はじめに
習近平指導部は新しいタイプの都市化政策を進め、これに伴い戸籍制度の改革も議論されている。ところが、経済参考報2014年11月4日は、一部の農民は都市戸籍への転籍を拒み、逆に都市戸籍者が農村戸籍への転籍を希望する「逆都市化」現象が出現しているとする。本稿では、記事の概要を紹介する。

国務院が新たに打ち出した「戸籍制度改革を一層推進することに関する意見」の中には、2020年に1億前後の農業からの移転人口とその他常住人口を都市戸籍に転ずることを重要目標としている。しかし「経済参考報」記者が、最近浙江・河南・四川・陝西・江西等を訪問した際発見したことは、各地でいずれも戸籍制度改革を推進する政策が打ち出されているにもかかわらず、相当数の農民が自己の既得権益が損害を被ることへの心配と、都市住民に与えられる待遇を享受し難いのではないかという懸念があることから、「都市に入っても転籍しない」という現象が際立っており、はなはだしきは元々都市戸籍の人口が農村戸籍への転換を希望する「逆都市化」現象が出現していることである[1]。

１．転籍の利益連鎖の消長があり、農民の都市戸籍への転籍は懸念材料が多い
浙江省公安庁人口管理・サービス総隊の阮文広総隊長は、次のように指摘する。
「経済の急速な発展、都市・農村建設が不断に加速され、社会の利益構造が持続的に調整されるに伴い、農村戸籍の背後にある利益の連鎖はますます長くなり、都市戸籍の背後にある利益の連鎖はますます短くなっており、農業からの移転人口が都市に入り転籍する意欲が強くない傾向が更に激化する可能性がある」。