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楼継偉財政部長の講演

中国ビジネスレポート マクロ経済
田中 修

田中 修

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2013年4月5日

記事概要

3月24日、「中国発展ハイレベルフォーラム」で、新任の楼継偉財政部長が講演を行った。本稿では、その概要を紹介する。【2,049字】

はじめに
3月24日、「中国発展ハイレベルフォーラム」で、新任の楼継偉財政部長が講演を行った。本稿では、その概要を紹介する(新京報・上海証券報・経済参考報2013年3月25日)。

1.講演の概要
過去30年余り、財政体制改革はずっと改革の突破口であり、先陣を切ってきた。将来中国が実現する包容力のある成長は、非常に困難な改革の道を歩まなければならない。財政・税制改革は新たな起点にある。
○包容力のある発展は、機会の均等・平等な発展・社会正義の擁護を最も際立たせて位置付けることを要求するものであり、これらは往々にして財政制度と関連する。このため、財政は自身の改革を加速し、財政・税制を整備するだけでなく、これに付帯する関連改革を積極的に支援し、メカニズムの確立を重視して、包容を促進しなければならない。
各人が自身の条件に基づいて発展の機会を得ることができ、自身の努力を通じて発展を得、発展の成果を享受できるよう努力しなければならない。国家は適切に財政収入を得て適切な再配分政策を実施するが、主として公平な発展の機会を創造し、資源配分における市場の基礎的役割を発揮させなければならない。このような方法によってこそ雇用は持続可能なのである。
○包容力のある成長を促進する財政・税制改革は、一般的に言って3種類のモデルがある。政府の再分配・結果の公平を過度に強調するモデル、及び政府の赤字を増やすモデルは採用できない。政府は公平な発展機会を創造し、市場の役割を更に発揮させてこそ、庶民の幸福感は強まるのである。
○現在の改革・政策調整の任務は非常に困難であるが、改革の方向は既に明確であり、一定の経験と理論的準備もある。新たな財政・税制改革は長足の進展を得るものと信じている。
○現在、一部の政府部門は、自身が経済・社会の発展に関与する能力を過信しており、ミクロな経済活動の不均衡に過敏に反応し、市場自身の修復能力を余り信用せず、すぐに関与措置を発動する。これは往々にして不適切であり、波動を生み出すことになる。
○昨年、中央経済工作会議が提起した「最低ラインを守り、重点を際立たせる」という意味は、政府は直面する民生問題を全て処理することはできず、「制度の整備、世論の誘導」も十分重要だということである。多くの民生政策の制度は不完全であり、はなはだしきは制約がない。我々は貧困者を援助すべきであるが、怠け者を助けるべきではない。
○財政が持続可能になるかどうかは、最低ラインを守らなければならない。過大に約束して収入が不十分であれば、財政赤字の拡大を通じて庶民の福祉を引き上げるモデルを採用することになる。このようなモデルは最後にはインフレに頼ってバランスを保つことになり、「中等所得の罠」に陥り、戻ることができなくなる。
 
2.質疑応答
(1)国有企業の利潤の上納
現在、国有企業の利潤配当は、国有資本金資本経営予算の収入源となっているが、資本金収入予算に集まるウエイトは高くなく、国有企業に留保される利潤が比較的多い。
公共財政に上納する比率を徐々に高めるのが現在の方法であり、これは主として国有企業の歴史問題、とりわけ従業員方面の問題がまだ完全に解決していないことを考慮したものである。国有企業の余剰人員は、いずれにせよ国有企業が社会的責任を負っており、彼らを市場に推しだすわけにはいかない。留保部分は本来上納すべき利潤であるが、国有企業がこの問題を処理するために留保させているのである。

(2)社会保障基金への外貨準備注入
私は、外貨準備を社会保険資金に用いようとは考えていない。外貨準備にはコストがある。外貨準備は、中央銀行の貸借対照表の一方では資産であるが、同時に対応する負債がコストとなっている。もし社会保障基金に投資すれば、社会保障基金の収益でコストをカバーしなければならない。それができなければ、社会保障基金に補填しなければならず、リスクが大きすぎる。
社会保障基金の資金源を増やすことは重要であるが、社会保険方面の制度の穴は多すぎる。もし我々がこの制度の穴を塞ぐべく、管理方式を含む制約・奨励のメカニズムを提供しないならば、いくら金を提供しても食い尽くされてしまう。

(3)財政赤字

現在、財政赤字の規模は比較的大きい。これは主として外部環境の不利な衝撃に対応するためである。我々は、ここ数年内に外部環境が改善され、中国の財政赤字の増加圧力を減らすことができることを希望している。

(4)地方政府の債務

地方政府の債務規模は、現在調査中である。審計署が公布した数字は約11兆元であるが、リスクがあるかどうか、どれが表に出ている債務で、どれが隠れ債務か、どれが直接の債務か、どこにまだありそうか、を分析しなければならない。種類別に分け、まず政策を採用し、地方政府の債務の拡張傾向をしっかり制止したうえで、どのような制度がよいか検討し、地方政府に正しい道を示して、その不正を正す。

(3月26日記 2,049字)

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