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四川大地震と中国経済(6)

中国ビジネスレポート 投資環境
田中 修

田中 修

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2008年9月21日

記事概要

北京オリンピック終了とともに、再び地震関連報道が行われるようになった 。9月上旬の動きを概観しておきたい。

はじめに

 北京オリンピック終了とともに、再び地震関連報道が行われるようになった[1]9月上旬の動きを概観しておきたい。

 

1.温家宝総理の四川視察(831日-92日)

 1.1 地震対策総指揮部会議

 831日夜と91日夜に開催された。当面重点を置かなければならないものとして、以下の6点が指摘されている(新華網成都電200891日)。

(1)被災者が安全に冬を過ごす問題を際立ててしっかり把握する

 冬季はすぐやってくるので、水・電気・道路・環境衛生などの施設を早急に整備する。年末前に、損壊した農民家屋の修繕・補強を全面的に完成する。困難な被災者への衣服寄贈活動を全国で組織的に展開する。冬の渇水期における正常な水供給を確保する。

(2)被災地域の建材及び庶民の生活必需品の価格を安定させる

 建材の生産を早急に回復し、鋼材・セメント・れんがの供給能力を高める。価格の監督管理を強化し、建材価格の不合理な上昇を断固抑制する。流通・サービス業を早急に回復し、中央財政は支援する。

(3)住宅が毀損し住める家がない、或いは毀損により家の補強が必要な都市家庭に対しては、中央財政が適切な補助を行い、地方は具体的方法を早急に制定する

(4)被災地域の学校が正常に授業を再開することを保証する

(5)災害復興と結びつけ、多様な措置を採用して被災地域で就業援助を重点的に実施し、「ゼロ就業家庭」で少なくとも1名の就業実現に努力する

(6)困難な大衆・独り暮らしの障害者の救援・安置をしっかり行う

 

 1.2 総理記者会見(92日)

 現地で開催された。その概要は以下のとおりである(新華網成都電200892日)。

(1)災害発生後110日の成果

①あらゆる手を尽くして人命を救助した

 我々は、廃墟から8.4万人を救出した。

②大衆を適切に避難させた

 1500万人の大衆を避難させ、1000万人を救助し、300万人近い負傷者の手当てを行い、9.6万人を入院治療させた。

③インフラを早急に回復した

 現在、主要な国道・省道は基本的に修復された。電力は北川・青川を除き、四川の全部の被災地域の電気が通った。通信は基本的に回復した。被災地域の3000余りのダム、800余りの水力発電所、1000キロ余りの堤防で地震対策中に決壊したものはなかった。

④我々は医療隊を大々的に派遣し、衛生・疫病防止活動と負傷者の治療を行い、災害後の大きな疫病が発生しないことを確保した。

 しかも、災害後に通常見られる病気の発生率は、例年より低かった。

2次災害の応急措置を行った

 指摘しておくべきは、我々が地震によるダム湖の処理に成功したことである。中でも唐家山地震湖が主要であったが、この処理は世界史上最大で最も困難であったが、成功したのである。この処理では、1人も死傷者は出していない。

(2)当面の課題

 被災地域の大規模復興は、異常に困難で荷の重いものである。対象面積が大変大きく、人口が大変多く、発展が不均衡だからだ。我々は、3年の時間をかけて被災地域の生産生活条件を基本的に回復させ、地震前を上回るようにしなければならない。被災地域のインフラ・公用施設・生産能力を回復させ、さらに比較的大きく向上させなければならない。

①都市・農村の倒壊・損壊住宅の再建

 農村については、中央政府・地方政府は被災家庭に平均2万元前後を補助し、1年余りで住宅を再建する。都市においては行政府補助と市場メカニズムを結びつけ、家屋建設を迅速に展開し、政府は補助の具体的方法を早急に制定しなければならない。

②インフラ

 インフラで最も困難なものは道路である。道路の修復は工事のみならず、治山・治水を行わなければならず、道路を直すだけではなく、スムーズな交通を保障しなければならないからだ。年末までには車が通れるようにし、簡易な道路・軽自動車から開始し、徐々に規格に合った道路を建設する。

(3)冬の備え

①仮設住宅の暖房条件を整える

 被災地域全体で、おおよそ157万張りのテント、66万の板張り住宅、180万の大衆が自ら建設した仮設住宅がある。臨時避難所の水・電気・道・環境衛生施設を整備すると同時に、冬越しの準備を早急に行わなければならない。

②我々は10月に、被災地域に衣服を贈るよう全国に呼びかける

③冬が訪れたならば、臨時避難所への水供給の保証が十分重要である

④医療条件と子供の通学を保証しなければならない

 

2.国家汶川地震専門家委員会 史培軍副主任記者会見(94日)

 概要は以下のとおりである(新華社200894日)。

(1)直接経済損失

 8451億元であり、当然四川が最も深刻である。四川の損失は全体の91.3%を占め、甘粛は5.8%、陝西は2.9%を占める。

 この損失のうち、家屋の損失が最も大きく、全体の27.4%を占める。学校・病院その他非住宅用建物の損失は20.4%を閉める。このほか、インフラ・道路・橋梁・その他都市インフラの損失は21.9%を占める。70%以上の損失はこの3つである。

(2)死亡者

 我々は死亡が69000人余り[2]、行方不明者が18000人余り、計87000人余りと把握している。我々が確認したのは7月中旬であり、直接の死亡者は69197人、行方不明者は18341人であった。

 

3.中央財政の援助

 98日、財政部は災害復興の貸出に対する利息補助の管理弁法を下達したことを明らかにした(新華網北京200898日)。

 利息補助の範囲は、主として汶川地震被災地域のインフラ再建、企業の生産回復と再建、農林業の生産回復と再建のための貸出である。利息補助の期限は2008512日から20111231日までであり、この期間に貸し出されたものは、期限が3年を超えないものは実際の返済期限に応じて利息補助を行い、3年を超えるものは3年間利息補助を行う。

 財政部の責任者は、「この措置は被災地域の企業・庶民の回復・再建負担軽減に資するものであり、災害復興に貸出資金を誘導するのに資するものであり、被災地域の正常な生産生活秩序の早急な回復に資するものである」と説明している。

2008年9月記・2,419字)


 


[1]  本格的な報道再開の第1弾は、新華網北京電2008826日の「胡錦訪涛総書記の第一線における地震対策・災害救助活動指導の概観」であり、516日―62日の胡錦涛の動きを振り返ったものである。続く大きな報道は温家宝総理の四川省視察であり、再開後の報道は胡-温指導部の体制強化に集中している。

[2]  92日の記者会見で温家宝総理は、「今回の災害において死者は8万人を超えた」と発言した。このため、記者から正確な死亡者数について確認の質問が出たのである。

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