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ログイン2015年3月25日
3月15日、李克強総理は恒例の内外記者会見を行った。本稿では、このうち経済関連の発言の概要を紹介する。
はじめに
3月15日、李克強総理は恒例の内外記者会見を行った。本稿では、このうち経済関連の発言の概要を紹介する。
1.住宅政策
中国は発展途上国であり、住宅は経済問題であるとともに民生問題でもある。中国政府がやるべきことは、低所得で住宅難の人々のために住宅保障を提供することである。今年、我々はバラック地区110万戸、都市・農村の危険家屋100万戸の改造の方面に更に力を入れる。中国政府は、大衆の基本居住条件を保障する責任がある。
不動産市場は自身のルールがある。中国は国土面積が広大であり、特大都市・中小都市・町があり、情況は異なっている。このため、我々は地方政府が不動産市場を合理的にコントロールする責任を強化し、現地の事情に応じて、都市ごとに施策を打ち出すよう要求する。中国の都市化プロセスは加速しており、不動産市場の需要は硬直性がある。我々は庶民が自ら住む住宅と住宅の改善需要を支援し、不動産市場の長期にわたる平穏で健全な発展を促進する 。
2.行政改革
行政改革は確かに痛みを伴い、しかも深みを増し面も拡大している。行政の簡素化・権限委譲は自己革命であり、爪を切るのではなく腕を切り落とす痛みに耐えて切り込まなければならない。
行政の簡素化・権限委譲は政府と市場の関係を整理し、市場の活力を奮い立たせることに資するものであり、これにより経済の下振れ圧力に抗することができる。昨年、わが国の経済成長は鈍化したが、雇用は減らずむしろ増えており、行政の簡素化・権限委譲は重要な支えの役割を果たしている。
政府は2年内に、当初提起した5年内に3分の1の行政審査・許認可事項を削減する目標を努力の末達成した。その中には取り消したものもあり、下方委譲したものもある。我々が商事制度を改革して後、毎日万を超える企業が登記し、前年比で50%近く増えた。活力は民間から来るのであり、行政の簡素化・権限委譲という引き算は、経済の鈍化を支えるパワーを生み出すことができる。
当然、この方面では多くの不実施の情況が存在しており、推進の中でいくらかの新たな問題も発見された。2日前、私は全人代・全国政協で「元々許認可項目は100余りもあり、いくらか削減したといってもなお50-60の関門があり、起業のコストが増え、創造の情熱が抑制されている。このため、我々は引き続き行政の簡素化・権限委譲を更に力を入れ推進しなければならない」と提起した。
今年政府は3方面に重点的に取り組まなければならない。
(1)非行政的な許可を全面的に取り消し、法律の枠外で権限を施行してはならない
このほか、国家の部門が授権した地方政府の審査・許認可事項はなお1200項目余りあり、今年は200項目余りを削減しなければならない。表では開放し裏では開放しないというようなことをしてはならない。
(2)権限リスト・責任リストを推進しなければならない
今年は省クラスに公布し、来年は市県クラスに公布して、リストを掲げ、社会の監督を受けさせ、庶民に明白にし、権限を濫用できないようにする。
(3)進行中・事後の監督管理の新しいモデルを模索しなければならない
これには、総合的な法執行テストの拡大も含む。偽物・劣悪品の製造販売・詐欺・ペテン・食品安全方面及び知的財産権侵害行為について、有効な監督管理方式が必要である。
行政の執行は民を利し、民に恩恵を与えなければならない。
3.経済の新常態
中国経済は新常態に入り、わが国の経済成長は今年7%前後の予期成長に調整された。見たところ、成長率は低く調整されたが、実際にはこの目標は決して容易ではない。中国経済の容量が増大し、既に10兆ドルを超えているからである。7%成長するには、毎年中等国家の経済規模だけ増やさなければならない。このプロセスにおいて、もし質・効率を重視し、中国経済をミドル・ローレベルからミドル・ハイレベルへのグレードアップを促すことができるならば、かなり長い期間中国経済の中高速成長を維持できる。我々の現代化実現に堅実な基礎があれば、世界にも巨大な貢献となる。
私は何度も言っていることだが、我々は中国経済の合理的区間での運営を維持できる。もし速度の鈍化が雇用・所得等に影響を及ぼし、合理的区間の下限に迫ったならば、我々は政策を安定させ、市場の中国に対する長期予想を安定させると同時に、方向を定めたコントロールを強化し、現在の市場の自信を安定させる。我々はここ数年、短期的な強い刺激的政策を採用しておらず、政策運用の余地が比較的大きく、我々の「道具箱」の中の道具はなお比較的多い。
当然、私は中国経済が下振れ圧力に直面し、多重のリスクを抱えていることを決して否定はしない。カギは、新常態下で安定成長と構造調整の中間に均衡点を見つけ出さなければならないということである。当然、それには眼力・忍耐力・勇気が必要である。私は、皆が心を1つにして協力し、中国経済のファンダメンタルズの持続的な好転を維持する能力があると信じている。
4.イノベーション
大衆による起業・万人によるイノベーションは、実際のところ1つの改革であり、歴史的啓示である。30数年前を想い起せば、請負制政策を実施したゆえに、億万の農民の生産・経営の積極性を動員できたのであり、人口流動を許し、億万の出稼ぎ農民を都市に入れたゆえに、中国経済の奇跡が創造されたのである。
市場の活力を奮い立たせるには、障害を取り除き、プラットホームを構築する必要がある。今年我々はこの方面で更に多くの事をしなければならない。市場への参入を更に緩和し、「3証合一」(工商営業許可証、組織機構代表コード証、税務登記証受理の窓口を一本化すること)を実行し、サービス業分野の企業登記の労力を軽減する。起業のプラットホームを構築するためには、企業とりわけ起業型小型・零細企業に対して、我々は税金の安い起業空間を更に多く提供しなければならない。また政府の資金誘導を通じて、更に多くの元手を集めなければならない。同時に、更に税・費用を軽減することにより、企業を身軽に前進させなけ
ればならない。
国家の繁栄は人民の創造力の発揮にあり、経済の活力は雇用・起業・消費の多様性に由来する。我々は「大衆による起業・万人によるイノベーション」を推進し、より多くの人を富ませ、より多くの人の人生の価値を実現させなければならない。これは所得分配構造の調整、社会の公平の促進に資するものであり、より多くの若者とりわけ貧困家庭の子供により多くの上昇ルートを与えるものである。
5.環境対策
スモッグ等の環境汚染方面に対する政府の決意は確固たるものであり、多くの努力を払っているが、得た成果と人々の期待にはなお比較的大きな差がある。私は昨年の「政府活動報告」において、「スモッグ等の汚染に宣戦しなければならない。この目的を達成するまでは停戦しない」と述べた。
環境汚染対策は、カギとなる部分にしっかり取り組まなければならない。今年のカギは、新たに打ち出す環境保護法を厳格に執行しなければならないということである。法規に反して排出した企業は、いかなる企業であっても断固として法に基づき追及し、さらには隠れて排出した企業には払えないほどの代償を負担させる。環境保護の法執行部門には、能力建設を含む支援を強化し、法執行への干渉と法の枠外の権限施行を許さない。環境保護等の執行部門も、自ら進んで責任を担わなければならない。施策が不十分であったり、施策に力が入らない場合は問責しなければならず、汚職・怠慢については法に基づき追及しなければならない。環境保護法の執行は、「綿棒」ではなく「必殺の金属棒」である。
当然、環境汚染対策は系統だったプロセスである。今年の報告には大きな変化があった。すなわち、我々は省エネ・主要汚染物質排出削減指標と主要な経済社会発展指標を一緒に並べ、前の位置に置いた。構造調整から石油製品の生産・使用の質に至るまで、いずれもスモッグ等の環境汚染対策と関連があり、これには全社会・人々の責任ある対策活動が必要である。当然、対策はプロセスが必要であり、もし一時には自身のいる自然環境を変え難いとしても、自身の行為方式を変えることはできる。
6.金融リスク
中国には確かに個別事案的な金融リスクが存在するが、我々はシステミック・地域的な金融リスクを発生させないことが完全に可能である。なぜなら、中国経済はなお合理的区間にあり、しかも我々の貯蓄率は比較的高く、地方政府の債務の70%以上は投資性のもので、収益がある。しかも、我々は債務プラットホームを規範化し、裏口を塞ぎ、正門を開けているところである。銀行について言えば、自己資本比率がかなり高く、引当金のカバー範囲もかなり広い。不良債権がやや上昇しているが、世界的にはなお比較的低い水準にある。
ここで私は表明しておくが、我々は個別事案的な金融リスクの発生を認め、市場化の原則に基づき清算を進める。これはモラルハザードを防止するためのものであり、これにより人々のリスク意識を増強できる。今年、我々は預金保険制度を打ち出し、さらに様々なレベルの資本市場を更に発展させ、企業の資金レバレッジ率を引き下げることにより、金融を実体経済に更に好く奉仕させなければならない。
7.デフレ
デフレに関しては、国際上多様な解釈がある。比較的一致しているのは、国家の物価総水準に持続的にマイナスの伸びが出現していることである。中国のCPIあるいは物価総水準は1月がプラスであり、2月の上昇幅は1月より高かった。したがって、中国に既にデフレが出現しているとは言えない。
中国の現在の物価総水準は比較的低いが、決して中国はデフレを輸出してはいない。実際には我々はデフレに追い込まれているのである。例を挙げれば、昨年わが国は3.1億トンの原油、9.3億トンの鉄鉱石を輸入した。量は増えており、減っていないが、価格は下落した。主要な原因は、国際大口商品価格が大幅に下落したためである。この追い込まれたデフレ問題に対し、我々は対応し更なる準備もしている。当然、我々は世界経済が低迷を脱し回復を実現できることをより希望している。
(3月20日記 4,187字)
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