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ログイン2012年8月8日
ここのところ、温家宝総理は立て続けに国務院常務会議を開催し、景気てこ入れの政策を決定している。本稿では、その概要を紹介したい。【2,849字】
はじめに
ここのところ、温家宝総理は立て続けに国務院常務会議を開催し、景気てこ入れの政策を決定している。本稿では、その概要を紹介したい。
1.7月25日会議
(1)営業税を増値税に改めるテストの範囲拡大
2012年8月1日から年末までに、交通運輸業及び一部現代サービス業について、営業税を増値税に改めるテストの範囲を、上海から北京・天津・江蘇・浙江・安徽・福建・湖北・広東・アモイ・深?に拡大する。
来年は引き続きテスト地域を拡大し、かつ一部業種を選んで全国範囲でテストを行う。
(2)中部地域興隆促進戦略の実施
会議は「中部地域興隆促進戦略を大いに実施することに関する若干の意見」を採択した。山西・安徽・江西・河南・湖北・湖南の6省を含む中部地域は、国家の地域発展構造において、重要な決定力をもつ戦略的地位を占めている。中部地域興隆促進戦略を引き続き大いに実施し、発展方式の転換・協調・持続可能な発展を更に重視し、中部地域の内需潜在能力を奮い立たせ、更に発展空間を開拓し、中部地域の全面興隆の実現に努力しなければならない。
①食糧生産基地、エネルギー・原材料基地、現代製造業・ハイテク基地の建設を強化する。
②各種輸送方式を統一的に企画発展させ、総合交通輸送能力を全面的に引き上げ、総合交通輸送における枢軸的地位を強化する。
③重点地域の発展を支援する。
④未発達地域の発展加速を支援する。
⑤民生を確実に保障・改善する。
⑥資源節約・環境保護を強化する。
⑦改革・イノベーションを大いに推進し、開放を全方位的に拡大する。
中部地域に対する政策支援を強化しなければならない。中央の財政移転支出を強化し、食糧を主として生産する地域を重点的に支援し財政保障能力を引き上げ、中部地域の民生改善・基本公共サービスの均等化促進を支援し、三峡ダム地域・丹江口ダム地域・神農架林業地域等の重点生態機能区の建設を支援する。
(3)最低生活保障政策の一層の強化・改善
①最低生活保障対象の認定条件を整備する。
②審査・許可の手続を規範化する。
③チェックのメカニズムを確立し、動態管理を強化し、最低生活保障等社会救済の対象者に対する正確で効率の高い公正な認定を確保し、最低生活保障の条件に符合しなくなった場合は遅滞なく保障の範囲から退出させる。
④監督管理のメカニズムを健全化する。
2.7月30日会議
(1)民間投資奨励実施細則の制定状況の聴取
改革開放以来、わが国の非公有制経済は無から有に、小から大に急速に発展し、経済社会発展における地位・役割は日増しに際立ってきており、既に経済発展、科学技術イノベーションの推進、産業構造の調整、都市・農村市場の繁栄、社会就業拡大の重要なパワーとなっている。
「2つのいささかも動揺しない」[1]という方針を堅持し、民間投資の健全な発展を奨励・誘導することは、社会主義初級段階の基本経済制度を堅持することに直接関わるものであり、物権を平等に保護する法律制度の維持に関わるものであり、公平に競争する市場環境を真に確立することに関わるものであり、社会の活力を奮い立たせ社会の進歩を促進することに関わるものである。
2010年に「民間投資の健全な発展を奨励・誘導することに関する国務院若干意見」[2]を公布して以降、とりわけ今年に入って、各関係部門は国務院の手配を貫徹実施し、参入ハードルを引き下げ公平な競争条件を創造することに着眼し、42の「新36条」実施細則を制定し打ち出した[3]。これらの細則は、経済社会の発展と人民生活に関連する各業種に及ぶものであり、民間投資の発展を制約する障害を取り除く方面において、実質的な歩みを踏み出すものである。
各地方・各関係部門は確実・有効な措置を採用し、各種政策の完全実施を確保し、民営経済を含む各種市場主体のために公平・透明・予測可能な市場環境を創造し、各種所有制経済が法に基づき生産要素を平等に使用し、市場競争に平等に参加し、法律の保護を同等に受ける体制環境を作り上げなければならない。
①鉄道・都市公共事業・エネルギー・電信・金融・衛生・教育等の分野において、民間投資の参加を誘導するいくつかの重点プロジェクトを早急に推進し、模範的な牽引効果を発揮させなければならない。
②細則の実施状況・効果を遅滞なくフォーローアップし、政策措置を不断に整備し、操作可能性を高めなければならない。
一部業種・分野に参入するルール・基準・条件の明確性・具体性が不十分であるという、企業が不満をもっている問題について、早急に検討・解決しなければならない。
③重点業種・分野の改革を早急に推進しなければならない。
行政許認可制度の改革を更に推進し、行政許認可事項を更に整理・取消・調整し、政府と市場の関係を調整する。
④民間資本・民営企業への誘導を強化し、民営経済の持続的で健全な発展を促進しなければならない。
会議は、国務院が近々特別督促検査を組織することを決定した。
(2)企業の技術改造の奨励・支援
わが国の工業は、大から強への転換の重要時期にある。国際金融危機の深層の影響がなお顕在化し、国内経済の下振れ圧力が増大している情況下、タイムリーに有力な政策措置を採用し[4]、企業が新技術・新製造工程・新設備・新材料を採用し、現有の施設・製造工程条件・生産サービス等について改造・グレードアップを進め、イノベーション・競争能力を増強し、産業のグレードアップを加速することを奨励・支援しなければならない。
これは構造調整、発展方式の転換、工業発展の質・効率を引き上げることにとって、また合理的な投資を促進し、消費需要を拡大し、経済の平穏で比較的速い発展を維持することにとって、いずれも重要な意義を有するものである。
①技術のイノベーション、科学技術の成果の産業化を早急に推進し、先進技術の産業化への応用を推進する。
②先進的な製造システム、インテリジェント製造設備、大型でセットになった技術装備の普及・応用を加速する。
③内外の先進的な省エネ・節水・材料節約の技術・製造工程の普及を加速し、エネルギー・資源の利用効率を高め、成熟化したクリーン生産技術適用の普及率を引き上げる。
④製造のたゆまぬ進歩、製造工程の改善、製造水準の向上の推進に力を入れる。
⑤ITの応用を深化させ、現代生産管理システム等カギとなる共性技術の普及を加速し、情報化・工業化の深度の融合を推進する。
中央財政は資金を計上し、利息補助方式により重点業種が技術改造を早急に実施するよう支援する。現行の税制優遇に関する政策をうまく用いなければならない。技術改造プロジェクトに対し、金融機関が多元化した融資の便を図ることを奨励し、企業が借入・リースなどの方式を採用し技術改造を展開することを支援し、企業の技術改造の直接金融の規模を拡大する。企業の技術改造を奨励・支援するに際しては、企業が主体となり、市場が導き手となり、効率を重視し、省エネ・環境保護を重視しなければならない。
(7月31日記2,849字)
[1]公有制経済をいささかも動揺することなく強固に発展させ、非公有制経済の発展をいささかも動揺することなく奨励・支援・誘導すること。
[2]「新36条」と呼ばれている。
[3]逆に言えば、2010年の「新36条」公布以降今年の4月に至るまで、民間投資の奨励策を各官庁は全く無視していたことになる。
[4]斜体は筆者。これにより、7月の時点で経済がまだ底を打っていないと中央が認識していることがわかる。
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