントとなり、肉類及び肉製品の上昇は29.3%、物価への影響は約1.89ポイント(豚肉価格の上昇は45.5%、物価への影響は約1.27ポイント)であったとし、このほか卵の上昇が16.3%、物価への影響が約0.14ポイント、水産品価格の上昇が14.7%、物価への影響が約0.33ポイント、生鮮野菜価格の上昇が0.1%、果物価格の上昇が4.0%、物価への影響が約0.07ポイント、油脂価格の上昇が17.1%、物価への影響が約0.19ポイントであったとしている。また、昨年の物価上昇の残存効果は約2.7ポイントであり、今年の新たな物価上昇要因は約3.5ポイントである。
②工業生産者価格[4]
 8月の工業生産者出荷価格は前年同期比7.3%上昇し、7月より0.2ポイント上昇が鈍化した[5]。前月比では7月より0.1%上昇している。
(参考)3月7.3%→4月6.8%→5月6.8%→6月7.1%→7月7.5%→8月7.3%
 1-8月期では、前年同期比7.1%の上昇である。
 8月、工業生産者購入価格は前年同期比10.6%上昇した。前月比では7月より0.2%上昇している。1-8月期では、同10.4%上昇した。
③住宅価格
 8月の全国70大中都市の新築住宅販売価格は前月比で16都市が低下し、30都市が同水準であった。前月比で下降・同水準の都市は7月に比べ15増加した。価格の上昇した都市では、上昇率幅は0.4%を超えておらず、上昇率が7月より減速した都市は8である。
前年同月比では、上昇率が反転したのが40都市であり、7月より14増加した。8月に前年同期比上昇率が5%以内の都市は45である。
 1-8月期の全国分譲建物販売面積は5億9854万㎡で、前年同期比13.6%増となった。うち、分譲住宅販売面積は13.1%増である。1-8月期の分譲建物販売額は3兆3264億元、前年同期比25.9%増であった。うち、分譲住宅販売額は24.4%増である。
 1-8月期のディベロッパーの資金源は5兆4738億元であり、前年同期比23.4%増であった。うち、国内貸出が8889億元、5.1%増、外資が633億元、71.5%増、自己資金が2兆2253億元、33.8%増、その他2兆2963億元、21.5%増(うち、手付金・前受金1兆3921億元、30.9%増、個人住宅ローン5506億元、-4.2%)である。
(2)工業
 8月の一定規模以上[6]の工業付加価値は前年同期比13.5%増となった。前月比では1.0%増である[7]。8月の主要製品別では、発電量10.0%増、鋼材12.9%増、セメント12.8%増、自動車9.5%増(うち乗用車15.9%増)となっている。乗用車は7月(12.6%)より伸びが加速した。
(参考)工業付加価値 3月14.8%→4月13.4%→5月13.3%→6月15.1%→7月14.0%→8月13.5%
 1-8月期では前年同期比14.2%増となった。重工業は14.6%増、軽工業は13.1%増である。主要製品別では、発電量13.0%増、鋼材13.1%増、セメント18.4%増、自動車4.7%増(うち乗用車9.5%増)となっている。
(3)消費
 8月の社会消費品小売総額は前年同期比で17.0%増となった。前月比では1.36%増である[8]。都市は同17.1%増、郷村は同16.4%増である。農村の消費の伸びが都市を下回っている。一定額以上の企業(単位)消費品小売額[9]は、22.1%増であり、うち穀物油・食品・飲料・タバコが24.0%、アパレル・靴・帽子類21.9%、建築・内装は25.4%、家具29.5%、家電・音響機器類14.8%増である。自動車は12.4%増であり、7月(11.9%)より伸びが加速した。
(参考)3月17.4%→4月17.1%→5月16.9%→6月17.7%→7月17.2%→8月17.0%
 1-8月期の社会消費品小売総額は11兆4946億元、前年同期比16.9%増である。都市は同17.0%、郷村は同16.2%増であった。一定額以上の企業(単位)消費品小売額は5兆2614億元、同23.5%増であり、うち穀物油・食品・飲料・タバコ25.1%、アパレル・靴・帽子類24.0%、建築・内装29.1%、家具類30.6%、家電・音響機器類20.5%、自動車14.9%増となっている。
(4)投資
1-8月期の都市固定資産投資は18兆608億元で、前年同期比25%増であった。前月比では1.16%増である[10]。中央プロジェクトは1兆722億元、-8.9%、地方プロジェクトは16兆9885億元、28.1%増であった。地域別では、東部が22.6%、中部が30.1%、西部が29.4%増である。
不動産開発投資は3兆7781億元で同33.2%増である。うち住宅は2兆7118億元、36.4%増である。鉄道運輸は-15.5%と伸びが大きくマイナスになった。
(参考)都市固定資産投資 1-3月期25.0%→1-4月期25.4%→1-5月期25.8%→1-6月期25.6%→1-7月期25.4%→1-8月期25%
  不動産開発投資 1-3月期34.1%→1-4月期34.3%→1-5月期34.6%→1-6月期32.9%→1-7月期33.6%→1-8月期33.2%
 1-8月期の新規着工総投資計画額は15兆7821億元であり[11]、前年同期比23.1%増と伸びが加速している。都市プロジェクト資金の調達額は21兆2194億元で、前年同期比23.3%増となった。うち、国家予算内資金が13.1%増、融資が9%増、自己資金調達が29.4%増、外資利用が14.1%増となっている。
(5)対外経済
①輸出入
8月の輸出は1733.1億ドル、前年同期比24.5%増、輸入は1555.6億ドル、同30.2%増となった。輸入額は3月の最高記録を更新した。貿易黒字は177.59億ドルである。
(参考)3月輸出35.8%、輸入27.3%→4月輸出29.9%、輸入21.8%→5月輸出19.4%、輸入28.4%→6月輸出17.9%、輸入19.3%→7月輸出20.4%、輸入22.9%→8月輸出24.5%、輸入30.2%
 1-8月期の輸出は1兆2226.3億ドル、前年同期比23.6%増、輸入は1兆1299億ドル、同27.5%増であり、貿易黒字は927.3億ドル、10%減となっている。
 1-8月期の輸出入総額では、対EU21.8%増、対米17.8%増、対日18.8%増[12]、対アセアン26.6%増である。
1-8月期の労働集約型製品の輸出は、アパレル類前年同期比24.8%増、紡績27.2%増、靴20.9%増である。電器・機械は同19%増である。また自動車の輸入は22.1%増になった。
②外資利用
8月の外資利用実行額は84.46億ドルであり、前年同期比11.1%増となった。
(参考)3月32.9%→4月15.21%→5月13.43%→6月2.83%→7月19.83%→8月11.1%
 1-8月期では、776.34億ドルであり、同17.7%増である。
③米国債保有
 7月末の米国債保有残高は、中国が前月比80億ドル増の1兆1735億ドルであった。2位の日本は38億ドル増で9148億ドルであった。
(6)金融
8月末のM2の伸びは前年同期比13.5%増と、7月末より1.2ポイント減速し、前年同期より5.7ポイント減速した。M1は11.2%増で、7月末より0.4ポイント減速し、前年末より10.7ポイント減速した。8月の現金純放出は592億元であった。
人民元貸出残高は52.44兆元で前年同月比16.4%増であり、伸び率は7月末から0.2ポイント減速し、前年同期より2.2ポイント減速した。8月の人民元新規貸出増は5485億元であった[13]
人民元預金残高は78.67兆元で、前年同期比15.5%増であった。8月の人民元預金は6962億元減である。うち個人預金は265億元増、企業預金は3710億元増である。
(参考)M2 : 3月16.6%→4月15.3%→5月15.1%増→6月15.9%→7月14.7%→8月13.5%
(7)財政
8月の全国財政収入は7546.37億元で、前年同期比1927.02億元、34.3%増となった[14]
1-8月期の全国財政収入は7兆4286.29億元で、同1兆7533.97億元、30.9%増に達した。中央レベルの収入は3兆8184.05億元で、同27.5%増、地方レベルの収入は3兆6102.24億元、同34.7%増である。
1-8月期の税収は6兆4880.09億元で、同28.3%増となっている。税外収入は9406.2億元で、同51.8%増である。
(参考)財政収入 3月26.7%→4月27.2%→5月34%→6月27.6%→7月26.7%→8月34.3%
 8月の全国財政支出は8076.96億元で、前年同期比1663.27億元、25.9%増となった。
 1-8月期の全国財政支出は5兆9462.02億元で、同1兆3426.1億元、29.2%増に達した。中央レベルの支出は1兆583.98億元、同9.3%増、地方財政支出は4兆8878.04億元、同34.5%増である[15]
(8)電力使用量
 8月の全社会電力使用量は前年同期比9.1%増であった。1-8月期では11.9%増である。うち、第1次産業は4.7%増、第2次産業は11.8%増、第3次産業は14.6%増である。

(9月20日記3,494字)

[1]厳密には前年同月比6.151%上昇、前月比0.308%の上昇である。なお、旧ウエイト付けで試算すると前年同月比6.250%の上昇、前月比0.305%の上昇となる。
[2]ピークは2008年2月の8.7%である。
[3]なお、国家統計局の盛来雲スポークスマンは、1月のウエイト付け改定で、居住価格のウエイトは20%前後になったとしている。
[4]2011年から、「工業品工場出荷価格」は「工業生産者工場出荷価格」に、「原材料・燃料・動力購入価格」は「工業生産者購入価格」に名称が改められた。
[5]ピークは2008年8月の10.1%である。
[6]2011年から、年間の主たる営業収入が2000万元(以前は500万元)以上の企業に改められた。
[7]2月は前月比0.96%増、3月は1.15%増、4月は0.95%増、5月は0.98%増、6月は1.39%、7月は0.87%増であった。
[8]2月は前月比1.25%増、3月は1.34%増、4月は1.35%増、5月は1.29%増、6月は1.43%増、7月は1.26%増であった。
[9]2011年から、一定額以上の企業(単位)消費品小売額が発表されることとなった。限度額は、主たる営業収入が2000万元以上の卸売企業、500万元以上の小売企業、200万元以上の宿泊・レストラン業企業となっている。
[10]2月は前月比0.70%増、3月は1.94%増、4月は4.04%増、5月は-1.54%、6月は-1.30%、7月は1.38%増であった。
[11]2011年から計画総投資額のベースは、50万元以上のプロジェクトから500万元以上のプロジェクトに引き上げられた。
[12]日本への輸出は941.3億ドル、前年同期比25%増、日本からの輸入は1278.5億ドル、同14.6%増、日本に対する貿易赤字は337.2億ドル、同-7%である。
[13]新規貸出が再び増加したことについて、経済日報2011年9月12日は、これは主として季節的変動だとする。すなわち、商業銀行は経営業績を上げるため、上半期末に短期貸出を増やすので、7月の貸出は反動減となり、8月はまた緩やかに上昇する傾向がある。
[14]主な収入の内訳は、国内増値税1959.9億元、前年同期比18.1%増、国内消費税587.62億元、9%増、営業税939.31億元、23.4%増、企業所得税494.77億元、17.9%増、個人所得税483.54億元、32.6%増、輸入貨物増値税・消費税1229.36億元、34.4%増、関税232.33億元、31.8%増、車両購入税177.86億元、25.3%増である。輸出に係る増値税・消費税の還付は812.71億元であり、24.5%増である。
[15]支出で伸びが大きいのは、社会保障・就業7168.39億元、34.5%増、農林水産4990.49億元、37.7%増、都市・農村コミュニティ4345.12億元、43.5%増、交通・運輸4137.69億元、39.7%増、医療・衛生3420.91億元、58.3%増、住宅保障支出1814.04億元、68%増である。

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