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ログイン2011年9月7日
Ⅱ.独資転換作業(作業全体・地方の既得権の精算)
1.組織転換にはどの程度時間がかかりますか。
2.独資転換後も、同一社名を使用できますか。
3.既存の法人に事業移管をする場合でも、操業を止めない組織変更の優遇は適用されますか。
4.独資転換後は、従来徴収されていた加工賃からの諸費用徴収は不要になりますか。
5.独資転換後も、継続して村から工場長、その他の人員の受入れが必要ですか。
Ⅲ.独資転換作業(資産・人員の移管)
1.無償提供設備は現物出資できますか。
2.設備機械の現物出資の評価方法を教えて下さい。
3.無償提供設備を保有する香港側では既に設備の償却を完了していますが、どの様に処理したらよいですか。
4.加工廠が国内購入した設備は現物出資できますか。
5.設備移管に際しての増値税課税方法を教えて下さい。
6.従業員移管時点で経済補償金を支払う必要はありますか。
7.来料加工廠内の原材料・仕掛品・製品はどう処理するのですか
8.加工廠内の設備・製品を国内処分する場合の課税はどうなりますか。
Ⅳ.独資転換作業(資本金払込・清算剰余金回収)
1.独資転換後の清算剰余金を外国企業が回収することはできますか。
2.資本金の払い込みに際して、現物出資と現金出資の割合はどうする必要がありますか。
Ⅴ.組織転換後の運営
1.独資転換後の加工貿易形態は、進料加工に限定されますか。
2.進料加工企業に転換した場合、国内販売はできますか。
3.来料加工と進料加工は、増値税課税上どちらが有利ですか。
4.差額核銷方式の進料加工(売・買掛の相殺)を行う場合、外貨の消し込み照合方式はどうなりますか。
5.独資転換した場合、加工貿易保証金の納税義務に変更はありますか。
※ 加工貿易に関する詳細につきましては、こちらもご参照ください。
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それだけでなく、加工廠が外貨口座を持てない事から、加工賃(外国企業⇒加工廠)が貿易会社の外貨口座に入金される事になるのですが、これを加工廠の口座に振り替える前に、換金手数料・その他の名目で費用徴収を行う事が可能となります。
一方、外国企業側もこの様な費用徴収を受け入れる事で、資本関係のない加工廠を自社工場の様に使用する事ができるため、中国に現地法人を設立する事なく加工生産を行えるメリットがあります。
この様に、珠江デルタ式来料加工(加工廠を使用した来料加工)は、外国企業・地方政府双方のメリットに繋がっていました。但し、珠江デルタ式来料加工廠の運営は変則的で、外貨管理・税務・労務管理等の面からも不適切な面が多く、コンプライアンス上の問題を抱えており、これが広東省全体の問題となっていました。この為、加工廠形態を廃止する事(外資企業への転換を促す事)で、違法性のあるオペレーションを強制的に廃止する事が計画されています。
これが、2008年から開始された来料加工廠独資転換の背景です。つまり、現在、広東省で進められているのは、来料加工形態の制限ではなく、加工廠形態の制限と言えます。
2.来料独資転換の期間的制限はありますか。
広東省政府は2008年の政府文書で、2012年末までに省内の来料加工廠を法人転換する事を目標として謳っています(粤府[2008]69号)。また、税関総署・商務部も2009年に税関総署公告[2009]62号を公布し、2011年6月末までに組織転換に関わる現物出資を行う事を前提とした優遇措置の享受を認めています(無償提供設備の移管に関する、関税・増値税課税上の優遇)。
通常の転換作業スケジュールでは、2011年6月末までに現物出資を行う場合、作業完了は2012年後半となりますので、双方のタイムスケジュールはほぼ一致しています。但し、来料独資転換作業が、これよりも遅れている(企業側の反応が遅い)ため、優遇措置適用期間の見直しが税関総署・広東省政府間で検討されていました。
これを踏まえ、2011年8月22日に、「珠江デルタ地区に全国加工貿易のレベルアップのモデルを建設する事に関する指導意見(商務部・人力資源社会保障部・税関総署・商産発[2011]269号)」が公布されました。
ここでは、来料独資転換を行うに際しては、設備転廠方式で無償提供設備の移管を行う事(保税・免税形式で設備移管を行う事)が、期限を問わず認められています。但し、指導意見では加工貿易のレベルアップを概ね3年以内(2014年)に行う事を目標としていますので、この期限を超過した段階で何らかの強制措置(独資転換しない事に対する罰則)が採られる可能性もありますので、注意が必要です。
では、2014年を超過した場合、独資転換自体が認められなくなる様な事があるか、という点ですが、政府の全体方針は来料加工廠の独資転換の推進である事に変わりはありませんので、この様な事態はなかろうと、筆者は推測しています。
3.今後、来料加工はできなくなるのですか。
従来、深セン・東莞では、「進料加工=外資企業(独立法人)の加工貿易形態」、「来料加工=加工廠の加工貿易形態」という運用が行われていました。よって、来料加工廠の独資転換により、来料加工自体が認められなくなるのではないか、と推測されてきましたが、独資転換作業の進行と共に(2010年頃から)、東莞市・深セン市の対外経済貿易部門から、「独資転換後に企業は来料・進料の何れかを選択できる」という発言が聞かれる様になってきています。
これは、加工廠時代に行われていた「加工賃からの諸費用徴収」という、地方政府側の既存権益を、独資転換後は管理費契約等の形で徴収する方向に定着しており、外資企業に来料加工を行わせても、権益が損なわれなくなった事が要因と推測されます。但し、来料・進料の何れかを選択するに際し、地方政府からは進料加工を推奨されるのが通常で、企業もこれに従うケースが殆どです。
地方政府が進料加工を推奨する際に、以下の様な理由を挙げるケースが多い様です。
・進料加工は国内原材料の調達・製品の国内販売ができるが、来料加工はできない。
・来料加工は、現段階では増値税が免除されているが、今後、課税が行われる可能性がある。その場合、課税額がそのまま税コストになり(原価処理を要する)、還付控除が認められる進料加工の方が有利。
尚、上述(Ⅰ-1)の様に、現在広東省で進められているのは、来料加工制度に対する規制ではなく、加工廠制度に対する規制です。よって、来料加工制度自体に対する法的な制限は、現時点では行われていません。
今後も来料加工制度が廃止される可能性は低いと思われますが、増値税課税を始めとして、来料加工の優遇が減らされていく方向にあります。更に、総じて付加価値の低い来料加工形態を歓迎しない地方政府も増えており、特に沿海地区では、実務運用上、認可取得が困難となる傾向があります。この様に、実務運用面で来料加工取引が制限される方向にあるのは確かな様です。
4.今後、加工廠形態は認められなくなるのですか。
上述(Ⅰ-2)の通り、「珠江デルタ地区に全国加工貿易のレベルアップのモデルを建設する事に関する指導意見(商務部・人力資源社会保障部・税関総署・商産発[2011]269号)」は、2014年を目途とした加工貿易のレベルアップ(来料加工廠独資転換を含む)を謳っています。
2009年末に深セン市の工商行政管理局(市場監督管理局)が来料加工廠の営業許可の更新を認めず、混乱が生じた事がありました。これは、フライングの感が否めず、この方針は2010年早々に撤回されましたが、指導意見に定める期限を経過した段階で、類似の措置が取られる危険性があります。
来料加工廠の運営を継続する為には、「営業許可証」、「加工貿易契約」、「加工貿易手冊」の全ての更新が必要となります。特に、加工貿易手冊の期限は半年~1年単位ですので、新規手冊の発給が受けられなければ、営業許可・来料加工許可の期限が残っていても、加工廠は操業停止を余儀なくされます。この様なリスクを認識した上で、独資転換、若しくは、移転(他地域で新設)、撤退等を計画していく必要があると言えます。
5.操業を止めない来料独資転換のメリットとはなんですか。
操業を止めない来料加工廠の独資転換とは、2008年に公布された広東省のガイドライン(粤外経貿加字[2008]7号)に基づく手続を指します。この手続を採用する事で、同一敷地内で来料加工を継続しながら新会社を設立し、新たな加工貿易(主に進料加工)許可を取得する、という手続が可能になります。
この手続のメリットは、主に、「環境・消防許可、生産能力証明等の手続の簡便化(来料加工廠の許可の名義書換に準じた手続)」が認められるという点、更には、メッキ等、新規の営業許可取得が困難な業務に付いても、(既存の許可の変更の形で)営業許可取得が認められるという点です。
Ⅱ.独資転換作業(作業全体・地方の既得権の精算)
1.組織転換にはどの程度時間がかかりますか。
来料独資転換は法人の新設と加工廠の閉鎖を同時に行う手続ですので、全体で1年半程度の期間を要します。ただ、法人新設を先行させ、その加工生産を開始してから来料加工廠の閉鎖手続を行いますので、新設法人の生産開始は手続開始から6ヶ月~9ヶ月後に可能となり、その後の期間は加工廠の閉鎖手続に費やされる事となります。
広東省のガイドライン(粤外経貿加字[2008]7号)には、来料加工廠と新設法人の併存期間は6ヶ月、来料手冊と新設法人の手冊(主に、進料手冊)の併存期間は3ヶ月と規定されています。これは、法人新設後は速やかに来料加工廠を閉鎖する事、新手冊取得後は速やかに保税品の移管を終了させ、旧手冊を抹消する事を求めるものです。但し、現実的にはこの期間内で手冊の抹消を行う事は極めて困難で、税関の許可を取得の上、1~2回(3~6カ月)の来料手冊の抹消期限延長を行うのが通常です。
実務上、比較的厳格な管理が行われるのは、手冊の併存・抹消期限であり、組織自体の併存期間に付いてはあまり問題とはなりません。
2.独資転換後も同一社名を使用できますか。
広東省のガイドライン(粤外経貿加字[2008]7号)には、同一商号の使用が認められていますが、実際にはこれが認められず、異なる商号が使用されています。
3.既存の法人に事業移管をする場合でも、操業を止めない組織変更の優遇は適用されますか。
操業を止めない組織変更は、同一場所で来料加工廠から法人転換する場合のみが想定されており、それ以外の方式に関して優遇措置適用を定めた法規はありません。但し、来料加工廠廃止の全体方針の中で、ガイドラインに認められた方法以外でも、個別許可により優遇措置の適用が認められるケースもあります。
4.独資転換後は従来徴収されていた加工賃からの諸費用徴収は不要になりますか。
外資企業は自社で貿易権が取得でき、加工貿易手冊も自社名義で取得できますので、理論的・技術的には来料加工廠時代の諸費用の徴収は無くなります。但し、現実には独資転換後はコンサルティング契約・家賃の増額等の形(別の方式)で、従来支払っていた金額相当の支払が要請されるのが通常です。
地方政府は新設企業がそれを支払う事を前提に、独資転換に関するサポートを行っています。
5.独資転換後も継続して村から工場長、その他の人員の受入れが必要ですか。
来料加工廠は法的・形式的には外国企業とは独立した組織であり、村・鎮が運営している事になっていますので、同地域から工場長・通関士などが派遣され、彼らに対して給与が支払われています(工場長の場合は、実際の役務を伴わない名目的な給与の場合が多い)。
独資転換後は独立法人(現地法人)となり、出資者である外国企業より出向社員の受入れが可能になりますし、外国人を法定代表人として登記する事もできます。よって、独資転換後は村からの人員受入れは不要となりますし、村・鎮政府からこの様な要求が行われる事は通常ありません。
Ⅲ.独資転換作業(資産・人員の移管)
1.無償提供設備は現物出資できますか。
無償提供設備の現物出資は可能です。深セン市においては、かねてより無償提供設備の現物出資が認められていました。
一方、深センと並んで来料加工廠が多い東莞市は、当初は無償提供設備の現物出資を認めず、国内売却方式で新設法人に移管する事を要請していました。その後、税関監督期間未了の無償提供設備(輸入後5年未経過の無償提供設備)のみを現物出資の対象とする様になり(2009年)、さらに後、5年経過後の設備も現物出資を認めています(2010年より)。
よって、現時点では深セン・東莞とも5年を経過したか否かに拘らず、無償提供設備の現物出資が認められます。
2.設備機械の現物出資の評価方法を教えて下さい。
無償提供設備を現物出資する際、商品検査部門が設備の時価算定を行い、この価格が出資価額となります。時価の算定は、「類似品の取引相場」、「購入価格をベースに現在価値を算定したもの」、「収益還元価値」、その他が認められており、必ずしも固定的な評価方法が規定されている訳ではありません。但し、実務的には中古設備の取引相場、収益還元価値の算定は困難である為、購入価格と使用年限を元に時価算定が行われる例が多い様です。
3.無償提供設備を保有する香港側では既に設備の償却を完了していますが、どの様に処理したらよいですか。
香港では税務上の減価償却年限が中国本土よりも短く、また、会計上の減価償却年限を企業が合理的に決定できます(継続適用が原則)。よって、現物出資時に無償提供設備を保有する香港法人が既に減価償却を完了しており、簿価が残存価値のみになっている場合(若しくは、極めて少額になっている場合)も想定されます。
現物出資に際しては、香港企業の貸借対照表上の固定資産(設備機械)を出資金に振り替える事になりますが、この場合の経理処理は以下が考えられます。
① 設備機械と出資金を交換したと考え、出資金額を商品検査部門の関係評価額とする方法。
② 新設法人に対する出資金(現物出資相当分)を、従来の設備機械の簿価とする方法。
上記の内、①の方法を取った場合、資産価額(設備機械⇒出資金)が増加する事になりますので、増加金額相当は相手勘定を資本準備金として計上します。但し、連結決算に際しては、連結調整によって資産の再評価分を従来価額に戻す事になります。
4.加工廠が国内購入した設備は現物出資できますか。
国内で購入した設備、その他の資産は、形式的に加工廠の資産となっており、外国企業(通常、香港企業)は所有権を証明できません。よって、現物出資は認められず、国内譲渡方式で新設法人に移管する必要があります。
国内譲渡方式で移管する場合は、以下の二種類が考えられます。
① 新設法人が加工廠より現金で購入する方法。
② 加工廠が新設法人に無償譲渡する方法。
①の方法の場合、現金が加工廠の口座に入金され、これを外国企業(主に香港企業)に還元する事は困難です。②の方法の場合、新設法人側の仕訳は、【 固定資産|資本準備金 】となります。つまり、取得する固定資産の相手勘定は、貸借対照表項目の資本準備金であり、損益は計算されませんが、税務上受贈益が認識されますので、相当額が企業所得税課税の対象となります。
5.設備移管に際しての増値税課税方法を教えて下さい。
設備移管に際して課税が想定される増値税は、「無償提供設備を輸入際に課税留保されていた増値税(及び関税)」と、「国内譲渡に際しての増値税」の二つに分かれます。
前者(輸入段階の増値税)は、商務部・人力資源社会保障部・税関総署・商産発[2011]269号に基づき、設備転廠方式で移管ができるのであれば納税は不要です。一方、国内譲渡時(加工廠⇒新設法人)の増値税は、「一部の物品に対して増値税の軽減税率・簡易方法による課税を適用する政策の通知(財税[2009]9号)」に基づく事となります。
具体的な課税率は、無償提供設備の輸入時期(若しくは、国内購入設備の購入時期)により、以下の通り異なります。
・2008年12月31日までに輸入・購入したものであれば、2%の課税(但し、新設法人側では当該増値税の仕入控除不可)。
・2009年1月1日以降に購入したものであれば17%(小規模納税義務者の場合は3%)の課税(新設法人側で控除可)。
6.従業員移管時点で経済補償金を支払う必要はありますか。
組織変更に伴う人員移管は、「中華人民共和国労働契約法実施条例(国務院令2008年第535号)」で、「一旦、経済補償金を支払い、勤続実績を白紙に戻してから再雇用する方法」と「経済補償金を支払わずに、旧組織での勤続年数を引き継ぐ方法」の双方が認められています(第10条)。
来料独資転換に際しては、通常、勤続年数を引き継ぎ(移管時に経済補償金を払わずに)、人員移管する方法が採用されています。但し、移管に際しての労働条件の改悪等は認められません。
7.来料加工廠内の原材料・仕掛品・製品はどう処理するのですか。
来料加工廠内の原材料・仕掛品・製品は、手冊併存期間内(来料加工廠の手冊と新設法人の手冊)に保税のまま移管する事ができます。
8.加工廠内の設備・製品を国内処分する場合の課税はどうなりますか。
保税輸入された設備、その他の資産を国内販売する場合は、輸入段階で課税留保された関税・増値税を納税し、再度、販売時に増値税を納税する必要があります。
① 輸入段階の関税・増値税
設備に関しては、5年未経過分(3年使用した場合は2/5)の関税・増値税を月単位で納税します。製品に関しては、原材料輸入に関しての関税・増値税を延滞利息付きで納税する必要があります。
② 販売段階の増値税
設備の場合はⅢ-5を参照下さい。製品の場合は17%(小規模納税義務者の場合は3%)となります。
Ⅳ.独資転換作業(資本金払込・清算剰余金回収)
1.独資転換後の清算剰余金を外国企業が回収することはできますか。
来料加工廠と加工を委託する外国企業(主に香港企業)は、資本関係が無い事から、残余金を清算配当の形で送金する事ができません。
東莞市はこの扱いに付いて、以下の通り発表しています。
① 来料加工廠の人民元口座の残余金は、国家外貨管理局の許可を取得すれば、対外送金可能。
② 監督解除済の無償提供設備の国内処分代金、回収した加工貿易保証金、不動産売却代金などを送金する場合は、東莞市外貨管理局の許可を取得すれば対外送金可能。
但し、①は実務上、許可取得は不可能に近いと言えますし、②の認可実例も極めて少ない様です。実務上は残余金の送金は出来ない前提で、組織変更計画を立てる必要があります。
2.資本金の払い込みに際して、現物出資と現金出資の割合はどうする必要がありますか。
会社法では現物出資の割合を7割以内に制限しています(最低3割の現金出資が必要)。
Ⅴ.組織転換後の運営
1.独資転換後の加工貿易形態は進料加工に限定されますか。
Ⅰ-3を参照下さい。
2.進料加工企業に転換した場合、国内販売はできますか。
進料加工を行う法人は、保税取引(進料加工製品)と非保税取引の混在が認められますので、一般貿易輸入した原材料を使用した製品は国内販売可能です。尚、進料加工を行う企業は国内販売比率を3割以内とする必要があります。
国内市場重視の観点より、この比率の見直し(規制緩和)が検討されていますが、「珠江デルタ地区に全国加工貿易のレベルアップのモデルを建設する事に関する指導意見(商務部・人力資源社会保障部・税関総署・商産発[2011]269号)」には、具体的な数量的な緩和は規定されていません。よって、現時点では進料加工を行う企業は国内販売比率を3割以内とする必要があります。
3.来料加工と進料加工は、増値税課税上どちらが有利ですか。
来料加工は現時点では増値税免税。一方、進料加工企業は一定の増値税課税が行われます。
この為、来料加工の方が有利に見えますが、国内原材料の調達等で増値税課税を受けた場合、進料加工企業はこの増値税の還付・控除が認められますが、来料加工企業・廠は還付・控除が認められず、全額原価となります。更には、実施時期は不詳ですが、来料加工に対する増値税課税の開始が噂されており、これが実現した場合は完全に進料加工の方が有利になります。
4.差額核銷方式の進料加工(売・買掛の相殺)を行う場合、外貨の消し込み照合方式はどうなりますか。
売・買掛代金相殺方式の進料加工(差額核銷方式)を行う場合、手冊単位で以下の公式の何れか(地域により異なる)を使用して、回収すべき外貨を算定して実績と照合します。
・増値率=(製品輸出金額-原材料輸入金額)÷原材料輸入金額
増値率×原材料輸入金額=送金受領額
・収匯率=(製品輸出金額-原材料輸入金額)÷製品輸出金額
収匯率×製品輸出金額=送金受領額
5.独資転換した場合、加工貿易保証金の納税義務に変更はありますか。
来料加工廠と進料加工企業に適用される加工貿易保証金の規定は同じですので、形態転換は加工貿易保証金の納税義務には影響を与えません。但し、来料加工廠の場合は保証金差し入れを外国企業が行う為、一旦差し入れた保証金の回収が実務的に困難である一方、進料加工企業の場合は中国の独資企業自身が積み立てる為、外貨送金上の問題はありません。
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