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財政部記者会見

中国ビジネスレポート 政治・政策
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田中 修

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2025年9月17日

はじめに

財政部は7月25日、1-6月の財政政策執行・財政統計データについて、記者会見を開催した。以下は、その概要である。なお、重要なフレーズはゴシックで示している。

1.より積極的な財政政策の執行状況(李大偉予算司一級巡視員)

中央経済工作会議の手配に基づき、財政部はより積極的な財政政策を断固実施し、消費の喚起、雇用・経済の安定等の重点分野をめぐり、財政政策の供給と資金交付の管理を強化し、できるだけ早い政策効果の発揮を確保し、経済社会の発展のために有力なサポートを提供した。より積極的な財政政策を、主として5方面で体現している。

(1)予算下達の加速の面で工夫を凝らした

予算法の要求を厳格に実施し、14期全人代第3回会議が批准した2025年度予算に基づき、速やかに予算下達作業をしっかり実施した。

3月末前に中央部門予算の下達を完成し、規定期限内に関係移転支出予算を下達し、資金のできるだけ早い交付の達成と効果の発揮を確保した。

今年1-6月、中央の地方への移転支出は既に9.29兆元(年初予算の89.8%)を下達し、下達の進度は前年同期に比べ1.7ポイント高まった。

(2)債券資金の面で実効を上げた

今年1-6月、全国で新規に地方政府一般債・特別債2.6兆元を発行し、地方の重点分野・重大プロジェクトの建設を支援した。

超長期特別国債資金予算6583億元を下達し、「国家重大戦略の実施と重点分野の安全能力」プロジェクトの建設と「大規模な設備更新・消費財買換え」政策を有力に支援した。

特別国債5000億元を発行し、4行の国有大型銀行のコア一級資本の補充作業を完成し、実体経済への銀行のサービス能力を高めた。

(3)基本民生の保障の面で力を入れた

基本年金保障水準の引上げを支援し、関連補助金を下達し、年金の期限通り全額支給を確保した。

基本公共衛生サービス経費、都市・農村住民医療保険財政補助基準を引き続き引き上げた。

教育資源の拡大・最適化・質の向上を推進し、国家奨学金の基準引上げ・範囲拡大を支援した。

育児補助・就学前の教育無償化の段階的推進等の政策を確立した。

自然災害救助資金の事前交付を加速し、地方のチベット定日地震・四川筠連山の山崩れ・貴州の畢節山の山崩れ等の重大自然災害への対応を有力に支援した。

(4)消費喚起行動の面で新たな施策を打ち出した

超長期特別国債資金1620億元を2回に分けて事前交付し、消費財の買換えに用い、補助範囲を一層拡大して、庶民の消費コストを引き下げた。

雇用優先政策を実施し、中度以上の能力喪失高齢者に対し高齢者サポート消費補助金を交付し、消費能力と消費意欲を増強した。

地方による消費の新業態・新たなモデル・新たなシーンの普及を支援し、より多くの消費のホットスポットを作り上げた。

(5)地方の財政力保障の面で強度を増した

均衡性移転支出2.73兆元(前年比7.5%増)を下達し、地方の財政力支援を増やした。

地方が隠れ債務の置換え作業をしっかり実施するよう指導・督促し、地方の元本償還・利払い圧力を大幅に軽減し、より多くの資金を捻出して民生保障・発展促進に用いた。

今後、財政部は引き続きより積極的な財政政策をしっかり実施し、予算執行の進度を加速し、資金の使用効果を高め、経済の持続的な回復上昇・好転を推進する。

2.民生分野の保障(葛志呉社会保障司副司長)

中国式現代化は民生を重視している。財政部門は、党中央・国務院の政策決定・手配を断固貫徹実施し、常に人民を中心とする発展理念を堅持し、社会保障を財政支出の優先分野として、不断に投入を強化している。

今年に入り、財政部門は主として以下の政策を実施している。

(1)雇用優先戦略を実施した

失業保険・労災保険の保険料率引下げを延長し、雇用安定のための失業保険料還付を強化し、社会保険補助・1回限りの雇用拡大補助の範囲を拡大し、就労実習補助の事前交付等の政策を引き続き実施し、企業の雇用安定を誘導し、大学卒業生等の雇用を吸収した。

障害者、就労ゼロ家庭の構成員等の就労が困難な人々の雇用支援を強化した。

資金・資源を統一的に企画し、大規模な職業技能向上訓練の展開を支援し、非常に欠乏している技能人材をより多く育成した。

今年、中央財政は雇用補助金667.4億元を既に下達した。

(2)基本年金保険の待遇を高めた

全国で総体として2%の割合で、退職者の基本年金を引き上げ、国家財政が引き受ける都市・農村住民全国基礎年金の月最低基準を20元引き上げ、中央財政の資金補助を強化し、年金保険の全国統一調整を展開して、3億人を超える高齢者の基本年金の期限通り全額支給を確保した。

(3)医療保障のサービス水準を高めた

基本公共衛生サービス経費1人当たり財政補助基準を再度5元引き上げ、1人当たり毎年99元とし、国家の免疫計画、重大感染症防止・コントロール等の重大公共衛生サービスを強化し、公共衛生サービス水準を高めた。

都市・農村住民医療保険1人当たり財政補助基準を再度30元増やし、1人当たり毎年700元とし、同時に、医療救済を強化し、困難大衆の住民医療保険への加入を資金援助し、困難大衆の医療費負担を軽減した。

今年、中央財政は既に関連補助金5522億元を下達している。

(4)「高齢者・子ども」サポート体系を整備した

在宅・コミュニティ基本高齢者介護サービス向上行動を実施し、土地の事情に応じて高齢者食事援助サービスを支援し、中度以上の能力喪失高齢者に対し高齢者サポート消費補助プロジェクトの試行を展開し、能力喪失高齢者ケアの支出圧力を軽減し、高齢者介護サービスの質の高い発展を推進した。

育児補助制度を確立し、包摂的託児保育サービス体系の建設を強化し、家庭の出産・子育てのコストを有効に引き下げ、出産・子育てにフレンドリーな社会の建設を後押しした。

(5)困窮大衆の生活保障の最低ラインをしっかり確保した

今年、中央財政は既に困難大衆救済補助金1566.8億元を下達し、地方が最低保障、特別困窮者の救済・ケア、臨時救済等の政策をしっかり実施することを支援し、困窮大衆の基本生活を確実に保障した。

このほか、財政部は関係部門と連携して救済政策を整備し、救済基準を科学的・合理的に制定・調整し、救済方式を豊富にし、救済水準を高めた。

今後、財政部門は党中央の政策決定・手配に基づき、庶民の急迫・困難・憂い・期待に狙いを定め、投入を引き続き強化し、財政資金計上の「民生含有量」を一層高め、人民生活の「セーフティーネット」を綿密にしっかり編み上げ、人民大衆の獲得感・幸福感・安全感を不断に高める。

3.消費の喚起(呉蓋経済建設司副司長)

消費財の買換えは、今年の消費喚起の重要措置である。財政部は党中央・国務院の政策決定・手配を積極的に貫徹実施し、国家発展・改革委員会と共に、3000億元の超長期特別国債資金を計上し消費財買換えを支援しており、引き続き消費の潜在能力を引き出し、関連産業の早急な転換・高度化を推進する。

(1)資金の下達を確実にしっかり行う

今年1-4月、財政部は既に2回に分けて超長期特別国債資金を累計1620億元事前交付した。近々、財政部は国家発展・改革委員会と連携して各地方の2025年資金規模を推計・確定し、3回目の超長期特別国債資金690億元を下達し、残りの資金は10月に下達して、各地方が消費財買換え政策をしっかり実施するよう支援する。

(2)資金の政策効果を高める

財政部門は関係部門と共に、参加のハードルの最適化・補助手続の簡素化・市場秩序の規範化を通じて、消費者の利益をよりよく保障する。

各地方が資金の統一的企画を強化し、省内の各地域の資金額を動態的に調整し、同時に実際と結びつけて一部資金を相応の支払決済プラットフォームあるいは経営主体に事前交付し、資金配分の効率を高め、企業の資金立替え圧力を引き下げるよう指導する。

(3)資金の監督管理を強化する

消費財の買換え資金は投入が大きく、関係する分野が多いので、資金の監督管理を不断に強化し、資金の安全を保障する必要がある。

これについて、財政部は国家発展・改革委員会等の部門と連携して、定期調整メカニズムを確立し、政策実施の進展を密接にフォローし、各地方の資金管理の主体的責任を徹底させ、資金の分配・現金化・使用等の情況についてサンプル検査を強化し、資金の横領・流用、虚偽の補助・不正な補助を厳格に防止する。

1-6月、消費財買換え政策は積極的成果を収め、自動車・家電・家の内装・スマホ等商品販売額は1.6兆元であり、限度額以上の家電・音響機器の小売額は前年同期比30.7%増、文化・事務用品は25.4%増、通信器材は24.1%増、家具商品は22.9%増であり、社会消費品小売総額の5%増(2024年より1.5ポイント高い)をもたらしている。

今後財政部は「消費喚起特別アクションプラン」の手配に基づき、消費を喚起する新規政策措置を早急に打ち出し、地方が消費環境を高め、消費供給を最適化するよう誘導する。

一方で、一部の人口のベースが大きく、牽引作用が強く、発展の潜在力が良好な重点都市が消費の新業態・新たなモデル・新たなシーンを普及させることを支援し、より多くのホットスポットを作り上げる。

他方で、わが国の国際消費中心都市と一部の重点消費都市が、国際化した消費都市の建設を展開し、消費の便利さと体験感を高めることを支援する。

4.隠れ債務の置換え(李大偉予算司一級巡視員)

2024年11月、党中央の政策決定・手配に基づき、地方政府の債務リスク解消を確実に支援するため、法定手続を経て、2024-26年、毎年2兆元の地方政府債務限度額を計上し、地方既存隠れ債務の置換えに用いることになった。

2024年の2兆元の置換債券は既に当該年度に発行を終え、24年1-6月に全部使用を終えた。2025年の2兆元の置換債券は6月末までに既に1.8兆元発行し(年額の90%)、既に1.44兆元を使用した。

置換政策の速やかな実施と成果を確保するため、財政部は地方が隠れ債務の置換管理を強化するよう指導・督促した。

①各地方が市場金利水準と結びつけて、債務の期間構造等の債券発行計画を制定し、発行のテンポを合理的に案配し、債券発行と実際の置換えとの時間差を短縮し、利子コストを最大程度引き下げるよう指導した。

②地方が隠れ債務の置換プロセスにおける整理・確認、統計の変動、資産管理等の作業をしっかり実施し、情報化手段に依拠して全プロセスの「クローズドループ」管理を強化し、完全・全面的で、実態が明確・詳細で、データが正確な置換台帳を作成するよう指導した。

③置換債券資金の監督管理を強化し、既存隠れ債務の置換えに規範的に用いることを確保し、横領・流用等の情況を断固防止し、規定に違反する問題を1件発見するたびに調査・処分、問責を行った。

総体として見ると、置換政策実施の効果は既に着実に現れている。

①当該期間の流動性圧力を軽減した

低い利子の地方政府債券の発行・使用を通じて、利子が高く、期間が短く、リスクが大きい隠れ債務を優先的に置き換え、債務利子支出と期限到来債務の償還・接続圧力を極度に引き下げた。

②経済発展の原動力を引き出した

置換政策実施後、地方が自ら解消する必要のある隠れ債務の規模が大幅に減少し、大量の資金・資源と時間・精力が引き出され、地方が「基本民生・給与・運営保障」の最低ラインの確保と経済建設加速に専念することに助力し、地域の発展のために新原動力を注入した。

③融資プラットフォームの改革・転換を推進した

融資プラットフォームが引き受けた隠れ債務の置換え加速を通じて、融資プラットフォームの数の大幅圧縮を実現し、「実体のある」融資プラットフォームの改革・転換後の「軽装出陣」を有効に支援し、国有経済配置の最適化と構造調整に助力した。

今後財政部は、包括的置換政策を含む一連の新規債務解消支援政策の実施に引き続きしっかり取り組み、新規債務解消支援政策の効果を十分引き出し、わが国の経済の長期安定を促進するために有力なサポートを提供する。

5.地方政府特別債券の管理(李大偉予算司一級巡視員)

地方政府特別債完治メカニズムの整備最適化意見を発して以来、財政部は関係部門と共に、地方が特別債管理制度を不断に整備し、「借入・使用・管理・償還」の全プロセスを引き続き最適化し、特別債の基盤強化・不足補充・民生優遇・投資拡大の積極的役割をよりよく発揮するよう指導してきた。政策効果は、主として以下の3方面に体現されている。

(1)特別債の発行・使用の進度が顕著に加速した

国務院弁公庁は文件を発表して、次のことを明確にした。

①10省及び雄安新区において特別債プロジェクトの「自己審査・自己発行」試行を展開し、プロジェクトは省レベル政府の審査・認可後、省レベル財政部門が組織的に発行することを認める。

②非「自己審査・自己発行」試行地域については、建設中のプロジェクトの特別債発行「優先ルート」を設け、地方により多くの柔軟性・自主権を賦与し、特別債資金の発行・使用効率を高めた。

今年1-6月、全国で新規地方政府特別債は2.16兆元発行され、前年同期比45%増となった。

(2)特別債の投資先を一層拡大した

投資先を「ポジティブリスト」管理から「ネガティブリスト」管理に転換し、無収益のプロジェクト、事務棟・公会堂・記念館・招待所、イメージ作りプロジェクト、政治業績作りプロジェクト、不動産等のプロジェクト、一般競争的産業プロジェクト、法に基づき用いることができない経常的支出を除き、条件に合致するプロジェクトは全て特別債資金の支援申請を認める。

同時に、特別債を土地備蓄、都市政府が分譲住宅在庫を購入して(中低所得者向け)保障性住宅として用いることへの支援に用い、不動産市場の平穏で健全な発展を促進することを政策的に認める。

特別債をプロジェクト資本金として用いる範囲を、これまでの17業種から22業種に拡大し、今年1-6月、各地方が発行した特別債を、1917億元(前年同期比16%増)資本金として用いた。

(3)特別債管理メカニズムを一層整備した

非「自己審査・自己発行」試行地域に対して、財政部は国家発展・改革委員会と共同で、「申請の常態化、四半期毎の審査・認可」というプロジェクトの申請・審査・認可メカニズムを確立し、各地方は財政部、国家発展・改革委員会の両部門の情報システムに委託して、常態的にプロジェクトを報告申請し、両部門は1年中各地方に情報システムを開放することとして、プロジェクトの申請・審査・認可を一層最適化した。

特別債資金の使用監督を強化し、地方が専門口座で管理し、専門勘定で使用し、横領・留保・流用を厳格に防止することの実行を後押しした。

地方政府が、特別債プロジェクトの資産管理と元本償還・利払い資金の管理等の事務をしっかり行うよう指導した。

今後、財政部は関係部門と共に、政策実施のフォローアップ・評価をしっかり実施し、特別債管理メカニズムを不断に最適化・整備し、政策効果を一層高める。

(8月5日記)

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