はじめに
2月3日、国務院は「所得分配制度改革の深化に関する若干意見」を示達した。これは、国家発展・改革委員会、財政部、人力資源社会保障部の共同制定によるもので、本来昨年12月中に発表するはずのものがずれ込んだものである。内容はかなり膨大であるので、本稿ではそのエッセンスを紹介する（新華網北京電2013年2月5日）。

１．前書き
所得分配制度は、経済社会発展における根本的・基礎的性格を有する制度手配であり、社会主義市場経済体制の重要な礎石である。改革開放以来、わが国の所得分配制度改革は不断に推進され、基本的国情・発展段階に適応した所得分配制度が基本的に確立された。
同時に、所得分配分野にはなお解決を必要とする際立った問題が存在する。①都市・農村の発展格差と個人所得の分配格差が依然かなり大きい。②所得分配秩序が不規範である。③隠し所得・違法所得の問題が比較的際立っている。④一部大衆の生活が比較的困窮している。
現在、わが国は小康社会を全面的に実現する決定的な段階に既に入っている。18回党大会が提起した「あらゆる手を尽くして個人所得を増やす」という戦略的手配に基づき、所得分配制度改革を引き続き深化させ、所得分配構造を最適化し、各方面の積極性を動員しなければならない。経済発展方式の転換を促進し、社会の公平正義と調和のとれた安定を維持し、発展の成果を人民が共に享受することを実現し、小康社会の全面的実現のためにしっかりとした基礎を打ち固めなければならない。

我が国はなお長期的に社会主義初級段階にあり、現在所得分配分野で出現している問題は、発展における矛盾であり、前進における問題であり、発展の促進と改革の深化を通じて徐々に解決できるものである。これらの問題を解決することは、所得を普遍的に増加させ、生活が不断に改善されるプロセスにおける、都市・農村住民の新たな要求・期待でもある。
同時に見て取らねばならないのは、所得分配制度改革は、十分困難複雑な系統的プロセスであり、一度に成し遂げることは不可能であり、わが国の基本的国情と発展段階から出発して、現在に立脚し、長期に着眼して、難関を克服し、秩序立てて推進しなければならないということである。

所得分配制度改革を深化させるには、共同で発展し、成果を共に享受することを堅持しなければならない。勤労により富に至ることを唱導し、創業・イノベーションを支援し、合法的な経営を保護する。社会の富を不断に創造し、総合国力を増強すると同時に、人民の富裕の程度を普遍的に引き上げる。
効率を重視し、公平を擁護することを堅持する。第1次分配と再分配は、いずれも効率と公平を併せ考慮しなければならない。第1次分配では効率を重視し、機会が公平な競争環境を創造し、労働所得の主体的地位を擁護しなければならない。再分配では公平を重視し、公共資源の配分効率を高め、所得格差を縮小しなければならない。
市場の調節・政府のコントロールを堅持する。要素配分と価格形成における市場メカニズムの基礎的作用を十分発揮させ、所得分配における政府のコントロール作用を更によく発揮させる。所得分配秩序を規範化し、低所得者の所得を増やし、高すぎる所得を調節する。積極的に行い、力量を考えて行うことを堅持する。改革・発展・安定の関係を妥当に処理し、人民大衆の不満が際立った矛盾・問題の解決に力を入れる。フローの改革を際立たせて、ストックの調整を牽引する。

各地方・各部門は第18回党大会の精神を深く学習し、全面的に貫徹実施しなければならない。所得分配制度改革を深化させることの重大な意義を十分認識し、重要な議事日程に組み込み、統一的に企画した協調的なメカニズムを確立し、所得分配政策の実施、都市・農村住民の所得の増加、所得分配格差の縮小、所得分配秩序の規範化を重要任務としなければならない。
各関連部門は、重点任務について政策の責任を明確にし、関連案・実施細則を早急に検討して打ち出し、遅滞なく政策の実施効果をフォロー・評価しなければならない。各地方は、現地の実情と結びつけて具体的措置を制定し、改革の各任務が実施に移されることを確保しなければならない。
正確な世論の誘導を堅持し、社会の期待を誘導し、大衆の関心に応え、各方面の共通認識を凝集させ、改革の合成力を形成し、所得分配制度改革のために良好な社会環境を生み出さなければならない。

（2月8日記　1,832字）