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アジアインフラ投資銀行に関する財政部長インタビュー

中国ビジネスレポート マクロ経済
田中 修

田中 修

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2015年3月30日

はじめに
3月20日、楼継偉財政部長はアジアインフラ投資銀行について、記者の質問に回答する形で解説している。本稿では、財政部新聞弁公室が発表した応答の概容を紹介する。

問:現在、アジアインフラ投資銀行設立の進展状況如何?

答:
2013年10月、習近平主席と李国強総理が前後して東南アジアを訪問した際、アジアインフラ投資銀行設立を提起した。これは、中国が更に多くの国際責任を引き受け、現行の国際経済秩序を補完する建設的な立ち振る舞いであり、現行のマルチな開発銀行の有益な補完であり、世界・アジア各国にとって互恵・Win-Winである。

これを提起以降、中国はずっと「公開・透明」の原則に基づき設立プロセスを進めており、多くの国家の積極的な反応を得た。現在までに、アジアインフラ投資銀行の創設意向メンバー国は既に27ヵ国である。近日、イギリス・ドイツ・フランス・イタリア・ルクセンブルク等の国家も既に正式に中国に対し、アジアインフラ投資銀行への加入申請を提出した。もし現行の創設意向メンバー国の同意が得られれば、上述の国家は3月末に正式にアジアインフラ投資銀行の創設意向メンバー国となる。

現行の創設意向メンバー国が合意に達したスケジュール表に基づき、各国は今年年央にアジアインフラ投資銀行規程の協議・締結を完成させ、年末までに規程発効プロセスを完成させ、正式にアジアインフラ投資銀行を設立することになる。

問:アジアインフラ投資銀行の創設意向メンバーの吸収プロセスと期限は?

答:
アジアインフラ投資銀行は、開放的・包容的なマルチの開発機関であり、これに興味のある全ての国の加入を歓迎する。各国が今年6月末までに規程の協議・締結を完成することを確保するため、各国は協議の上、2015年3月31日を創設意向メンバー国の申請受付期限と決めている。創設意向メンバー国としてアジアインフラ投資銀行に加入する意志のある国家は、2015年3月31日までに申請を提出しなければならず、現行の構成員の同意を経て後は創設意向メンバーとなり、アジアインフラ投資銀行規程の協議・設立プロセスに参加できることになる。創設メンバー国として加入できない国家は、以後なお一般メンバーとしてアジアインフラ投資銀行に加入することができる。

問:アジアインフラ投資銀行は現行のマルチ開発銀行とどのような関係になるのか?アジアインフラ投資銀行設立後、中国は世界銀行・アジア開発銀行への支援を削減するのか?

答:
アジアインフラ投資銀行は、国際発展分野の新メンバー・新パートナーであり、アジアインフラの資金調達需要が巨大な情況下、位置づけ・業務の重点が異なるため、アジアインフラ投資銀行は、現行のマルチ開発銀行と相互補完関係となり競争関係にはならない。アジアインフラ投資銀行はインフラ建設に重点があり、現行の世界銀行・アジア開発銀行等のマルチ開発銀行は、むしろ貧困削減を主要な趣旨として強調している。歴史的経験からすると、アジア開発銀行・欧州復興開発銀行を含む地域的マルチ開発銀行の設立は、世界銀行等現行のマルチ開発銀行の影響力を削減していないばかりか、マルチ開発金融の全体としてのパワーを増強しており、世界経済の発展をより有力に推進してきた。

アジアインフラ投資銀行の設立及び将来の運営プロセスにおいて、中国はアジアインフラ投資銀行と世界銀行・アジア開発銀行等現行のマルチ開発銀行と、知識の共有・能力建設・人員交流・プロジェクト融資等の方面で協力を展開し、当該地域のインフラ融資水準を共同で高め、当該地域の経済・社会の発展を促進する。世界銀行・アジア開発銀行の重要な出資国として、中国はこれまでと同様に現行のマルチ開発銀行を支援し、世界の貧困削減・事業発展の方面で積極的に貢献する。

問:ある国家は、「いかなる新しい
マルチ機関も世界銀行・地域発展銀行の高い基準を体現すべきであり、ガバナンス・環境・社会保障等の方面でアジアインフラ投資銀行が上述の基準に適合するかどうかについて、関心をもっている」と表明している。中国は、これについてどのように評するのか?

答:
新たに設立するマルチ開発銀行として、アジアインフラ投資銀行はガバナンス・環境・社会保障政策方面において、現行のマルチ開発銀行が広く一般に用いている経験・好い方法を十分参考とし、同時にこれらの機関が歩んできた回り道を避けて、コストを引き下げ、運営効率を高めて、メンバー国により好いサービスを行う。

ガバナンスは、アジアインフラ投資銀行の規程において最も重要な部分であり、現在各国が折衝を進めている。アジアインフラ投資銀行は理事会・董事会・管理層の3層による管理の枠組みを設け、有効な監督メカニズムを確立し、政策決定の効率の高さ・公開・透明を確保する。現在、各国は現行のマルチ開発銀行のガバナンスモデルと経験を真剣に研究し、非メンバー国・その他マルチ開発銀行を含む関係方面の意見を広範に聴取しており、この基礎の上にアジアインフラ投資銀行のガバナンスモデルをいかに設計するかについて、深く討論を進めている。

問:イギリス・ドイツ・フランス・イタリア等の西側国家の加入は、アジアインフラ投資銀行にとってどのような影響を生み出すか?

答:
アジアインフラ投資銀行は、開放的・包容的なマルチ開発機関であり、中国は意欲のある国家ができるだけ速やかに創設メンバー国としてアジアインフラ投資銀行への加入を決定することを歓迎する。地域内外の国家が積極的に参加することは、アジアインフラ投資銀行の広範な代表性を体現するのに有利である。中国は各国と一緒に共同で努力し、アジアインフラ投資銀行が各国の互恵・Win-Winを実現し、専業性があり効率の高いインフラ投融資プラットホームを作り上げ、地域のインフラ建設と経済発展のために貢献をなすことを望んでいる。

問:現在、米国と日本がアジアインフラ投資銀行にまだ加入していないが、中国はこれについてどのように評するのか?

答:
アジアインフラ投資銀行が提起されて以降、中国はずっと開放的・包容的姿勢により、「開放的地域主義」の原則に従い、地域内外の国家と広範に接触・交流を進めてきた。このプロセスにおいて、我々と米国・日本の関係部門とはずっと意思疎通を維持している。中国は地域内外の国家がアジアインフラ投資銀行の設立に積極的に参加することを歓迎する。同時に、アジアインフラ投資銀行に加入するか否か、及びいつ加入するかについての彼らの決定も尊重する。私が強調したいのは、アジアインフラ投資銀行に加入するか否かにかかわらず、中国は関係各国とのマルチ・バイの経済対話メカニズムの継続、及び世界銀行・アジア開発銀行等の枠組みの下での意思疎通・協力の強化を望んでいるということである。

問:アジアインフラ投資銀行と「シルクロード経済ベルト・21世紀海のシルクロード」戦略との関係をどう見るか?

答:
アジアインフラ投資銀行は、アジア地域のインフラ建設と相互連結に努力する。これには、「シルクロード経済ベルト・21世紀海のシルクロード」沿線のアジアインフラ投資銀行メンバー国の、関連インフラ建設プロジェクトが含まれる。両者は交錯しているが、ある程度違いもある。中国も、世界銀行・アジア開発銀行等の機関が「シルクロード経済ベルト・21世紀海のシルクロード」関連プロジェクトに積極的に参加することを、非常に歓迎する。

(3月23日記 3,082字)

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