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経済諸会議の動向(3) 国家税務総局関連

中国ビジネスレポート 政治・政策
田中 修

田中 修

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2006年2月13日

国家税務総局

1.全国税務工作会議(2006年1月8日)

(1)第10次5ヵ年計画の成果(2006年1月8日中新網電)

 5年間で税収総額10兆9217億元(関税・農業税収を除く)。年平均19.5%の増。5年で2倍に。2005年の税収は3兆866億元(対前年度比20%増)で、3兆元台にのった。

(2)税務行政の問題点(2006年1月8日中新網電)

a 「法に基づく課税」のレベルを引き上げる必要がある。

  一部の税務当局幹部の法治観念が希薄であり、執行の不規範という現象が依然存在する。一部の地方政府が税の執行に干渉する問題がかなり際立っており、巨額の脱税事案が発生している。全社会が法と信義誠実に基づく納税意識を強化する必要がある。

b 税制・徴収管理体制・内部管理メカニズムをさらに改善する必要がある。

c 徴収管理の質と効率が十分に高くない。

d 税務当局幹部の質を強化する必要がある。

 一部の指導幹部の科学管理水準が高くなく、責任感が弱く、職務を執行しないという問題が依然際立っている。少数の幹部の失職・汚職・違法行為が時として発生し、あるものはかなり深刻である。

(3)2006年の税制改革(2006年1月8日新華社北京電)

a 農業税を取り消し、農村税・費用改革の成果を強固にする。

 農業税取り消し後のたばこ特産税の改革案、耕地占用税・契約税の管理体制を調整する案を検討する。

b 輸出に係る税還付の改革措置を実施する。

c 改正後の個人所得税法及び実施条例をしっかりと実施する。

d 消費税の徴税範囲、税率、徴収方法の調整を検討する。

e 資源税の改革を推進する。

f 不動産の評価税の模擬テストを深く展開する。

g 内資・外資の企業所得税の合併改革案を検討・整備する。

 内資企業所得税の給与所得控除に限度額を設けている政策の段階的調整を検討する。内資・外資企業に係る都市維持建設税制度の統一を検討する。

h 一部の高エネルギー消耗・高汚染・資源的産品輸出に係る税還付措置の更なる調整を実施する。

i 自主革新能力の増強と企業の技術改造支援のための税制措置を検討・実施する。

j 循環経済の発展を支援する税制を実施する。

(4)2006年税務調査の重点(2006年1月8日新華社北京電)

 不動産業、娯楽業、金融保険業、郵便電信通信業、石炭生産・輸送販売企業、廃棄物処理企業、渉外企業に係る企業所得税及び個人所得税

 

2.謝旭人局長「人民日報」インタビュー(2006年1月9日)

(1)2005年税収の特徴

A 増収の主体は流通税と所得税であり、所得税の税増収への貢献度が更に高まった。

a 2005年の国内増値税・消費税・営業税等の流通税は1兆6564億元(対前年度比18.2%、2547億元増)であり、税増収への貢献度は49.5%と前年度と同じ水準であった。

b 内資・外資企業所得税及び個人所得税は7605億元(同30.9%、1793億元増)であり、貢献度は34.8%と前年度より9.2ポイント上昇した。

B 東中西部の税収は全面的に伸びたが、中西部地域の伸びが東部地域より速い。

 2005年、中・西部地域の収入の伸びは、東部よりそれぞれ3.2、2.5ポイント高く、全国税収に占める割合も2004年度よりそれぞれ0.3、0.2ポイント高まった。

 

地 域 税収額 対前年度比伸び率 全国税収のシェア
全 国 3兆 866億元 20% 100.0%
東部地域 2兆1834億元 19.2% 70.7%
中部地域 4817億元 22.4% 15.6%
西部地域 4215億元 21.7% 13.7%

 

(2) 第11次5ヵ年計画の目標・施策

A 目標

 税の徴収管理の質・効率を高め、経済発展に伴う税収の安定的で速い伸びを確保する。税収の対GDP比を更に高め、徴税コストと納税コストを徐々に引き下げ、納税サービスの水準を不断に向上させる。

B 税制改革

 「簡素な税制、広い課税ベース、低税率、厳格な徴収管理」の原則の下、経済成長方式の転換、科学技術の進歩、エネルギー・資源節約に資す税制改革を実行する。

a 増値税制度を更に整備し、増値税の転換を実行する。

b 消費税を改革し、課税ベースを適切に拡大する。

c 各種の企業課税制度を統一する。

d 個人所得税を改善し、総合と分類が相結合した個人所得税制度を実行する。

e 資源税を調整・整備する。

f 適当な時期に燃料税の徴収を開始する。

g 都市建設の税・費用改革を実施し、物業税等を着実に実施する。

(3)2006年の税収

A 有利な条件

 国民経済が安定して速い成長を保持することにより、税収増の堅実な基礎が築かれる。

B 不利な条件

a 鉄鋼・石炭・建材等の業種の成長が顕著に下降しており、増値税等の収入の伸びも緩慢になっている。

b 個人所得税の改革実施(所得控除を月800元から1600元に引上げ)により、相応の税収が減少する。

c 2005年の税収が3兆元を超え、基数が大きくなっている。その中には一時的な収入も含まれているため、2006年の税収はこれを基礎とすると増収の難度が増している。

(4) 2006年の税執行

a 租税立法作業を強化する。

 車船税暫定条例の制定、耕地占用税暫定条例の改正、領収証の管理方法の改正等。

b 所得税源泉徴収500万元以上の納税者、年商1億元以上の納税者を国家税務局の管理下に置く。

c 不動産業、娯楽業、金融保険業、郵便電信通信業、石炭生産・輸送販売企業、廃棄物処理企業・渉外企業に対する企業所得税及び個人所得税の調査を行う。

d 税による経済と所得分配の調節作用を十分に発揮し、広範な農民、給与所得階層、企業がいずれも現実の恩恵を受けるようにする。

(5) 第10次5ヵ年計画の成果

a 全国で牧畜税と煙草以外の農業特産税を廃止し、2005年に28の省で農業税を免税とし、2006年1月1日から農業税を廃止することにより、農民の負担を大きく軽減した。

b 輸出に関して、5年間で累計1兆1900億元の税還付を行った。

c 東北地方で増値税の転換のテストを実行し、2005年末までに40億元余りを控除した。

d 2005年、個人所得税の一部の条項を修正し、控除基準を従来の800元から1600元に引き上げた。これにより、中低収入の給与所得者の税負担が明らかに軽減された。

e 2005年、不動産取引行為に対し、税のコントロールを強めた。一部のエネルギー高消耗・高汚染・資源的な産品の輸出に係る租税還付を調整し、石炭・原油・天然ガスに対する資源税の税額基準を引き上げた。

 

3.国家税務総局記者会見(2006年1月17日)

 ここでは、1.2.で言及されていないものについて紹介する。

(1)第11次5ヵ年計画の重点施策(謝局長)

a 法に基づく課税を推進し、税法の執行・監督を厳格に行う。

b 税制改革を積極かつ穏当に推進し、税制・徴収管理体制・内部管理メカニズムを不断に整備する。

 c 科学的・詳細な管理を全面的に実施し、徴収管理の質・効率を更に高める。

 d 内部行政管理を適切に規範化し、作風を改善し、効率を高める。

 e 情報系統の建設を加速する。

 f 税務当局幹部の能力・素質を不断に向上させる。

(2)2005年の税収の伸びが20%に達した理由(謝局長)

A 税収は名目値と関連する。

2005年の名目成長率は13−14%であり、税収の伸びとの差は大きく縮小される。

B GDPの構造と税収構造には差異がある。

a 税収の主要の来源は、第2次産業と第3次産業である。

 2005年1−11月の一定規模以上の工業付加価値の伸びは実質16.4%であるが、これに工業品出荷価格の要素を加えると全国の工業の名目成長率は19%前後となる。これは国内増値税の19.8%の伸びと相応する。

b 個別品目の営業税の伸びは、税源の伸びと基本的に相協調する。

 2005年の営業税増収のおよそ半分は、不動産業及び建築内装業から来ている。2005年の不動産業の投資の伸びは22.2%であり、不動産業及び建築内装業の営業税の伸びは18%−20%の間となっており、大体対応している。

c 企業所得税は、翌年の第1四半期に清算納付することになっている。

 2004年の企業利潤の伸びが38.1%であり、2005年第1四半期の税収がかなり多かった。こたため、2005年の内資・外資企業所得税は35%の伸びを示している。

C 輸出入の経済成長への作用と税収増への作用は、影響が異なる。

 GDP計算は純輸出であり、輸入はマイナス項に、輸出はプラス項になる。しかし、税収においては、輸入も税収となる。

D 徴収管理の影響

 2005年は徴収管理を強化し、税務調査を強化した。滞納を200億元処理するとともに、調査により367億元を追徴している。

(3)不動産税について(王力副局長)

A 現状

 我々は、現在関係部門と共同で不動産改革と物業税の推進について検討を進めている。

 現状では、不動産の占有・使用の際に、外資単位・外国籍個人及び内資単位・中国公民の別にそれぞれ都市不動産税・不動産税・土地使用税を徴収している。外資の単位・個人に対する都市不動産税と内資企業・中国公民に対する不動産税の課税に際しては、不動産の原価から一定比率を控除した残額、あるいは賃貸収入をもとに税額を計算しているが、都市土地使用税は土地面積をもとに課税している。これ以外にも、不動産開発・建設の際には、その他の税・費用が徴収されている。

 このように、内外の税制が不統一、建物と土地の税目が分かれている、税額計算の根拠が不合理、課税ベースが狭い、不動産に対しその他の費用が徴収されている等の問題が存在する。

B 物業税について

 次の観点から検討している。

a 各種企業の公平な競争に資すること。

b 建物・土地で別々に課税されるという税制の不規範の問題の解決に資すること。

c 国際慣例に従い、評価額で課税する。

d 税と費用の関係を正確に処理し、不動産市場の健全な発展に資すること。

 しかし、物業税は解決すべき政策問題・技術問題・徴収管理問題が多い。国家税務総局は関係部門と共同で、一部地域で不動産税の模擬テストを行い、物業税徴収開始のための経験の蓄積を行い、徴収管理の条件を創造している。同時に、真剣な検討と積極的な準備を行い、税制改革の全体に配意しながら、物業税の検討を着実に推進している。

C 2005年の不動産課税について

a 営業税政策の調整

 2005年6月1日から、個人の購入した住宅について2年未満で転売した場合には、売却収入全額に営業税を課すこととした。普通住宅を2年たって以後売却した場合には営業税は課税されない。

b 契約税 

 個人が自己使用のため購入する普通住宅については、契約税を半分に減免することとした。

 なお、これまでも個人が自分の所有する住宅を売却した場合には、財産譲渡所得として20%の個人所得税が課せられている。

(4) 内資・外資に対する税制の合併について(王力副局長)

a 1994年の税制改革以後、中国の内資企業と外資企業ではそれぞれ異なる企業所得税制が実行されている。法定税率はいずれも33%であるが、外資企業の税制優遇が内資企業より多いため、実際の税負担では外資企業の方が内資企業より低い。長期にこのような構造が実行されるのは国際慣例にも符合せず、わが国の経済発展にも一定の悪影響を及ぼすので、統一・規範化が必要である。

b 現在国家税務総局は、国内発展と対外開放の要請に基づき、各方面から広範に意見を徴求し、関係部門と共同で内資・外資企業所得税の合併改革について積極的な検討・論証を進めているところである。

c 企業所得税改革の基本的な考え方は、現行の内資・外資に分かれた2本の所得税法を統一した企業所得税法とし、内資・外資企業に統一的に適用される規範化され透明な企業所得税制度を確立することである。これにより、各種企業にとって平等な税制環境が創造され、外資利用の水準が向上し、国民経済構造が高度化し、産業のグレード・アップと技術進歩が推進され、国民経済の持続的で安定し健全な調和のとれた発展が促進されることになる。内資・外資企業所得税の合併改革のプロセスについては、法に定められた順序に基づき進行する。

(5) 増値税の転換改革について(王力副局長)

 a 2004年下半期以来、国家は東北地方の一部業種において増値税転換改革のテストを率先して開始した。企業は同年7月1日以降、購入した機械設備に係る増値税を控除できることになった。東北地方の3省1市は既に4万件余りの企業が増値税控除の政策の範疇にあり、税控除の累計は40億元余りとなっている。

 b 現在、全国範囲において推進する方案を検討している。

(6) 2005年の税務調査状況(崔俊慧副局長)

  A 2005年の追徴は360億元余りである。企業に対しては、48万5500社に調査を行い、245億元を追徴した。

 B 特定業種への調査は、鉄鋼・セメント・石炭・オートバイ・廃棄物回収・農業副産品購入・不動産の7業種について、22万2200社に調査を行い、100億元余り追徴した。

 C 納税秩序の比較的混乱している地区については、広東の茂名、河北の邢台等十数の地区について処置を行った。

 D 現在の脱税事案の特徴は以下の諸点である。

 a 大事案が時に発生している。

 b 案件が多発し、納税秩序の混乱している地区が依然存在している。

 c 脱税行為が西部に蔓延する傾向がある。

 d 虚偽申告・虚偽の領収証発行・虚偽の費用計上・帳簿改竄が脱税の主要手段である。

(7) 2006年の税務調査(崔俊慧副局長)

 a 調査の重点は、不動産業・建設業、娯楽業、金融保険業、郵便電信通信業、石炭生産・輸送販売業、廃棄物処理企業、渉外企業、さらにいくつかの職業の個人所得税の納税者である。

 b 一部の納税秩序の比較的混乱した地区について、引き続き組織的に集中して処置を行う。

(つづく)

(2006年2月記・5,151字)

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