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ログイン2003年1月22日
5.全国税務工作会議(2002年12月25日)
【2003年の税務工作の重点】
金人慶国家税務総局局長は、次の6方面につき、重点を置くよう指示している(2002年12月25日新華網北京電、同12月26日付け人民網日本語版)。
(1) 煙草、酒類などの消費税徴収や、観光・代行業などの営業税管理の方法改善を進める。
(2) 「免税・控除・還付」方式による輸出税還付の管理改善、管理強化を進め、重点輸出企業に対する税金還付を優先的に保障し、輸出拡大につなげる。
(3) 所得税の管理を強化し、重点納税者の個人所得税の徴収・管理方法を改善する。
(4) 外資系企業関連の税収及び地方税管理を強化する。
(5) 税収秩序の整理・規範化工作を推進する。大企業の所得隠しの摘発に向けた全国一斉調査を継続し、外資系企業関連の税収増を維持する。
(6) 税収収入の分析・予測を改善する。
(金人慶国家税務総局局長記者会見)
金局長は、1月14日、記者会見を行い、2002年の税収が1兆7,004億元(関税・農業税収を含まない)であり、対前年比12.1%、1,832億元の増収であったことを明らかにした。また、税収のGDP比は1997年の11%から16.7%にまで上昇した。中央レベルの税収は1兆393億元であり、地方レベルの税収は6611億元であった(2003年1月15日付け国際金融報)。
税収では、流通税が主体であり、国内増値税・国内消費税・営業税収入の総額は、9789億元となり、増収分の72%を占めている。これを主な税目でみると、国内増値税3,275億元(対前年比115億元増)、外資系企業所得税616億元(同105億元増)、個人所得税1,205億元(同209億元増)となっている。なお、輸出税還付は1,258億元(同191億元、17.9%増)となり、輸出増加に貢献したとされる(2003年1月2日付け人民網日本語版)。また、脱税摘発は350億元に達した。
なお、金局長は税制改正に関する質問に次のように答えている(2003年1月15日付け国際金融報)。
(1) 遺産税の徴収開始については、タイムスケジュールはない。遺産税を徴収するには、まず遺産に対する法律概念を明確に画定しなければならないが、現在の中国民法やその他の法律では、この概念がはっきり規定されていないからである。
(2) 燃料税については、準備工作は緒についているが、時期が問題である。国際原油価格の変化をもう少し観察する必要がある。
(3) 金融・保険業の営業税率は更に1ポイント引き下げ、5%とする。
(4) 個人所得税の課税最低限800元は変更しない。800元が低いか高いかについては、地域により見方が分かれるからである(2003年1月14日中新社北京電)。
【関税収入の実績】
税関総署の発表によれば、2002年の関税収入は2,590.57億元に達し、対前年比98.25億、3.94%増となった。予算収入見込みをも190.57億元上回っている。2002年上半期の収入は、1,136億元であったので、後半に大幅に収入が伸びたことになる。この理由については、、主な税源である一般貿易が大きく伸びたこと、関が密輸や虚偽の輸出税還付申請に対する取り締まりを引続き強化し、貿易分野の秩序維持に努めたため、企業の納税意識が高まったこと、位置付け、税金の徴収と管理を強化するために効果的な措置をとったこと、が挙げられている(2003年1月3日付け人民網日本語版)。
なお、牟新生税関総署署長は、1月7日に全国税関関長会議が開催された際インタビューに答え、2003年も引続き反密輸取り締まりを強化すること、税関の電子化を促進することを表明している(2003年1月7日付け人民日報)。
6.労働保障工作会議(2002年12月25日)
【就業・社会保障の現状】
張左己労働・社会保障部部長によれば、2002年度末の都市登記失業率は4%前後であり、目標4.5%を下回る見込みとされる。また、社会保障については、全国年金保険加入者が1.1億人を超え(対前年比220万人増)、年金保険収入は2,110億元(同250億元余増)、失業保険基金収入は210億元(同20億元余増)、医療保険加入者は9千万人(同1,400万人弱増)となった、としている(2002年12月25日新華網広州電)。
【2003年の重点政策】
張部長は、整備、950万人前後の再就職を実現し、失業率を4.5%前後に抑えるとしている。
【都市社会保障体系の試点】
朱鎔基総理は自ら会議を主催し、遼寧省から都市社会保障体系の試点の実施状況につき、事情を聴取した。同時に、この会議では次の3点が強調されている(2003年1月16日新華社北京電)。
(1) 一時帰休者・年金受給者・都市最低生活者の生活保障の確保。
生活困難の大きい大衆の実際問題をきちんと解決することが強調されている。
(2) 社会保障工作の指導強化。
指導・工作・資金がきちんと行き届き、死角を残さないことを強調している。社会保障資金の流用が多いのであろう。
(3) コミュニティの社会保障・労働就業における作用の十分な発揮。
コミュニティの社会保障における役割は益々重要になっているとし、コミュニティ組織の建設強化・人員の素質の向上が強調されている。
7.中央農村工作会議(2003年1月8、9日)
【中央政治局会議】
中央農村工作会議に先立ち、2002年12月26日に胡錦涛総書記主催による政治局会議が開催された。この会議で、「農村・農民に対する関心を高め、農業支援を強化し、農業・農村・農民の問題を全党の重点中の重点とし、更に突出した位置付けを行っていくべき」との認識が示され、次の諸課題が示された(2002年12月26日新華社北京電)。
(1) 積極的に農業と農村経済を発展させ、農民の所得増加に努力する。
(2) 引き続き農業の構造調整を推進し、地域バランスを調整し、農産物の品質と安全性を高め、農業の産業化経営を発展させる。
(3) 郷鎮企業の調整・改革を加速するとともに、小都市・町を重点的に発展させ、出稼ぎ農民へのサービスと管理を強化し、農村の労働移転を促進する。
(4) 農業の国際競争力を高め、優位性のある農産物の輸出拡大に努める。
(5) 農業と農村に対する財政支援を強化するとともに、生態環境と農村での中小基礎インフラの建設を強化し、貧困扶助活動を展開していく。
(6) 農村政策を安定させるとともに、農村改革を推し進め、農民の積極性を引き出していく。
(7) 農村の教育、科学技術、衛生、文化など社会事業建設の強化を重視し、都市と農村の発展格差を徐々に縮小していく。
この決定に基づき、中央農村工作会議が開催されることになったのである。
【中央農村工作会議】
会議では、胡錦涛総書記が重要講話を行い、温家宝副総理が今後一時期の農業・農村工作について具体的指示を行っている。また、党政治局常務委員としては、ほかに曾慶紅、黄菊、李長春が出席した。3月の温家宝総理就任に伴い、この中の1人が農業問題を引き継ぐのではないかと思われるが、3人の経歴の中で農業問題に精通しているのは河南省省長・書記の経験がある李長春のみである。
会議では、「小康社会を全面的に建設するというマクロ目標の実現にとって、最も複雑かつ困難な問題は農村にある」とし、「農民の小康実現なくして全国人民の小康実現はあり得ず、農村の現代化なくして国家の現代化はあり得ない」という認識が示された。そして、「農業・農村・農民問題を解決することを全党工作の重点中の重点としなければならない」と強調している。「小康社会の全面的な建設」が国民全体の生活水準の向上を目指している以上、当然の帰結といえよう。この認識のもと、会議は今後次の4つの方針を重点的に進めるよう提案している(2003年1月8日新華社北京電)。
(1) 党の農村における基本政策を安定させ、引続き農村改革を深化させる。
基本政策の安定については、土地請負体制の安定化と改善が核心となる。また、市場の主体としての農家の地位を尊重し、農地政策と「農村土地請負法」を徹底させ、農民に長期かつ保障のある土地使用権を提供する。政策の安定性・連続性の維持を前提に、農村の発展に悪影響を及ぼす体制的要素に対し、更に深く農村改革を行う。改革については、次の4つを重点とする。
は、経験を総括し、政策を完全なものにしたうえで、全面的に展開する。
る農業とりわけ食糧を主として生産する地域への援助を強化する。
農村支援貸付を強化する。
(2) 農業・農村の経済構造を改善し、農村経済の発展における新たな成長点を育成する。
農業構造の調整を図るために、農業成長方式の転換、良質で生産性が高く環境に負担をかけない作物の増産を核として、農民の増収を目指し、基本目標を農業の現代化に置く。また、経済法則や自然法則に従って政策を進めていく。
(3) 社会経済の発展は都市部と農村部で一括して進め、都市から農村への牽引作用を発揮させる。
党委員会と政府は、国民経済発展計画を策定し、国民の富の分配構造を構築し、重要な経済政策を摸索するに当って、農業・農村・農民の問題を最優先課題とする。経済発展と国家財政力の向上に伴い、国民の富の分配と財政支出の構造を更に調整し、農村経済と社会事業への支援を強化し、国家による農村支援資金が安定的に増加するメカニズムを整える。「公平な対応、合理的な誘導、完全な管理、しっかりしたサービス」という方針のもとに、農民が都市で出稼ぎを行うための有利な条件を作る。大中小都市と町の調和のとれた発展を堅持し、中国の特色のある都市化の道を歩まなければならない。
(4) 民主的な法制を整備し、精神、文化水準を高め、農村社会の全体的発展を促す。
党中央・国務院は、今後毎年増加する教育・衛生・文化等の事業経費は、主として農村に用い、都市・農村の社会事業の発展格差を徐々に縮小していくことを決定した。
【全国農業工作会議】
中央農村工作会議を受け、1月9日、全国農業工作会議は2003年の7つの重点政策を打ち出した(2003年1月10日付け人民日報)。
(1) 比較優位な農産品の地域割付を推進する。
(2) 農業科学技術の進歩を加速する。
(3) 農業産業化の経営水準を高める。
(4) 農産品の質の安全、農産品市場、農業関連の社会サービスの体系を作り上げ、市場競争力を高める。
(5) 農業の基礎インフラ・生態建設を強化する。
(6) 農村余剰労働力の移転を積極的に促進する。
(7) 家庭請負経営を安定化させ、農村改革を深化させるとともに、農業の対外開放に努め、農産品の輸出を拡大する。
【農村労働力移動の実態】
1月15日、農業部は2002年の農村労働力移動の実態調査結果を発表した。これによると、農村から都市部へ流出した労働人口は9,400万人以上に達し、2001年の8,961万人から約470万人増加した。農村から流出した就労者1人当りの年収は5,597元であり、対前年比94.4元、1.7%増、収入のうち故郷に持ち帰った額は3472元で、対前年比369元、9.6%減となった。
なお、調査は、農村からの労働力移動には次の特色があると指摘している(2003年1月16日付け人民日報)
(1) 男性が増加
流出労働力のうち男性は、全体の70.11%を占める。
(2) 低年齢化
流出労働力の平均年齢は33.4歳。このうち出身県外に出た者の平均年齢は36.8歳、県外に出て省内に留まった者の平均年齢は30.6歳、省外に出た者の平均年齢は28.1歳。
(3) 省外で就業する比率はやや減少
郷外県内の就業は33.39%、県外省内の就業は29.72%、省外(含む国外)の就業は36.89%。省外の就業は対前年比7ポイント減。
(4) 広東・福建・浙江・上海・江蘇など沿海部の経済発達地域が依然として人気
省をまたいだ流出労働人口の就労先は、広東・福建が38.29%、浙江・上海・江蘇は16.88%、北京・天津は10.23%、西北地域は7.89%、国外は1.2%。
(5) 高学歴化
中卒59.5%、高卒以上12.6%であり、農村全体平均よりそれぞれ16ポイント、4.3ポイント高い。農村労働力のうち、文盲・半文盲は11.1%、小卒は37.1%だが、流出労働力中の構成割合は、それぞれ4.1%、23.8%。
(6) 工業、建設、飲食・サービス業に67%強が集中
最多は、工業28.3%。次いで、建設業20.5%、飲食・サービス業18.3%。また、男女別では、男子の上位は建築業27%、工業25.3%。女子の上位は工業35.4%、飲食・サービス業27.8%。
【国務院弁公庁通達】
国務院弁公庁は、「都市の農村出身労働者に対する就業管理・サービス業務の改善」通達を発表した。その主な内容は以下のとおり(2003年1月15日新華社北京電)。
(1) 都市の農村出身労働者に対する就業管理・サービス業務の改善について認識を高めること
農村余剰労働力が非農業・都市に移転するのは、工業化・現代化の必然的傾向である。これは、農民の収入を増加させ、農業・農村経済の構造調整を促進し、都市化の発展を促進し、都市経済・社会の繁栄を促進するものであり、国民経済の健全な高度成長に資するだけでなく、都市・農村社会の安定にも資するものである。
(2) 農民の都市就業への不合理な制限を取り消すこと
各地区・関係部門は、企業が自主的に農民出稼ぎ労働者を使用することに干渉してはならない。
(3) 農民出稼ぎ労働者への給与未払い・減額問題を解決すること
使用者は、法に基づき農民と労働契約を締結すること。労働保障部門は契約について検査・監督を強めること。使用者は給与を貨幣で支払い、いかなる名目でも未払い・減額は許されない。
(4) 農民出稼ぎ労働者の生活を改善すること
各地区・関係部門は、農民出稼ぎ労働者の生産安全・職業病予防問題を高度に重視すること。彼らの生活に関心をもち、実際の困難を解決すること。
(5) 農民出稼ぎ労働者の育成工作を行うこと
出稼ぎに出る前に、基本権益の保護・法律知識・都市生活の常識・職の探し方等の教育を行うこと。
(6) 多様なルートで農民出稼ぎ労働者の子女の就学を手配すること
彼らの子女にも義務教育を受ける権利を保障しなければならない。農民が入り込んだ地方政府は、彼らの子女を全日制公立小中学に受け入れ、入学条件は当地の学生と同様にすること。国家の規定に違反してみだりに高い授業料を取ってはならず、家庭の経済が困難な学生には授業料を減免すること。
(7) 農民出稼ぎ労働者の管理を強化すること
農民が入り込んだ地方政府は、流動人口の治安管理工作を高度に重視しなければならない。公安部門は、出稼ぎ労働者の現住所において暫定戸籍登記・暫定居住証の手続を遅滞なく行い、彼らに遵法教育を施し、その違法犯罪行為を最大限度予防し、減少させること。農民を送り込んだ地方政府は、彼らについての情報を、受け入れた地方政府に通報すること。
以上を見ても、経済関連の工作会議・報道の中でも、農業・農村・農民(三農)関連のものが格段に多いことが分かる。これは、「小康社会の全面的建設」のためには、三農問題の解決が避けて通れないからである。政府は、農村余剰労働力の都市への移動を促進することにより、都市から農村への所得移転をもたらすとともに、農業の生産性向上を図り、都市・農村格差を是正しようとしている。これまで、都市労働者と農民出稼ぎ労働者は職種を棲み分けていたため、大きな摩擦は発生しなかった。しかし、農業部調査でも分かるように、出稼ぎ農民の高学歴化・熟練工化は進んでおり、受け入れ地方政府による就業制限が国務院通達により撤廃されることになれば、都市労働市場における一時帰休者との競合問題が顕在化してこよう。
三農問題の解決は、都市における再就職問題の解決と並行的に行わなければ、都市の治安問題にも発展しかねないのである。
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