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預金準備率の引上げ

中国ビジネスレポート 金融・貿易
田中 修

田中 修

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2011年4月22日

記事概要

本稿では、預金準備率の引上げと人民銀行周小川行長の発言を紹介する。【2,056字】

 本稿では、人民銀行の預金準備率の引上げと関連する周小川行長の発言を紹介する。

1.預金準備率の引上げ
 人民銀行は、4月21日から預金準備率を0.5ポイント引き上げた。これにより、大手金融機関の預金準備率は20.5%となり、3600億元余りの資金が凍結されることになる(人民日報2011年4月18日)。
 今回の引上げの背景としては流動性が依然過剰なことがある。具体的には、次の点が指摘できよう(新華網北京電2011年4月17日)。
①3月の新規貸出増が6794億元となり、2月の5356億元から再び増加に転じた。
②3月末のM2の伸びが16.6%と、年間目標の16%を上回った。
③4月に公開市場操作の満期到来が9110億元に達する。
④3月の銀行の外貨交換による人民元放出が4079億元となり、1-3月期では1.1兆元に達した。このなかには、ホットマネーも含まれる。人民大学経済学院の劉元春副院長は、説明のつかない外貨準備の増が1300億ドル前後に達すると試算している。

2.周小川行長の発言(4月16日)
 ボアオ会議に参加した人民銀行周小川行長は、次のように記者団に発言している(中国証券報2011年4月18日)。
(1)CPI
 現在、消費者物価の上昇率は、政府活動報告が提起したコントロール目標を上回っており、多くの方式を採用してその(上昇率が)かなり高い問題を克服しなければならない。インフレを高めるマネー要因を必ず除去しなければならず、これが金融政策が適度に引き締め気味となっている重要原因である。この趨勢は一定期間継続される。
 3月のインフレ率が0.2%低下したのは、3月の物価が2月に比べすでに低下していることを示すものである。前年同期比上昇率が高いのは、昨年のベースが低いことによるものである。このほか、毎年春節後の月は物価が低くなり、前月比も低下し、夏を越えると下半期の物価は前月比で上昇する傾向がある。今年3月の物価の下降程度は例年の平均より少なく、このため前年同期比も高くなった。
(2)金利政策
 金利政策は、いい点のみで悪い点がないというわけではない。世界の流動性があり余っている環境下、もし金利手段の使用が多すぎ、あるいは過度に引き上げれば、ホットマネー・資本の流入がかなり大きくなる可能性がある。中国は非常に大きな経済国であり、ホットマネーの衝撃を受け止めることはできるが、資金流入量が大きいと一定のマイナス効果がある。総体として、現在の国内のインフレの主要な影響要因は、なお国内総需要と総供給の間の関係である。
(3)預金準備率
 預金準備率の調整には絶対的な限界は存在しない。条件に変化が発生すれば、調整の余地・程度にも変化が発生する。国際経験からすれば、明確な尺度はない。わが国の国情からすれば、預金準備率の使用程度は、2つの方面から決まる。
①多年に及ぶ国際収支黒字要因、及び金融危機の間に拡張的財政政策と金融政策を使用したため、現在預金準備率を使用して流動性を回収する必要がある。
②その使用程度は、準備金に利息がつくかどうかで決まる。多くの国家は預金準備金に利息を付けていないが、わが国は利息がつくため、影響の効果は同じではない。
(4)為替レート
 為替レートはインフレ対抗手段として、すでに実際に使用されており、人民元レートは切り上げられている。これがいかにインフレ対抗効果があるかを推し量るのは、往々にして困難である。
 わが国は、為替レートの柔軟性を更に増強すると強調している。現実には、一面で国際収支のバランスを考慮し、他方で企業の適応能力も考慮しなければならない。総体としては、柔軟性を増強し、市場需給を尊重し、通貨バスケットを参考に調節を進めなければならない。
(5)1-3月期の貿易赤字
 正常な状況下で黒字が減少するのは、我々としても楽観して見られる。しかし、今年初めに出現した貿易黒字の主要原因は、国際大口商品価格の上昇が生み出したものであり、これは我々が楽観できるものではない。もし、正常な状況下でわが国の黒字が減少し、国際収支が更にバランスするなら、それは好い事である。
(6)金利の市場化
 今年、金利の市場化を徐々に推進するが、銀行利潤構成に重大な影響を与えることはない。銀行利潤への影響が最も大きいのは、やはり内外経済環境、経済のサイクル、資産の質である。金利の市場化は、銀行の利潤にいくらか影響を与えるが、推進に際しては市場の要求と各方面の受容能力を総体として考慮することになる。
(7)公開市場操作において、1年物中央銀行手形金利が継続して1年物定期預金金利を上回っていることに何らかの意図があるのか、と問われ
 公開市場操作は、時には数量の要求が主導し、時には価格の要求が主導する。この2つは相互補完関係にある。公開市場で資金量を吸収する要求があるときは、価格は数量に服従する。意図がインターバンク市場の金利水準の安定にあるときは、公開市場操作は価格に服従する。金利は当分しばらく数量操作の目標に服従することになり、金利そのものへの反映には何の意図も見られない。

(4月21日記2,056字)

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