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本稿では、8月の主要経済指標、及び最近の不動産市場の動向に関する人民日報及び国際金融報の論調につき紹介する。【10,853字】
はじめに
本稿では、8月の主要経済指標、及び最近の不動産市場の動向に関する人民日報及び国際金融報の論調につき紹介する。
1.8月及び1-8月期の主要経済指標[1]
(1)物価
①消費者物価
8月の消費者物価は前年同期比3.5%上昇し、7月より伸びが0.2ポイント加速した[2]。都市は3.4%、農村は3.7%の上昇である。食品価格は7.5%上昇し、居住価格は4.4%上昇した。
前月比では、7月より0.6%上昇した。うち、食品価格は2.0%(豚肉価格9%、生鮮野菜7.7%、卵7.5%)の上昇であり、居住価格は0.2%の上昇となっている。
国家統計局の盛来運スポークスマンは、8月に消費者物価が上昇した要因として、①前年からの影響要因が3.5%上昇のうち1.7%分であり、②残り1.8%の新規上昇分は、主として農産品価格の上昇によるものだとし、これが新規上昇要因の70%前後を占めている、と解説している。
また、今後の見通しについては、①今年の食糧は総体として供給超過である、②絶対多数の工業製品の供給過剰は変わっていない、③7月以降、前年からの影響要因が徐々に弱化するとし、年間のマクロ・コントロール目標3%は、なお達成可能としている。
(参考)2月2.7%→3月2.4%→4月2.8%→5月3.1%→6月2.9%→7月3.3%→8月3.5%
1-8月期では前年同期比2.8%上昇である。都市は2.7%、農村は3.0%の上昇である。食品価格は5.9%、居住価格は4.1%の上昇となっている。
②工業品工場出荷価格
8月の工業品工場出荷価格は前年同期比4.3%上昇し、7月より上昇が0.5ポイント鈍化した[3]。原材料・燃料・動力購入価格は7.5%上昇した。前月比では7月よりも0.4%上昇している。
(参考)2月5.4%→3月5.9%→4月6.8%→5月7.1%→6月6.4%→7月4.8%→8月4.3%
1-8月期では前年同期比5.6%上昇であり、原材料・燃料・動力購入価格は10.1%上昇である。
③住宅価格
8月の全国70大中都市の建物販売価格は前年同期比9.3%の上昇となり、7月より上昇幅は1.0ポイント鈍化した。7月とは同水準である。
(参考)2月10.7%→3月11.7%→4月12.8%→5月12.4%→6月11.4%→7月10.3%→8月9.3%
新築住宅販売価格は前年同期比11.7%上昇で、こちらも7月より上昇幅が1.2ポイント鈍化した。7月とは同水準である。
1-8月期の全国分譲建物販売面積は5.27億㎡で、前年同期比6.7%増となった。伸び率は1-7月期より3.0ポイント鈍化した。うち、分譲住宅販売面積は4.1%増である。1-8月期の分譲建物販売額は2.64兆元、前年同期比12.6%増であった。1-7月期より伸び率は4.2ポイント鈍化した。うち、分譲住宅販売額は7.5%増である。
1-8月期のディベロッパーの資金源は4兆4363億元であり、前年比35.0%増であった。うち、国内貸出が8460億元、27.8%増、外資が369億元、23.9%増、自己資金が1兆6628億元、50.7%増、その他1兆8906億元、26.8%増(うち手付金・前受金が1兆637億元、22.1%増)である。個人住宅ローンは5745億元、27.5%増であった。
(2)工業
8月の一定規模以上[4]の工業付加価値は前年同期比13.9%増なった。4月以降伸びは鈍化傾向にあったが、8月は反転している。8月の主要製品別では、発電量12.6%増、粗鋼-1.1%、セメント12.8%増、自動車13.1%(うち乗用車7.7%)増となっている。粗鋼と自動車の伸びが急減速し、粗鋼は前年度比マイナスに転じている。
国家統計局の盛来運スポークスマンは、8月に工業付加価値の伸びが反転上昇した原因につき、①装置製造業・軽工業が工業を牽引した、③とはいえ、反転上昇の伸びは決して大きくはなく、ここ連続3ヶ月は13-14%で波動しており、工業が以前の比較的速い成長から安定成長に向かう過渡期にあることは比較的明らかである、としている。
(参考)工業付加価値 2月12.8%→3月18.1%→4月17.8%→5月16.5%→6月13.7%→7月13.4%→8月13.9%
1-8月期では前年同期比16.6%増となった。重工業は17.6%増であり、軽工業は13.6%増である。主要製品別では、発電量17.2%、粗鋼15.3%、セメント16.7%、自動車38.4%(うち乗用車35.7%)増となっている。
(3)消費
8月の社会消費品小売総額は前年同期比で18.4%増となった。都市は同18.8%増、郷村は同15.9%増である。農村の消費の伸びが都市をかなり下回っている。一定額以上の卸・小売では、穀物油・食品・飲料・タバコが25.5%、アパレル・靴・帽子類22.1%、建築・内装は28.3%、家具40.4%、家電・音響機器類25.6%増である。自動車は35.2%増であり、7月より伸びが回復した。
国家統計局の盛来運スポークスマンは、8月の消費の伸びは主として自動車の販売状況が予想より良かったからだとしている。
(参考)2月22.1%→3月18.0%→4月18.5%→5月18.7%→6月18.3%→7月17.9%→8月18.4%
1-8月期の社会消費品小売総額は9兆7492億元、前年同期比18.2%の増加である。都市は同18.6%、郷村は同15.7%増であった。一定額以上の卸・小売では、穀物油・食品・飲料・タバコ20.9%増、アパレル・靴・帽子類23.7%、建築・内装は30.3%、家具類は38.2%、自動車35.6%、家電・音響機器類28.0%増となっている。
(4)投資
1-8月期の都市固定資産投資は14兆998億元で、同24.8%増であった。中央プロジェクトは1億1200億元、11.4%増、地方プロジェクトは12兆9798億元、26.1%増であった。
不動産開発投資は2兆8355億元で同36.7%増である。うち分譲住宅は1兆9876億元、33.9%増であり、不動産開発投資の70.1%を占めている。8月は4490億元であり、34.1%増であった。鉄道運輸は21.7%増であった。
(参考)都市固定資産投資 1-2月期26.6%→1-3月期26.4%→1-4月期26.1%→1-5月期25.9%→1-6月期25.5%→1-7月期24.9%→1-8月期24.8%
不動産開発投資 1-2月期31.1%→1-3月期35.1%→1-4月期36.2%→1-5月期38.2%→1-6月期38.1%→1-7月期37.2%→1-8月期36.7%
1-8月期のプロジェクト新規着工は23万2269件で、前年同期比2637件減となった。新規着工総投資計画額は12兆2138億元であり、前年同期比26.3%増となっている。都市プロジェクト資金の調達額は16兆7040億元で、前年同期比26.5%増となった。うち、国家予算内資金が11.5%増、融資が22.6%増、自己資金調達が30.5%増、外資利用が3.9%増となっている。
(5)輸出入
8月の輸出は1393億ドル、前年同期比34.4%増、輸入は1192.7億ドル、同35.2%増となった。8月の貿易黒字は200.3億ドルで7月より30.4%減である。
(参考)2月輸出45.7%、輸入44.7%→3月輸出24.3%、輸入66%→4月輸出30.5%、輸入49.7%→5月輸出48.5%、輸入48.3%→6月輸出43.9%、輸入34.1%→7月輸出38.1%、輸入22.7%→8月輸出34.4%、輸入35.2%
1-8月期の輸出は9897.4億ドル、前年同期比35.5%増であり、輸入は8858.4億ドル、同45.5%増となった。貿易黒字は1039億ドルであり、同14.6%の減少となった。輸出入総額では、対EU36.2%増、対米32%増、対日34.8%増[5]、対アセアン47.2%増である。
1-8月期の地域別輸出では、広東前年同期比28.6%増、江蘇41.9%増、上海33.1%増、浙江39.4%増、山東33.7%増、福建38.3%増、北京18.3%増となっている。
1-8月期の労働集約型製品の輸出は、アパレル類前年同期比19%増、家具35.4%増、紡績32.3%増、靴26%増、プラスチック製品31.5%増、鞄34.8%増、玩具31.7%増である。電器・機械は同35.9%増である。また自動車の輸入は2.4倍になった。
(6)金融
8月末のM2の伸びは前年同期比19.2%増と、7月末より1.6ポイント加速し、前年同期より9.3ポイント減速した。M1は21.9%増で、7月末より1.0ポイント、前年同期より5.8ポイント減速した。8月の現金純放出は380億元であった。
人民元貸出残高は45.68兆元で前年同月比18.6%増であり、伸び率は7月末から0.2ポイント加速し、前年同期より15.5ポイント減速した。8月の人民元貸出増は5452億元であった。
人民元預金残高は68.65兆元で、前年同期比19.6%増であり、8月の人民元預金は1.08兆元増である。うち個人預金は1940億元増、企業預金は4965億元増である。
(参考)M2 : 2月25.52%→3月22.50%→4月21.48%→5月21%→6月18.5%→7月17.6%→8月19.2%
(7)財政
8月の全国財政収入は5619.35億元で、前年同期比381.88億元、7.3%増となった[6]。
1-8月期の全国財政収入は5兆6752.32億元、同1兆842.8億元、23.6%増に達した。中央レベルの収入は2兆9958.27億元で、同22.2%増、地方レベルの収入は2兆6794.05億元、同25.2%増である。
1-8月期の税収は5兆555.8億元で、同26%増となっている。税外収入は6196.52億元で、同7.1%増である。
(参考)財政収入 2月20.4%→3月36.8%→4月34.4%→5月20.5%→6月14.7%→7月16.2%→8月7.3%
8月の全国財政支出は6413.69億元で、前年同期比1676.57億元、35.4%増となった。
1-8月期の全国財政支出は4兆6035.92億元で、前年同期比7410.57億元、19.2%増となっている[7]。中央レベルの支出は9683.58億元で、同18.3%増、地方レベルの支出は3兆6352.34億元で、同19.4%増である。
8月の財政収入が急激に鈍化した理由につき財政部は、①前年同期の財政収入が経済の成長回復に伴いかなり多く、収入のベースがかなり高かった、②昨年8月に一部企業の2008年度分の清算された所得税が国庫に納入されたが、今年は2009年度分の清算された所得税は5・6月に国庫へ納入されており、8月にこの部分の収入がないため、企業所得税の減少がかなり多くなっている、と説明している。
(8)電力使用量
8月の全社会電力使用量は前年同期比14.69%増であり、7月より2%増であった。
1-8月期の全社会電力使用量は同19.34%増であった。
2.人民日報2010年8月31日記事「住宅価格の合理的な反落は、大勢の赴くところである」
現状認識として、「最近、北京通州区の一部のビルが比較的低価格で販売され、かつて1㎡当たり約2.5万元の最高値をつけたプロジェクトが、各種形式の優遇により、実際の取引価格は1㎡当たり1.6万元前後まで引き下げられ、単価が1万元近く引き下げられた。半年近い不動産コントロールを経て、今年3月大量の投機により上昇していた通州の住宅価格は理性に回帰している。
現在、この種の比較的大幅な住宅価格の調整は個別ケースであるが、住宅価格の下降が隠蔽された状態から明らかになってきていることを示すものである。今年4月に打ち出された新たな不動産コントロール措置は、住宅価格の暴騰を推進する投機的な住宅購入需要に有効に打撃を与え、加えて普通の住宅購入者は予想を変更し、模様眺めを選択したため、不動産市場の成約量は急速に下降している。7月、全国分譲住宅の販売面積は前年同期比で15.4%減少し、一線都市は更に明確である。例えば、北京の7月の新築住宅の成約件数は昨年同期の3分の1に過ぎなかった」と指摘する。
そして今後については、「コントロールは予期した方向へ発展しているが、コントロールの効果は現れたばかりであり、なお不十分であることを見て取らねばならない。7月の70大中都市の住宅価格は6月と同水準であり、その前2ヶ月の前月比下落傾向が続いていない。住宅購入者の感覚からすれば、住宅価格は依然高止まりであり、コントロールの効果は庶民の要求・受容能力とはかなり大きな開きがある。不動産コントロールの実施プロセスにおいて、コントロールを妨げようとする各種の『雑音』が不断に現れており、一部の地方政府は、不動産コントロールに対してなお誤った認識を有しており、政策の実施に当たって様々に配慮し、決意が不十分である。コントロールの任務は依然非常に困難である。
現在、不動産コントロールは既にカギとなる時期にきており、不動産市場の発展自体のみならず、住宅という重大民生問題及び政府の信用力にまで関わるものとなっている。このため、コントロールを動揺させないことを引き続き堅持し、市場の状況変化に応じタイムリーに政策の微調整を進めなければならない。マクロ環境からすれば、国民経済は引き続き回復好転の勢いを維持しており、経済に対する不動産コントロールの影響には限りがある。最近各大銀行は、住宅価格の大幅下落に対するストレステストの結果について比較的楽観的になっており、これも政府が引き続き不動産市場コントロールを進めようとするとき、他への悪影響を考えて思い切ったことができないプレッシャーを軽減している。もし、コントロールに長期間効果が現れないのなら、更なる措置を適時打ち出すべきである。同時に、各地が政策をしっかり実施するよう監督し、以前と同様『住宅価格が高すぎ、上昇が速すぎ、コントロールが弱い』都市については、白日の下に晒し責任を問うべきである」と強い口調で述べている。
3.人民日報2010年9月9日記事「不動産市場の回復は、長期的趨勢か短期的な反発か?」
ところが、そのわずか10日後の記事では、現状認識のトーンが変わっている。まず、「8月中下旬、一線都市の不動産市場の成約量は明らかに回復した。業界関係者は、成約の回復の主要原因はここ4ヶ月の成約の低迷を経て、一部地域のプロジェクト価格は明らかに低下し始めており、一部需要の回復をもたらしていると考えている。しかし、これはいったい長期的趨勢なのか、短期的な反発なのか?」とし、各地域の動向を紹介する。
(1)北京:成約量は反転増だが、新プロジェクトが累積
8月に入って以降、分譲住宅の成約量は連続して増加している。8月の北京新築住宅の成約量は、7月より12.7%増加している。同時に、9割のビルの成約価格は予約販売価格より低い。中古住宅価格の回復傾向も明らかになっている。
新規プロジェクトの累積圧力は十分明らかである。新政策がとられて以降4ヶ月半で、82の予約販売プロジェクトが2万9468戸の住宅を供給しているが、8月31日までに成約されたのは1万1956戸に過ぎず、契約率は40.6%に満たない。北京の住宅在庫は不断に増加しており、9月1日には10万戸の大台を突破した。
業界関係者は、不動産市場の新政策が実施されて数ヶ月、市場は低迷し、大量の供給量と購買力が累積した。9月・10月の取引が盛んな時期に、成約量が引き続き増加するならば、中古住宅業者及びディベロッパーは価格を引き上げる可能性がある。別の専門家は、現在市場は正にマクロ・コントロールのカギとなる時期にあり、もし政策が消化されてしまったら、更に有力な措置が打ち出される可能性もある、と述べている。このため、9月の不動産市場は下降と反発の圧力が並存している。市場は真に回復したかどうかはなお観察が必要である。
(2)上海:価格引下げが成約量を推上げ
中国不動産情報グループのデータによれば、9月第一週の上海新築分譲住宅の成約量は急増して23.9万㎡に達し、先週比で40.3%上昇し、新政策20週間で最高水準となった。これと同時に分譲住宅の成約平均価格も2.6%上昇し、1㎡当たり2万1350元に達した。
同社の付琦高級アナリストによれば、「実際のところ、上海は6月から成約量がある程度反転増となっている」。反転増の最主要原因は、不動産価格の引下げである。不動産新政策により上海不動産市場の成約量は明らかに減少した。一部のディベロッパーは状況をよく観察し、値下げ販売を開始したのである。
ディベロッパーの値下げ手段は、通常3種類である。①住宅購入者にバルコニーなど面積を送る。②新築住宅を低価格で売り出す。これが最も一般的である。③販売価格を直接引き下げる。これは比較的少数である。
値下げの出現は、上海分譲住宅の成約量を推し上げた。8月に至ると、分譲住宅の新規供給量が大幅に増加し、78.8万㎡に達したため、これに相応して選択可能な値引き住宅もある程度増加した。このため、成約量は70.1万㎡に達し、7月の43.4万㎡に比べ、60%超増加した。しかし、先週(8月30日の週)の供給量は18.96万㎡と55.7%減少した。ある業界関係者は、供給量の調整の影響を受け、連続4週間の成約量の大幅増の傾向も調整されると考えている。
成約価格の情報については、付琦は「主として契約構造によるもの」とする。前期、上海の新たに売り出された住宅は中低価格帯が多く、このため成約平均価格は相対的に低かった。8月に、2棟の高級住宅が売り出されたため、これが先週の成約平均価格をある程度引き上げたのである。
付琦は、「構造要因を除くと、総体として、上海には現在明らかな住宅価格の反転上昇現象は現れていない。むしろ、住宅値下げ傾向がなおある程度続く」とする。あるデータによれば、6月は一部郊外の新築住宅は価格調整が現れており、市区に近い住宅が集中的に売り出されるにつれて、値下げ傾向は市区に蔓延する可能性がある。
(3)広州・深セン:上昇ルートに入ったか諸説紛紛
①広州
先週末、広州市では少なからぬ住宅が売り出され、住宅を見学に来る人々の流れが明らかに回復している。陽光家縁のデータによれば、8月の成約は7000件に接近し、7月比で6割超増加し、4月17日に新政策が実施されて以来最も多い。しかも成約平均価格も6.39%上昇した。中古住宅も上昇傾向が現れている。
合富輝煌の黎文江チーフアナリストは、「広州不動産市場の回復の兆しは暫時のものではなく、4ヶ月の沈黙の後、大量の購入者は住宅価格がもう下がらない状況を見て動き出した」とみる。広州寒桐諮問公司の韓世同総経理は、「現在の不動産成約の回復と住宅価格の反転上昇は、疑いのない事実であるが、同様の現象は異なる解釈が可能であり、不動産市場は既に上昇ルートに入ったと考えることはできない。現在広州不動産市場の成約量増は、数ヶ月の販売の低迷期の後、伝統的な販売の旺盛な時期に達したからである。価格上昇は、市の中心の住宅・中高級住宅の販売の割合が増大したからであり、同一の質の住宅価格はなお平穏である」とする。
②深セン
深セン市計画国土委員会のデータによれば、8月に入って以降、深セン不動産市場の成約量は明らかに増大している。8月1-29日、深セン市の新築住宅成約量は2694件であり、成約面積は23.61万㎡であり、7月に比べ6割超増加している。成約平均価格も上昇が現れ、8月1-29日の深セン新築住宅販売平均価格は1㎡当たり1万9240元であり、7月の1万8179元に比べ5.8%上昇している。
8月の深セン不動産市場の成約量・価格がともに上昇したことにつき、市場では回復の兆しが現れたとの見方が出ている。深セン不動産業の古手である柯文は、「これは政策が消化期に入ったことによるものであり、現在ディベロッパーは、この市場の動向についてはっきりわからず、不動産購入者と同様に模様眺めの状況にある。しかし、ディベロッパーが引き続き模様眺めをしていることは住宅購入者の心理を慌てさせており、このためディベロッパーの資金がまだ逼迫する前に、ある住宅購入者は再び市場に戻ってきたのである。このような回復が持続するかどうか、回復が本物か偽者か、なお引き続き観察する必要がある」としている。
4.人民日報2010年9月9日記事「民生を維持するには、不動産市場の調整を堅持しなければならない」
4日月余り続いた「成約量の減少・価格の停滞」を経過し、「黄金の9・10月」に入り各地の不動産市場の供給量が増加し、一部の新築住宅が続々低価格で売り出され、成約量を刺激し、前月比である程度上昇させている。一部の価格調整幅が大きい住宅については、販売熱さえ現れている。これらの現象は、ディベロッパーの資金圧力の増加と各地の不動産市場の在庫の更なる増加に伴い、不動産市場のコントロールが徐々に新たな段階に入ったことを示すものであり、これは価格の下降と成約量の底入れ・反転増に現れている。
一部のディベロッパー・仲介業からのフィードバック情報によれば、最近の成約量の反転増は、主として自ら住むタイプの需要がもたらしたものであり、成約が比較的多いのも、主として前期に価格下降幅が顕著だったプロジェクトである。このような回復は好ましい事であり、バブルが徐々に取り除かれ、価格の合理的な反落の状況下、人々が市場を通じて住宅を購入し、自己の住宅需要を解決を望み、不動産市場がそのあるべき役割を再び発揮し始めたことを証明するものである。
不動産コントロールの根本目的も正にここにある。――供給の増加、投機の抑制、バブルの除去を通じて、住宅価格を徐々に合理的水準に戻し、更に多くの庶民が自己の努力を通じて、市場において住宅を買うことができ、家庭の住宅条件を改善し、生活水準を高めることができるようにすることである。コントロールは表面上は政府が「有形の手」を用いて一部の商品の価格・市場をコントロールしているように見えるが、実際は政府が一連の有効な措置を通じ、更に多くの人々が市場という効率の更に高い手段を通じて住宅問題を解決することができるようにし、民生のために福利を図るということである。
住宅の市場化改革10余年来、不動産市場は大いに発展した。ますます多くの人々が新居に住み、住宅条件は大きな改善を獲得し、経済の発展を推進した。しかしここ数年、一部の都市の住宅価格が高すぎ、上昇が速すぎることにより、徐々に市場が変質した。一方で、住宅を必要とする普通の人々はますます住宅が買えなくなり、他方で投機者がいっぺんに何件も購入し、大量の住宅が空室となっている。不動産市場が住宅需要を解決する機能は弱まり、少なからぬ人々が暴利をむさぼる場となってしまった。住宅の所有者・非所有者の富の格差はますます大きくなり、社会の富の分配の二極分化を激化させた。不動産のバブル化も金融の安全と経済の発展に多くの不利な影響をもたらしている。これらはいずれも、住宅制度改革の初志に相反するものである。
ここ数年、わが国の都市化は急速な発展段階に入った。人々の住宅需要は不断に上昇し、土地等の資源の希少性はますます明らかになり、社会保障的性格をもつ住宅がカバーする部分には十分限りがある。このような国情から、住宅制度改革の方向は分譲住宅市場を大いに発展させ、現段階では分譲住宅の「住宅」としての属性を更に多く発揮させなければならない。即ち、住宅は住むものであり、更に多くの普通の人々が買うことができ、住むことができなければならない。同時に、その「商品」としての属性とりわけ投資品としての属性を弱化させ、住宅を投機や暴利をむさぼる手段としてはならない。そのようなことをすれば、いくら住宅を建設しても不足してしまうことになる。
この観点からすれば、「国務院10条意見」に代表される一連の不動産コントロール措置は、住宅価格をコントロールするだけでなく、普通分譲住宅の供給を増やし、中古住宅市場を活性化し、賃貸住宅市場を規範化することをも要求するものであり、これにより住宅の使用機能を更に十分に体現させ、不動産市場を本来の姿に戻そうとするものである。更に多くの人々が住宅を買えるようになれば、住宅問題を解決できるだけでなく、1つの安定した資産の保有が可能となり、財産収入の増加を実現することができ、多数の人々が経済発展と住宅制度改革の成果を享受できるようになるのである。このため、今回の不動産コントロールは、民生を改善し、社会の調和のとれた安定を促進する重要措置であり、意義は重大で、動揺させないことを堅持すべきである。
見て取るべきは、現在の複雑な内外経済情勢の下、不動産市場のコントロールと経済成長の間には、一種の衝突が避けがたいということである。もし成約量が引き続き低迷すれば、投資の伸びと川上・川下産業にいくらかの影響がでるであろう。しかし、もしコントロールの程度・方向をしっかり把握し、かつ社会保障的性格をもつ住宅の建設を加速できるならば、この種の短期的影響には限りがある。民生改善に対するコントロールの巨大な積極的役割に比べれば、経済成長の速度が一定の影響を受け、多少の代償を払っても、それは払うに値するものである。
長期的にみれば、短期的なコントロールを進めると同時に、もし住宅発展の中長期計画を早急に制定し、住宅制度改革の得失を反省し、更に深い制度改革に着手できるならば、しばらくの陣痛の代わりに、庶民の安住、不動産業の平穏で健全な発展、経済社会全体の調和のとれた安定がもたらされることになろう。
5.国際金融報2010年9月9日記事「誰が不動産市場の今回の反発を操縦しているのか」
概要は以下のとおりである。
兆候は決して多くはないが、一線の都市の不動産市場には早くも「報復」の臭いが立ち込めている。今週の初め、異なる機関のデータが大量のメディアに引用されているところによると、総体として指摘されていることは、一線の不動産市場はすでに反発が形成されているということである。あるいは、反発は造られた現象にすぎないのかもしれない。徹夜で並ぶ住宅購入者は依託されたものかもしれないし、中古住宅の真実の価格も霧に包まれている。
新しい「国務院10条意見」の効果がてきめんであったことは、北京・上海・深セン・広州等の不動産市場の取引量が急速に萎縮したことに現れている。しかし、たとえそうであっても、新築住宅及び中古住宅の価格バブルが未だ合理的に抑圧されていない。多くの観察者は、価格は有効に反落したが、取引量が停滞した数ヶ月のうちに、硬直的な需要は期待された「政策のタイムラグ効果」に直面してはおらず、逆に杭州・上海等の都市では、新規購入のため徹夜で並ぶという反動現象が見られるようになっている。
政策決定層の投機を抑制する態度は断固としているが、全部の資本が政策圧力を恐れて不動産市場という宝の山から逃げ出したわけではない。不動産市場に対する新政策が開始されたとき、ある陝西省籍の投機家は、「しばらくでも不動産市場の投資から離れようとは思わない。この政策がしばらく施行されれば、我々は市場の政策・動向を基本的に判断することができる。住宅価格が下がることはない」と記者に語った。
ある投機家は記者に対し、「新政策が5ヶ月たった節目において、一部の不動産企業の資金ルートは逼迫し、住宅価格を引き下げた。一部の投機家はこれを利用して、再び新築住宅を購入した。価格の明白な下降が現れるまでは、硬直的な需要者はただ模様眺めを続けることを選択するだけである。徹夜で住宅を購入する者は、投資家を除いて誰がいるというのか?」
このような反問は、今回の住宅価格の反発の重要な動力を示しているようなものである。事情通によれば、投機家の行動パターンは2つある。1つは、価格が下がったら買い取る。もう1つは、現在並んで住宅を購入し、需給関係によって価格を引き上げることに対する国家の容認の最低ラインを探ることである。
聞くところによると、世論のモニターに責を負う国務院弁公庁の部門が住宅価格の継続的な上昇に対する世論の反応をモニターした文件を作成し、住宅建設部・銀行業監督管理委員会等不動産コントロールに参加している部門にこれを転送して、これらの部門に具体的な状況を実査のうえ報告書を作成し、国務院に上げるよう要請したという。
(10,853字)
[1]8月統計の発表は当初13日の予定であったが、急遽11日に繰り上げられた。これは16日に米下院歳入委員会でガイトナー米財務長官が人民元レートについて証言することになっており、議会の攻撃を避けるためには13日から人民元レートの切上げを早める必要が出てきたため、その前に経済指標を発表し、現在中国経済は順調であり多少の人民元レート切上げでは問題は生じないことを国民に示す必要があったのではないか。
[2]ピークは2008年8月の8.7%である。
[3]ピークは2008年7月の10.1%である。
[4]年間の主たる営業収入が500万元以上の企業。
[5]日本への輸出は753.3ドル、前年同期比25.5%増、日本からの輸入は1115.6億ドル、同41.9%増である。
[6]主な収入の内訳は、国内増値税前年同期比13.6%増、国内消費税18.7%増、営業税11.7%増、企業所得税-46.4%、個人所得税25%増、輸入貨物増値税・消費税33.9%増、関税42.2%増、車両購入税52.5%増である。輸出に係る税還付は34.8%増である。
[7]歳出で伸びが大きいのは、交通・運輸支出47.9%増、科学技術支出45.2%増である。
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