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広東省(大湾区)における15%個人所得税率の適用に伴う手続

中国ビジネスレポート 税務・会計
水野コンサルタンシーグループ

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2020年3月16日

広東・香港・マカオビッグベイエリア構想の一環として、広東省の大湾区9都市(広州市、深セン市、珠海市、仏山市、 恵州市、東莞市、中山市、江門市、肇慶市)において、特定の高級人材については、15%の個人所得税率が適用されています。
これは、香港・マカオ人材だけでなく、外国人の場合も適用可能で、これにより税コストを大きく減少させることができます。
外国人が優遇措置適用を受ける場合、代表的な方法は、就業許可A類を取得する事であり、これにより、既に取得したB類を、A類に変更する実例が増えています。
ここでは、大湾区の個人所得税優遇措置の概要と、就業許可B類からA類への変更手続に付いて解説します。

※本件に関するコンサルティングのお申し込み、就業許可取得・変更手続の代行手続きにつきましては、弊社グループ(info@mizuno-ch.com)までお問い合わせください。

1.大湾区の個人所得税優遇政策の内容

(1)関連政策
個人所得税優遇措置の根拠法は、以下の通りです。
● 粤港澳大湾区個人所得税優遇政策に関する通知(財税[2019]31号)
● 粤港澳大湾区個人所得税優遇政策を貫徹することに関する通知(粤財税[2019]2号)

尚、広州市では、財政局・科学技術局・人力資源社会保障局・広州市税務局の粤港澳大湾区個人所得税優遇政策財政補助管理暫定弁法に関する広州市の通知(穂財規字[2019]5号)を、細則として公布しています。大湾区で、細則が公布されていない地域は、この通達の規定が参考になります。

(2)優遇内容
【個人所得税に関する補助金支給額】
直接税率を低減するのではなく、納付済みの個人所得税が、課税所得額の15%を超過した部分に付き、補助金を還元する(補助金は非課税)ことで、実質15%の税率とする方法が採用されます。補助金は、年1回支給されます。

【申請期限】
2019年度分は、2020年7月1日~8月15日の期間中受理されます。
尚、財税[2019]31号では、助成期間は2019年1月1日~2023年12月31日と規定されていますが、2019年の状況を踏まえて、その後の対応は検討される事となっています。

2.就業許可ランクの実務とA類の条件

現在の就業許可管理制度は、2017年4月1日に施行された、「外国人来華就業許可制度試行実施方案(外専発[2016]151号)」に基づきます。
この制度は、開始早々こそ混乱が有りましたが、実際には「大卒以上、就業経験2年以上、60才以下」の3条件を全てクリアすれば、B類として就業許可が取得できます(特段の審査不要のため)。よって、3条件をクリアするア倍は、B類として申請し、その条件を満たさない場合に、年齢などの制限を受けないA類を申請するのが実務状況です。
但し、大湾区地域の場合、A類となる事で15%の優遇税率が享受できますので、若干の手間がかかっても、A類申請(場合によっては、一度、取得したB類をA類に変更)する意義は有ります。

A類の条件は、以下の通りですが、その中で、一番使用されるのは、「平均給与(課税対象所得)が、居住地の前年度平均給与の6倍以上」というものです。
例えば、広州市・深セン市の2018年平均給与は、9,157元、9,192元ですので(2019年7月1日~2020年6月30日までに適用する)、広州市の場合は、54,942元、深セン市の場合は55,152元以上の給与であれば、A類が取得できます。

【A類申請条件(以下の、何れかに該当する場合)】
1) 国内人材導入計画に選ばれた場合
2) 国際的に認められた専門成果認定基準を満たす場合
3) 奨励類職業に合致する場合
a.世界500企業の地方本部、大型企業、認定を受けた技術研究センターの高級管理・技術職員
b.国内外中型企業が雇用する高級管理・技術職員、若しくは、外商投資目録奨励類・中西部外商投資優勢目録に該当する小型外商企業が雇用する董事長、法定代表人、総経理、首席技術専門家
c.高収入人材(居住地域の前年度平均給与の6倍以上)
4) 創新創業人材
5) 優秀青年人材
6) 85ポイント以上の人材

3.就業許可B類からA類へのランク変更手続き

就業許可ランク変更には、(1)就業許可期限満了時点での更新と、(2)就業許可期限中の変更が有りますが、各々の手続きは、以下の通りです。

(1)就業許可期限満了時点での更新
【申請時期】
就業許可を更新(延期)する場合、期限満了の3ヶ月前~30日前までに申請する事はできる
【必要資料】
a.就業許可更新申請表
b.分類変更事由説明書
c.分類変更事由証明書類
  ・本人最近12ヶ月の個人所得税納税証明
  ・最近12ヶ月の企業所得税納税証明
  ・給与調整協議書
  ・A類条件を満たす発明証など
d.所持居留許可
e.その他更新に必要な書類
【所要日数】10~15営業日
【許可の有効期間】申請後の所持就業許可(A類)に準じる

(2)就業許可期限中の変更
【申請時期】就業許可期限満了日の3ヶ月超前の期間に、途中申請を申請。
【所要資料】
a.就業許可変更申請表
b.分類変更事由説明書
c.変更事由証明書類
  ・本人の個人所得税納税証明
  ・最近12ヶ月の企業所得税納税証明
  ・給与調整協議書
  ・A類条件に関する証明書類など
d.所持居留許可
【所要日数】10~15営業日
【許可の有効期間】申請前の所持就業許可(B類)に準じる

以上

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