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中国からの現場報告とアドバイス(2)中国式企業風土の改善

中国ビジネスレポート 投資環境
筧 武雄

筧 武雄

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2006年10月13日

<投資環境>

 

中国ビジネス現場報告とアドバイス(2)
 

 

中国式企業風土の改善

チャイナ・インフォメーション21

筧武雄

 

 現場の実態を知り、アドバイスに耳を傾けることは何よりも貴重な参考となる。今回もベテラン日本人管理者の体験談を紹介する。

 

1.企業は人なり

 

会社の制度を作るのも、それを運用するのも人であり、しかもそれを中国社会の中で運用することになる。成功経営のキーポイントは中国の人材をどれだけ最大限活用できるかにあるが、これが相当に難問である。

ワーカーの採用そのものは、現在でもさほど大きな問題ではなく、各地政府も「電力、労働力、物流」に対しては強い関心を持ってくれている。問題は、経営のフィロソフィーを理解し、経営の意思決定を日々の業務で周知徹底し、実現させることのできる中国人の管理職幹部人材のレベルと、その層の厚みの問題である。優秀な人材はたしかにいるが、きわめて少数である。

また、中国人の工場ワーカーは「量」においては大きな問題はないものの、モラルレベル、意識レベルといった「質」の面で日本とは非常に異なる、まさに「異文化経営」である。

以下、自分の経験から中国の企業経営風土と人材、労務管理問題について具体例を交えながらまとめてみたい。

 

    文化大革命で長年にわたり良質な高等教育が空白。国営企業の体験は人材を育てていない。国営企業のトップも文革以後世代の4344歳が先陣を切っている。

    日本人を実証的とするなら、中国人は観念的であることが特徴。不良の解析、追及は徹底を欠き、ものづくりの仕方は、「不良が発生することを前提」として管理、対応するため、品質レベルは一定の程度以上には向上し難い。

    彼らは「不良は出て当然、不良をなくそうと努力することのほうが無駄なコストと労力」という発想をしがちである。ここで完璧を目指そうとすると、まさに彼らとの「文化闘争」になる。

    日本人であれば、まず不良解析を徹底し、根本対策を検討し、再発生を防止して品質を作りこもうとすることと対照的である。

    たとえば、成型機のオイル漏れ対策、あるいは塗装工程における塵芥対策、再生材料に混入する不純物対策などについて、最初から「不良が多少出るのは当然」とみなして根本対策を立てようとしない。

    プラスチック成型を例に取れば、日本で0.5〜1名/台、中国で3〜4名/台となり、なおかつ材料費、人件費が金型の精度の悪さのために費やされてしまうため、なかなか生産性を上げられない。日本であれば、まず金型を対策し、二次加工の無駄のないものを目指すはずである。

    出張報告書を義務付けても、内容はほとんどが項目だけで結論のみが記され、そこに至るプロセス、あるいは議論の主要な論点、課題などが記載されない。

    彼らに組織を作らせると、自分をトップにして形式的に細分化し、機動力のない小ピラミッド組織を多数つくり出してしまうことが高く、相互協力が出来難い。

    業務指示を出すと、自分で確認をせずに「予想では○○」、「そうある筈(べき)だ」というような、自分にとって都合のよい思い込みをベースとした、観念的な回答ばかりをしてくる。それを指摘しても言い訳ばかりを多発する。

    頭の良い人ほど「上に政策あれば、下に対策あり」の真骨頂で、観念的思い込みにもとづいて企業を経営しようとする。事前調査も不要で楽であるが、成功率は低く、その結果の実証的な検証も熱心ではなく、結果は「運が悪い」とか、自分以外に失敗の原因(言い訳)を探すことで終わる。

    製造ラインにマニュアルがあっても、作業は自己判断で自分の都合の良いようにやる傾向が強い。不良発生後に、原因を確認すると「これでよいと思った」等々自己弁護の言い訳が延々と続く。

    要は、観念的でばらばらに動きやすい人たちであり、組織を細部化しがちである。これが行き過ぎると、人材の活用、機動力が失われる。中国社会は、それぞれがそれぞれの単位で自己をトップとするピラミットを造り、その権威に箔をつけて、その範囲内で勝手にやる傾向がある。

    かかる組織だから、「報告、連絡、相談」がほとんどない。但し、自分の査定に関係する場合だけは、毀誉褒貶的な報告がなされていると考えてよい。

    「報連相」がなく、他人への配慮が少なく、自己中心的な集団では、何が起こるか、どうしないければならないか?

    どうしても、国の統治と同じく、強権的、罰を与えることなどが並行的に行われる。

 

2.中国式企業風土

 

最大の基本は、ISOにもある「Plan-DO-See」の重要さについて、絶えず管理教育することである。日本人の眼から見ると、中国では事前の準備、計画をあまりしたがらず、いきなりだらだらと仕事を開始し、スケジューリング、計画性が極めて脆弱である。品質を作りこみ、良質の仕事をする、あるいは計画と現実の差を小さくするためには、日々の実証的な活動と管理しかないが、これができない。ここでは物事を実証的に業務に取り込み、事実をもとに発想することのできる管理職人材を養成することが肝要である。

不良発生の原因は、ほとんどが思い込みにある。

まずは思い込みの仕事を排除する訓練から始めること、つまり中国式に言えば「実事求是」の姿勢が求められる。

そこで「ここは、中国です」と反論されても、これを認めないことである。そのような場合、私は「中国の市場経済原理、合理的方式を要求しているのだ」と答え、「中国で中国式が成功するのなら、国営企業が何故こんなに破産しているのか?ものづくりには日本式、中国式などという観念は関係なく、実証にもとづく合理的な方法の追求が必要だ」と教えている。

    定期的に、項目を定めて、「報連相」を習慣づけることに尽きる。中国では、いかに早期に病原、病巣が発見されるかがキーポイントである。早期発見のためには、前述のとおり、あまり事前調査、経過を丁寧にしない傾向を正すため、実証的、PLAN-DO-SEEの徹底を図らせ、実証的報告をさせることである。

    生産管理においても、「QCD(品質、コスト、納期)」意識は決して高くない。そこにいきなり「改善」など抽象的テーマを持ち込んでも意識付けが難しいので、目標に沿った具体的な活動を示して実行させることが必要。推進、報告は表面的、観念的なものを許さず、プロセスを大切に、実証的に報告させなければならない。

    QC,5S,物流改善等々、問題が社内の部門をまたがる場合は、管理担当者の個人能力のみに負荷をかけないで、会社の全体の意思として経営のバックアップが必要。経営が個人能力に頼ってばかりいると、まず失敗する。

    管理を放置すると、会社の中に私生活が持ち込まれる。規則があっても無視して個人の判断で行動し、交通麻痺状態になりやすい。それだけに、規則、マニュアル類は明確にし、なにが正しいか、やっては、いけないことは明確、厳格にしておく必要がある。

    QC,提案活動なども、彼らの得意な自己判断、自己推量を拡大させる場にならないようによく注意して運用しなければ、逆に問題を広げてしまう危険もある。

    中国労働法では、13時間、1か月36時間以上の残業は禁止されているが、現実には休日出勤を含め50時間近い就労が普通。大変微妙な状況であり注意が必要。

    いったんルールを決めておけば、違反者は掲示広告し、規則に照らして給与より罰金を控除する、という日本人感覚では出来ない罰も実施できる。

    「予算達成」という抽象的な目標ではなく、評価基準を明確かつ具体的にして、能率給を採用するほうがはるかに効果的である。

    コストさえ安ければ、品質と納期が70点でも良いという大雑把な工場と、コスト管理も含め120点を目指す工場とが競争すれば、今後どちらが勝ち残るかを理解させることが大切である。 

 

(2006年10月記・3,205字)
チャイナ・インフォメーション21
代表 筧武雄

 

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