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ログイン2009年2月20日
1300億元の中央投資、及び産業調整・振興計画について概要を紹介する。
1.12月の財政状況
12月の全国財政収入は3248.69億元で、前年同期比3.3%増とプラスに転じ、全国財政支
出は1兆6601.69億元、同30.8%増と急増した。
財政収支の内訳は、前年同月比国内増値税-3.6%、国内消費税17%増、営業税7.7%増、
企業所得税-42.1%、個人所得税-0.7%、輸入貨物増値税・消費税-49.1%、関税-35.
6%、証券取引印紙税-90.2%となっている。このほか、対外貿易企業の輸出税還付が617.
79億元(前年同期比85.53億元増)である。財政収入のうち、プラスは国内消費税と営業
税のみとなっている。
(参考)財政収入 9月3.1%→10月-0.3%→11月-3.1%→12月3.3%
2008年の全国財政収入は6兆1316.9億元で、前年比19.5%増であり、全国財政支出は6兆
2427.03億元で、同25.4%増となった。財政赤字は1110.1億元である。
(参考)財政収入 1-9月期25.8%→1-10月期22.6%→1-11月期20.5%→2008年19.5%
2.1300億元の中央投資
2009年に入り、政府は4兆元投資の第1弾として、中央投資1300億元を打ち出した。そのう
ち中央プロジェクトは350億元、地方への配分は950億元であり、その内訳は表のとおりで
ある。地方への配分方法については、国家発展・改革委員会は、①人口数、②1人平均財
政収入、③1人平均GDP、④毎年の中央投資が占める比重、によるとしており、このほか民
族要因、北方要因、直轄市も加味するとしている(南方報業網2009年2月3日)。
表 1300 億元中央投資の内訳
|
総額 |
中央分 |
地方分 |
①社会保障的性格をもつ住宅建設 ②農村の水道・電力・ガス・住宅建設 ③重大インフラ建設 ④衛生・教育重点プロジェクト ⑤環境保護プロジェクト ⑥構造調整 |
280 億元 315 億元 275 億元 170 億元 110 億元 150 億元 |
30.5 億元 57.05 億元 196.92 億元 0.53 億元 0 65 億元 |
249.5 億元 257.95 億元 78.08 億元 169.47 億元 110 億元 85 億元 |
3.国務院常務会議(2月4日)
鉄鋼・自動車に続き、繊維・装置産業の調整・振興計画が決定された(新華網北京電20
09年2月4日)。
(1)繊維産業
会議は、「紡績業はわが国国民経済の伝統的支柱産業・重要な民生産業であり、国際競
争の優位性が明白な産業であり、市場の繁栄・輸出の拡大・雇用吸収・農民収入の増加・
都市化発展の促進といった方面で重要な役割を発揮している」とし、5項目の政策を打ち
出している。
①内外2つの市場の統一的に企画しなければならない
積極的に国内消費を拡大し、新製品を開発し、農村市場を開拓して、産業用の紡績品の
応用を促す。多元的な輸出市場を開拓し、国際市場におけるシェアを安定させる。
②技術改造・自主ブランド建設を強化しなければならない
繊維産業のハイテク化を推進し、紡績装置の国産化水準を高め、国際的に影響力をもつ
自主的な著名ブランドを育成する。
③落伍した生産能力を速やかに淘汰しなければならない
参入許可条件を制定・整備し、エネルギー多消費・高汚染等の落伍した生産技術・設備
を淘汰する。優位性のある骨幹企業が困難な企業を合併再編することに優遇支援を与える。
④地域の産業立地を最適化しなければならない
東部沿海地域では技術の含有量が高く、付加価値が高く、資源の消費が低い紡績製品を
重点的に発展させる。紡績アパレル加工企業が中西部に移転することを推進・誘導する。
⑤財政・金融支援を増やさなければならない
紡績品・アパレルの輸出税還付率を14%から15%に引き上げる。基本面は比較的良好だ
が暫時経営・財務に困難が出現している企業に貸出支援を行う。中小紡績企業への援助を
強化する。
(2)装置産業
会議は、「装置製造業は、国民経済の各業種に技術装置を提供する戦略的産業であり、
連関度が高く、雇用吸収能力が高く、技術資金が集約しており、産業のグレードアップ・
技術進歩の重要な保障であり、国家の総合実力の集中的体現である」とし、4つの政策を
掲げている。
①効率の高いクリーン発電、UHV送電、炭鉱・金属鉱山の採掘、天然ガスのパイプ輸送と
液化事業、高速鉄道、都市軌道交通等の分野の重点プロジェクトに依拠して、これに対応
した重点製品の国内製造を実現しなければならない。
②鉄鋼・自動車・紡績等の大産業の重点プロジェクトと結びつけ、装置の国産化を推進し
なければならない
③大型鋳造鍛造部品、基礎部品、加工補助具、特殊原材料等の製品の技術水準を引き上げ、
産業を発展させるための基礎を打ち固めなければならない。
④構造調整を推進し、産業成長方式を転換しなければならない。
4.国務院常務会議(2月11日)
船舶工業の調整・振興計画が決定された(中国政府網2009年2月11日)。
会議では、「船舶工業は、水上交通・海洋開発・国防建設に技術装置を提供する現代総
合的産業であり、鉄鋼・化学工業・軽工業・紡績・装置製造・電子情報等の重点産業の発
展についてかなり強い牽引作用をもっている」とし、6つの政策を挙げている。
①船舶企業の生産を安定させなければならない
貸出支援を強化し、大型船舶企業と運行企業が期日どおりに造船契約を履行することを
支援し、奨励措置を採用して船の更新を支援する。
②船舶市場の需要を拡大しなければならない
老朽船の廃棄・更新と単船殻タンカーの淘汰を加速し、遠洋漁船・特殊船・工事船・作
業船などの専用船舶を積極的に発展させる。
③海洋エンジニアリング装置を発展させなければならない
④船舶修理業務を積極的に発展させなければならない
⑤企業の合併再編を支援しなければならない
⑥技術改造を強化し、自主的なイノベーション能力を高めなければならない
5.一連の産業調整・振興計画の特徴
上海証券報2009年2月11日は、一連の産業調整・振興計画について次のように論評して
いる。
(1)国内を見ると、先進国の広範な衰退の影響を受け、かつて中国経済の主力軍の1つ
であった輸出型企業が経営困難に陥ったばかりか、大量の労働者の失業を生み、幾千万の
出稼ぎ農民が生活の糧を失った。さらに分析すると、今回の金融危機の中国経済に対する
影響は、直接的に3つの突発的問題(①失業の集中的増加、②企業の業績の集中的低下、
③在庫の集中的悪化)をもたらした。
(2)この30年の高速発展を経て、中国経済は現在、ルートを選択する新たな十字路に入
っている。どのような発展モデルを選択するか、どのような経済構造を作り上げるか、と
りわけ貧富の格差をいかに取り除き、「(都市・農村の)二元構造」という難病を根本か
ら治療するかは、回避不能な現実の問題であり、一連の政策措置を必要としている。これ
らの要因を総合し、現在の問題を解決するとともに中長期の発展を併せ考慮した措置を推
進することは、難度が非常に高い。
(3)経済を刺激する「十大措置」から現在打ち出されている産業「振興計画」には1つ
の主線があり、これは日増しに明確になってきている。即ち、中国はまさに勢いに乗じて
事をなそうとしているのであり、今回の金融危機の破壊力を、既存の発展モデルに対して
妥協なき調整を進めるための作用力に転化しようとしているのである。また、内需を拡大
し、国内の消費の階層レベルをアップさせ、新たな産業構造を立地し、対外経済貿易関係
をバランスさせ、国際経済の新戦略を手配し、経済の持続的で安定した成長を維持するこ
とを、将来の経済発展の重要な方向としているのである。
(4)今回の重点業種の調整・振興計画においては、1つの重要なキーワード「調整」が
ある。振興計画においては、特に「調整」が強調されている。これは「空言」ではなく、
国民経済に影響を与える重点業種に対して、既往の発展の基礎のうえに、全局から出発し
全体的に考慮して大幅な整理を進めなければならない。
(5)過去30年、中国経済は大きな部分を外需に向けてきた。現在は重点を内需に置かな
ければならないが、国内の消費需要を研究しないで国内の都市・農村住民を組織的に生産
に向かわせることは、明らかに不合理である。同時に、世界経済に大きな変化が発生して
いる背景下で、中国の外需の構造にも深刻な変化が発生している。このような状況下、経
済安全を考慮しても、持続的で安定した発展を考慮しても、部門を越え、業種を越えた全
面的な調整は必要であり、不可避である。
(6)すでに公開された鉄鋼・自動車・紡績・装置製造業等の重点業種の調整・振興計画
を見ると、この一連の政策措置には2つの着眼点がある。
①当面、いかに有効に眼前の経済問題に対応するか
主として、就業圧力、業績圧力、在庫圧力であり、経済をやや冷え込んだ状態から逆に
勢いづかせることにより、経済を正常な成長軌道に乗せる。
②将来に向け、さらなる発展のために持久力のある内需の条件を創造する
例えば、関連計画は、とりわけ農村市場の育成、消費のグレードアップへの支援、自主
的なイノベーション・競争力の全面的な向上に対する援助を強調している。
同時に、関連業種の調整・振興計画は全力を挙げて税制・融資・金利・為替レート等の
財政・金融手段を動員している。企業にとって、その経営業績効果に直接影響を及ぼすこ
れらの具体的措置は、疑いもなくその経営環境を改善し、企業の調整・振興の歩みを加速
するものである。(2009年2月記3,907字)
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