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Q&A(1)休眠制度の開始と現状(2)PEの基本的な考え方

中国ビジネスレポート 投資環境
水野 真澄

水野 真澄

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2024年3月12日

Q.中国に休眠制度は有りますか?適用は難しいですか?
 
A2021年に休眠制度ができましたので、申請は可能です。但し、上海市外高橋保税区所管の市場監督局にヒアリングした結果(2024年3月6日時点)、適用事例は内資企業のみで、まだ外資企業の実例はないとの回答でした。
 
説明
過去には、中国に休眠制度は有りませんでしたが(個体工商戸=個人商店を除く)、「市場主体登記管理条例(国務院令2021年第746号)」に、休眠に関する規定が織り込まれ、制度が開始されました。
 
ただ、関連条文(第30条)は、以下の通り非常に簡単です。
● 自然災害、事故災害、公衆衛生問題、社会安全問題により、経営上の困難が生じた場合、市場主体は、法律、行政規則に別途の規定がある場合を除き、一定期間の休業を決定することができる。
市場主体は、休業前に、法律に基づき、社員と労務関係を協議し、関連事項を処理しなくてはならない。
市場主体は、休業前に登記機関(市場監督局:筆者注)で備案しなくてはならない。登記機関は国家企業信用情報公示システムを通じて、休業期間や法的文書の送達住所を公示する。
休業期間は3年を超えてはならない。休業期間中に事業活動を行った場合は、事業を再開したものとみなし、国家企業情報公示システムを通じて、社会に公示しなくてはならない。
市場主体の休業期間は、法律文書の送達場所を、住所・主たる経営場所に代替することができる。
 
ここで分かるのは、以下の内容です。
(1)適用条件は、特定の情況(自然災害、事故災害など)により、経営上の困難が生じた場合であること。
(2)休業前に市場監督局に届け出る(備案)こと。
(3)休業前に、従業員解雇(経済補償金の支払い)等に対応すること。
(4)休眠中は、オフィス(経営場所)は不要であること。
(5)休業期間は3年以内であること。
 
ただ、単なる経営不振の場合など、列記された条件に合致していない場合の対応可否に付いては、判断のしようが無く、所管の市場監督局に確認する必要が有ります。
 
休眠制度の適用状況に付いて、上海市・外高橋保税区の市場監督管理局に確認しましたが、現時点で休眠手続きを申請した企業は内資企業であり、外資企業の事例はない(若しくは、殆どない)との回答でした。

Q. PEとは何ですか?PE認定を警戒する企業が多いのは、どの様な理由ですか?
 
APEとは、外国企業の、中国における営業拠点を指します。
企業がPE認定を警戒するのは、PE認定により、外国企業が中国において直接的に課税されることになるためです。
 
説明
1.PEとは外国企業の営業拠点
PEとは、Permanent Establishmentの訳で、日本では恒久的施設、中国では常設機構と呼称されます。
PEは、外国企業(例えば、日本企業)の、国内(例えば、中国内)での営業拠点を指しますが、これが意味するのは、「日本企業の身体の一部が中国に有り、そこが営業をしている(収益獲得活動をしている)」という事です。
 
2.PE認定されると外国企業がその国で課税されることになる
営業活動をするという事は課税対象組織であり、それが身体の一部であるという事は、日本企業が中国で直接課税されることを意味します。
PE認定は、中国に限らず世界各国でリスクが有りますが(中国のPE認定リスクは、世界を見ると、特段高いとは言えません)、企業がPEを怖がるのは、この様な直接的な課税を受けるためです。
一般概念では、典型的なPEは支店・工事現場ですが、中国の制度では、外国企業の支店開設は金融機関を除き認められませんし、工事現場も2003年(100%外資の建設会社設立が認められた)以降は認められません。よって、PE(営業拠点)の種類は極めて限定され、みなしPEが主流となりますが、この点は、後日、説明をします。
因みに、現地法人は、身体の一部ではない(出資者と被出資者の関係に過ぎない)ので、一義的にはPEには該当しません。
 
3.一番怖いのはみなしPE
(中国では、殆ど外国企業の支店がないのは上述の通りですが)支店の場合は、開設登記が必要であり、経理記帳・税務申告もしていますので、リスクの範囲は限定的です。その為、それほど恐ろしいとは認識されていません。
PE認定の厄介な点は、みなし規定が有る点です。つまり、本来は身体の一部ではない(代理人など)、全く拠点がない(出張者に対するコンサルティングPE等)場合でも、実質的にPEが有るのと同じ、という前提で課税が行われるリスクが有り、この場合、課税リスクがどこまで拡大するか分からないので怖い、という理屈になります。
企業がPE認定を警戒するのはこの点です。
但し、現在の中国においては、そこまで高いリスクのPE認定は行われておらず、課税金額は限定的です。

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