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下半期の経済政策

中国ビジネスレポート マクロ経済
田中 修

田中 修

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2015年8月12日

記事概要

習近平総書記は、7月24日、党外人士座談会を開催し、30日、中央政治局会議を開催して、下半期の経済政策の基本方針を決定した(新華網北京電2015年7月30日)。本稿では、会議の中で経済政策に関する部分の概要を紹介する。

はじめに
習近平総書記は、7月24日、党外人士座談会を開催し、30日、中央政治局会議を開催して、下半期の経済政策の基本方針を決定した(新華網北京電2015年7月30日)。本稿では、会議の中で経済政策に関する部分の概要を紹介する[1]

1.党中央政治局会議(7月30日)
今年に入り、錯綜し複雑な国際・国内環境に対して、我々は中央経済工作会議精神を真剣に貫徹し、安定の中で前進を求める政策の総基調を堅持し、マクロ・コントロールを強化・刷新し、改革を全面的に深化させ、各種のリスク・試練に積極的に対応し、容易ならざる成績を得た。

上半期の経済成長は予期目標と符合しており、主要な経済指標はある程度反転上昇し、構造調整は引き続き推進され、農業情勢は引き続き好転し、発展の活力はある程度増強されている。

同時に、経済の下振れ圧力は依然かなり大きく、一部の企業は経営が困難になっており、経済成長の新動力の不足と旧動力の弱体化という構造的矛盾が依然として際立っている。

わが国経済は正に「3つの時期が重なる」[2]特定の段階にあり、経済の発展は新常態に足を踏み入れている。戦略的な冷静さを維持し、経済構造の戦略的調整を粘り強く推進するとともに、危機に対応しリスクを管理・コントロールする意識を樹立し、発生する可能性がある各種矛盾・リスクを遅滞なく発見し、果断に処理しなければならない。

発展という方法を用いて前進中の問題を解決し、真に基礎を固め・自信を強めるよう努力し、実体経済を発展させるとともに、核心的競争力を有する優秀な企業を育成することを、経済政策の制定・実施の出発点としなければならない。

作風の転換を加速し、「三厳三実」[3]。<の要求に基づいて経済政策をしっかり行うことを更に重視し、経済発展の趨勢・基本的特徴・各方面への影響を精確に分析し深く判断し、政策の質と操作可能性を高め、仕事をしっかり行わなければならない。 下半期の経済政策の総体的要求は、以下のとおりである。 18回党大会・3中全会・4中全会精神を全面的に貫徹し、鄧小平理論・「3つの代表」重要思想・科学的発展観を導きとすることを堅持し、習近平総書記の一連の重要講話精神を深く貫徹する。経済発展の新常態に主動的に適応し、安定の中で前進を求めるという政策の総基調を堅持し、経済発展の質と効率の向上を中心することを堅持し、マクロ政策を安定させ、ミクロ政策を活性化させ、社会政策により底固めをしなければならないという総体的考え方を堅持する。マクロ政策の連続性・安定性を維持し、区間コントロールの基礎の上に方向を定めたコントロールを強化し、遅滞なく事前調整・微調整を進める。経済の下振れ圧力への対応を高度に重視し、システミックなリスクの防止・解消を高度に重視する。改革開放を大いに推進し、安定成長維持・改革促進・構造調整・民生優遇・リスク防止の総合的なバランスを図る。各方面の積極性を動員し、施策の実施にしっかり取り組み、経済運営を合理的区間に維持し、経済の持続的で健全な発展と社会の大局の安定を促進する。 経済建設を中心とすることを堅持し、マクロ政策の連続性・安定性を維持し、積極的財政政策のトーンを変えないことを堅持し、公共支出の力の入れ具合を維持し、企業の負担を引き続き軽減し、更に多くの民間資金の投入増加を誘導・テコ入れしなければならない。 穏健な金融政策は、緩和と引締めを適度にし、合理的な流動性を維持し、実体経済に奉仕する能力・水準を高めなければならない。 具体的で有効な方法を採用し、消費・投資・輸出の安定的な伸びを誘導する。 構造調整を確実に推進し、イノベーション駆動による発展戦略の実施を加速し、大衆による起業・万人によるイノベーションを促進し、良好な市場環境を創造し、優勝劣敗、競争・協力の中で企業の活力を増強しなければならない。 改革を構造調整の根本的な拠り所とし、行政の簡素化・権限の委譲、開放と管理の結合、サービスの最適化を引き続き推進し、国有企業、財政・税制、金融等の体制メカニズム改革を重点的に推進しなければならない。 民生の保障を確実に強化し、雇用の保障を際立てて位置づけ、貧困扶助開発政策をしっかり行うことを高度に重視し、低所得者・失業者・障害者等の基本生活保障にとりわけ注意を払わなければならない。 民生改善、人心の凝集を経済社会発展の出発点・着地点とすることを堅持し、インフラ、特色・優位性のある産業、生態の保護・建設を重点とし、①経済社会の協調発展を推進し、全面的な小康に向けて歩みを進め、②民生の顕著な改善を推進し、人民の生活の豊かさ・幸福に向けて歩みを進め、③生態安全の防壁の建設を推進し、生態の全面改善に向けて歩みを進めなければならない。

2.党外人士座談会(7月24日)
座談会には、習近平総書記のほかに、李克強・劉雲山・張高麗の各政治局常務委員、馬凱・王滬寧・劉延東・孫春蘭・栗戦書・楊晶の各政治局委員、王勇国務委員、周小川人民銀行行長が出席し、李克強総理が上半期の経済政策の情況と党中央の下半期の経済政策に対する考慮を紹介した。

習近平総書記の重要講話の概要は、以下のとおりである。

今年は、わが国の経済社会の発展を過去から未来へと引き継ぐ重要な1年であり、経済社会の安定的な発展の大局を維持し、第12次5ヵ年計画を円満に手仕舞いし、第13次5ヵ年計画のスタートのために良好な基礎を打ち固めることは、我々が直面する重要任務である。

現在、わが国経済の運営は総体として良好であるが、同時にいくらかの際立った矛盾・問題に直面してもおり、衆知を集め、真に着実に仕事をこなして解決する必要がある。

今年に入り、錯綜し複雑な国際・国内環境に対し、各地方・各部門は安定の中で前進を求めるという政策の総基調を堅持し、マクロ・コントロールを強化・刷新し、改革を全面的に深化させ、構造調整を引き続き推進しており、新たな動力が急速に形成され、雇用情勢は基本的に正常であり、社会の大局は安定している。

我々は戦略的冷静さを維持し、成長速度のギアチェンジ・発展方式の転換・経済構造の調整・成長動力の転換という新情勢に主動的に適応し、発展という方法を用いて前進中の問題を解決し、作風の転換を加速し、真に基礎を固め、自信を強めるよう努力しなければならない。

安定の中で前進を求めるという政策の総基調を堅持し、経済発展の新常態に主動的に適応し、経済発展の質と効率の向上を中心とすることを堅持し、施策の実施にしっかり取り組まなければならない。

マクロ政策の基本的安定を維持し、政策の実施を強化し、我々の戦略的冷静さ、我々の経済発展への自信を、安定した政策を通じて全社会に伝達しなければならない。

引き続き改革を推進し、打破することに勇気を奮うだけでなく、うまく制定しなければならず、良好な市場環境を創造しなければならない。

リスクの最低ラインを固守し、リスク防止意識を強化しなければならない。

民生の保障を強化し、社会保障体系と社会セーフティネットを整備しなければならない。

(7月31日記 3,114字)

[1]党中央政治局会議では、ほかにチベット対策・統一戦線工作についても触れているが、ここでは省略する。
[2]高速成長から中高速成長へのギアチェンジの時期、構造調整の陣痛の時期、これまでの経済政策の消化の時期が重なっていること。
[3]「三厳」とは、指導幹部が厳しく身を修め、厳しく権力を用い、厳しく自らを律すること。「三実」とは、計画を立てるときは現実的に、事業を始めるときは堅実に、身を処すには誠実にしなければならないこと。

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