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ログイン2009年12月1日
最近でも、松坂牛、美濃焼など日本の特産品や伝統工芸、さらに宮城など日本の地名にいたるまで中国で突発的に商標登録されてしまう事態が多発し、問題の深刻さがあらわになっている。知的財産権をめぐる両国間の争いは、残念ながら今後も続いていきそうなのが現状である。【1,351字】
中国に進出している外国企業が必ずといっていいほど直面する問題は、主に次の2点であろう。1点目は、売掛債権回収問題であり、2点目は、知的財産権(コピー商品)問題である。後を絶たないコピー商品の横行に四苦八苦する多くの日系企業も、その対策に苦慮している。日本特許庁が日本企業を対象として最近行った調査によると、2007年度において模倣品被害に遭った企業は24%に上ったが、このうち、中国関連の被害が71%を占めており、中国の模倣品が際立って多いとの結果が改めて示された。
最近でも、松坂牛、美濃焼など日本の特産品や伝統工芸、さらに宮城など日本の地名にいたるまで中国で突発的に商標登録されてしまう事態が多発し、問題の深刻さがあらわになっている。知的財産権をめぐる両国間の争いは、残念ながら今後も続いていきそうなのが現状である。
弊所は、これまで中国企業を相手取って訴訟を提起する幾多の事件に従事させていただいたが、そのうち特に印象深いものの1つが株式会社良品計画様からのご依頼に関するもので、これは、90年代中ごろに香港企業によって「抜駆け登録」された「無印良品」、「MUJI」の商標を、登録取消審判、行政訴訟を通じてようやく取り戻したという事件である。
このように中国では、国際問題となるまでに知的財産権侵害が横行しているが、その理由は何だろうか。確かに、よくいわれるように、中国における知的財産権に対する認知度の低さという点も挙げられるだろうが、より本質的な問題は、「先富論」(可能な者から先に裕福になれ)という政策に求められるかと思われる。すなわち、これを自己に都合よく解釈した多くの企業が、最短時間・最小投資で最大限の利益を上げようと考え、多くの資金と時間を要する研究開発を避けて、安易に模倣品の生産に踏み込んでしまう、という図式である。しかしながら、これでは中国の技術開発力はいつまでも向上することがなく、中国企業はかえって自らの発展を阻害しているといえるだろう。
このような状況を打開するため、中国政府は、「創新(イノベーション)型国家の構築」というスローガンを掲げ、知的財産関連法令の整備、知的財産権保護の強化、研究開発・実用化の促進など、関連する諸政策を打ち出し、着々と推進している。
また、中国民営企業の中にも、世界に先駆ける技術こそが企業の生命線と考えるものが増えている。例えば、通信機器の大手である華為技術という会社は、昨年2008年、特許協力条約(PCT)に基づく国際特許出願件数が初めて1位となった。これは、パナソニック、トヨタを上回る数である。
我々弁護士も、微力ながらこれらの進歩の一役を担っているものと自負している。先述のように、我々は、外国企業の代理人として法廷に立つ機会が多いのだが、相手方の中国企業から、その活路を絶つ悪人と言われることもしばしばである。しかし、我々に後ろめたさは微塵もない。なぜなら、我々は、知的財産権を尊重する意識を中国に植え付け、中国企業を正しい道へと、そしてさらなる発展へと導くという重要な任務を負っているからである。このように申し上げると、いささか大げさに聞こえるかもしれないが、この任務を達成するため、今後も引き続き努力していく所存である。
(2009年12月1,351字)
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