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中国越境電子商取引小売輸入税をめぐる新政策

中国ビジネスレポート 法務
劉 新宇

劉 新宇

有料

2016年7月20日

1.はじめに

中国に輸入される商品は、輸入関税、増値税及び消費税の課される輸入貨物(中国語では「進口貨物」)と行郵税の課される輸入物品(中国語では「進境物品」、すなわち、個人が自己使用目的で携帯して国内に持ち込む荷物または国内に郵送される物品)に二大別することができる。「物品」の輸入は、50人民元以下の行郵税及び商品検査手続の免除などの便利政策が適用され、税金も「貨物」より安くなっている。一方、これまでの数年間に急増している企業と消費者間(B2C)で小売を目的として行われる越境電子商取引(以下、「越境EC」という)につき、一定の貿易属性があるにもかかわらず、適用可能な関税政策が制定されていないので、通常の関税等より低税率の行郵税が適用されていた。しかし、これにより、越境 EC による小売商品輸入を行う場合、一般貿易で輸入された貨物に比較して全体的な税負担が低くなり、市場競争上の不公平が生じた。そのため、管理当局は、越境 EC小売輸入商品を輸入物品ではなく、輸入貨物として扱うという新しい租税政策の実施を決定した。

そこで、最近、中国財政部、税関総署、国家税務局の3機関共同による「越境電子商取引小売輸入租税政策に関する通知」(2016年3月24日)のほか、財政部など11の機関による「越境電子商取引小売輸入目録」(2016年4月6日)、財政部など13の機関による「越境電子商取引小売輸入目録(第二次)」(2016年4月15日)をはじめとして、B2C(企業対消費者)の越境ECに関する輸入税政策を方向づける規定が相次いで公布された。こうして、中国における越境EC小売輸入に関する租税政策が基本的に確立されることとなったが、本稿では、前出の通知に基づき新政策について論ずるものとしたい。

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