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2011年度における中国租税回避政策の成果と本年度の現状

中国ビジネスレポート 税務・会計
傅 嘉欣

傅 嘉欣

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2012年8月16日

最近の中国税務の傾向として、税務調査により更正通知を受けることよりも自主的な調整・修正勧告を受ける企業が多くなっています。税務調査に対応するには十分な時間と事務コストを必要とするために、数十万元から数百万元程度の納税を行うことで消耗戦を避けることは経済合理性を追求する企業としては否めない選択なのでしょう。まさに中国税務当局が2011年より打ち出している「管理/サービス/調査」を一体化させた租税回避防止体系に基づく「管理」手法が実践されている表れです。

ここでいう「サービス」とは、2008年に税務総局に設置された「大企業管理司」の管轄する重点企業への「管理」と「調査」のための窓口と考えてよいでしょう。調査コストを抑えながらどのように税収を増やしておくか、は中国税務当局が今後真剣に取組むべき課題であるといえます。
2011年度における中国での修正・更正追徴税額は239億元となっており、「管理」、「サービス」、「調査」でそれぞれ208億元(87%)、7億元(3%)と24億元(10%)とが達成されたと報道されています。税額の多寡、すなわち当局による調査の厳しさでは、江蘇省、北京市、上海市がトップ3を占めています。

調査対象重点業種

特定業種における事業の特殊性や利益配分の特性から、当局は、業界の標準とすべき利益水準及び利益獲得モデルを設定し、これを同じ業界に属する企業の税務調査に適用するという調査手法は調査コストの低減を図る目的には合致することでしょう。2011年においては、百貨店・小売、自動車及び自動車部品、貨物代理、コンピューター製造受託、不動産、製薬の各業種を重点調査対象として選び、248件の起案のうち207件が年内に審査され、平均1180万元/件の更正額を達成しています。
本年も引き続き、自動車、貨物代理、小売業に対象を絞って調査が継続されているようですので、これらの業種に所属する企業は常に当局及び周辺企業の動向に関心を寄せ、慎重に臨みましょう。

注目取引

2008年より実施された関連取引申告・移転価格同期資料作成制度は上述した「管理」の基礎といえます。江蘇省、広東省、福建省を始め中国全土で関連取引申告資料を基にした705件の移転価格プライシングポリシー又はタックスプランニングの改善が「管理」され、平均2950万元/社(更正案件の2.5倍)の修正申告が求められることとなりました。関連取引申告資料への審査は今年度も一層厳しくなることが予想され、同期資料の作成は税務リスク管理の重要な役割を担っています。
昨年度は、共同開発におけるコストシェアリング、過小資本税制、ロケーションセービング及びマーケットプレミアムといった、これまであまり議論されてこなかった移転価格のトピックスにおいて、事例が出てきています。今年度の税務調査では、タックスヘイブン対策税制を含む課税範囲の拡大が予想されます。

中国帰属利益の多様化

利益を生み出す源となる、無形資産に関わる移転価格問題は従来から引き続き当局が注目しているトピックスではありますが、定量化の難しさと先例の乏しさにより、実際の調査事案として結実することはありませんでした。しかしながら、近年の中国における産業政策の調整に伴い、移転価格調整/管理は単なる加工製造業の最低利益を確保するという水準から、営業網の構築、すなわち中国に置けるマーケティング無形資産の形成とマーケットプレミアムの中国への帰属を強く意識しており、更には低製造コストが生み出すロケーションセービングによる利益の自国への帰属、企業再編に伴う持分譲渡益課税の強化に重点を移しています。

これらは、昨年における相互協議事案としても取り上げられています。持分譲渡益課税では、大連国税局の結審した「ディスカウントキャッシュフロー(DCF)法」による譲渡益の認定・更正事案があり、これまでで最大となる3億元規模の譲渡益課税案件も昨年結実しました。また、これらの事案からDCF法適用に関する実務指針と標準化モデルが形成され、当該指針・モデルに基づく持分譲渡取引への課税調査が全国的に厳しさを増しています。持分買収・増資などの事業計画や組織再編プランのある企業は、特に「外?外」取引であっても譲渡対象となる法人が中国に所在していれば、当該対象法人に源泉徴収義務があることから、課税当局にも説明可能な企業価値評価を行い、規定に基づく申告・納税が求められます。

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