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ログイン2021年4月9日
3月5日、国家発展・改革委員会から全人代に対し、「2021年度国民経済・社会発展計画」が、財政部から全人代に対し、「2021年度中央・地方予算」が、それぞれ書面で報告された。そのポイントは以下のとおりである。
主要な経済目標は、以下のとおりである。
経済目標(予期目標を含む)(失業率以外は前年比)
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2021年目標 |
2020年目標 |
2020年実績 |
経済成長率(予期) 消費者物価上昇率(予期) 国家財政赤字(予期) 財政赤字対GDP比率(予期) M2(予期)
社会資金調達規模残高(予期)
都市調査失業率(予期) 都市新規就業者増(予期) GDP単位当りエネルギー消費 全国1人当り可処分所得(予期) 都市1人当り可処分所得 農村1人当り可処分所得 食糧生産量 都市部老朽住宅地の改築着工 |
6%以上 3%前後 3.57兆元 3.2% 名目成長率と基本的に一致 名目成長率と基本的に一致 5.5%前後 1100万人以上 -3% 着実に伸ばす
6.5億トン以上 53000ヵ所 |
設定せず 3.5%前後 3.76兆元 3.6%以上 2020年(8.7%)を顕著に上回る 2020年(9.8%)を顕著に上回る 6%前後 900万人以上 5ヵ年計画達成 経済と同歩調
6.5億トン以上 |
2.3% 2.5% 3.76兆元 3.7% 10.1%
13.3%
5.2% 1186万人 -0.1% 2.1%
1.2% 3.8% 6.69億トン |
2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響で経済がダメージを受け、21年も不安定・不確定要因が多いせいか、目標の数は大幅に減少した。
(単位:億元、%)
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2021年度予算 |
2020年度執行見込 |
中央財政収入総量 中央財政収入 中央予算安定調節基金からの繰入 中央政府基金・国有資本からの繰入 中央財政支出総量 中央財政支出 中央レベルの支出 中央から地方への移転支出 予備費 中央予算安定調節基金の補充 中央財政赤字 国債残高(21年は限度額) 中央予算安定調節基金残高 |
91385 89450(8.1) 950 985 118885 118885 (0.4) 35015 (-0.2) 83370 500 ― 27500 240508.35 ― |
91651 82771(-7.3) 5300 3580 119451 118411 (8.2) 35096 (-0.1) 83315(12) - 1040 27800 208905.87 1131.31 |
地方財政収入総量 地方財政収入 地方レベルの収入 中央から地方への移転支出 地方財政調節基金及び使用繰越・余剰 地方財政支出総量 差額(地方財政赤字) 地方政府債務残高(21年は限度額) うち一般債務残高 特別債務残高 |
206405 191570 108200(8.1) 83370 14835 214605(1.9) 8200 332774.3 151089.22 181685.08 |
200692 183439 100124(-0.9) 83315 17253 210492(3.3) 9800 256614.65 127395 129219.65 |
全国財政収入総量 全国財政収入 繰入資金及び繰越・余剰 全国財政支出総量 全国財政支出 中央予算安定調節基金の補充 差額(財政赤字) 財政赤字対GDP比 |
214420 197650(8.1) 16770 250120 250120 (1.8) ― 35700 3.2% |
209028 182895(-3.9) 26133 246628 245588 (2.8) 1040 37600 3.7% |
(注)括弧書きは、予算執行見込額に対する伸び率
①疫病防御経費を優先的に保障した
各レベル財政疫病防御資金支出は4000億元を超えた。
②疫病対応財政・税制支援政策を強化した
新型コロナ患者に対し、財政全額負担による無料緊急医療を実行した。
疫病防御に参加する一線医療関係者と防疫活動従事者に臨時政策補助を給付し、疫病防御期間、湖北省(各地の湖北省医療支援チームを含む)補助基準を2倍にした。
疫病防御重点保障企業に税・費用を減免し、優遇貸出利息補助等の方式を通じ、資金支援を提供した。
不足する重点医療物資について、政府が最低限の需要を確保する調達・備蓄を行った。
①更に政策を強化して疫病の影響をヘッジした
積極的財政政策を更に積極にして成果を出すことを堅持し、特殊な時期に特殊な措置を採用し、財政赤字の対GDP比率は3.6%以上に達し、赤字規模は1兆元増え、1兆元の疫病対策特別国債を発行した。
上述の2兆元は、主として雇用・基本民生・市場主体保障に用い、これには減税・費用引下げ、賃貸料・利息引下げ、消費・投資拡大等が含まれる。
新たに地方政府特別債を前年度比1.6兆元増やし、使用範囲を適切に拡大し、特別債資金をプロジェクトの資本に用いることができる割合を高め、有効な投資を積極的に拡大した。
②減税・費用引下げを強化し、企業の経営困難緩和を支援した
段階的・大規模な減税・費用引下げを実施し、年間で市場主体のために2.6兆元を超える負担を減らした。
増値税の税率引下げ、個人所得税特別付加控除、企業の年金保険料率の引下げ等の制度的政策の基礎の上に、新たに7回にわたり28項目の減税・費用引下げ政策を実施し、中小・零細企業の社会保険料の免除、小規模納税者と一部業種の増値税減免等の段階的措置を適時打ち出し、小型・零細企業、個人工商事業者の所得税納付を猶予し、市場主体保障支援に力を入れ、中小・零細企業、個人工商事業者、困難業種企業に傾斜させた。
③移転支出を強化し、末端財政の運営困難を緩和した
地方への中央移転支出は8.33兆元に達し、前年度比8955億元、12%増、増量・伸び率は近年最高となり、重点を中西部・困難地域に傾斜させ、末端の財政力の伸びを確保した。
地方財政に留保する資金の割合を段階的に引き上げ、差別化した資金調整を実行し、地方の基本民生・給与・運営保障支出をかなりしっかりと保障した。
中央財政は、特別貧困支援資金連続5年200億元増やし、1461億元とし、疫病の影響がかなり深刻な地域・脱貧困督励地域に傾斜させた。総合財政力補助金300億元を臨時に増やし、地方の脱貧困堅塁攻略の脆弱部分の補強を支援した。
地方政府の債務潜在リスクは緩和された。新たに増やした地方政府特別債のうち2000億元を手配し、中小銀行のリスク解消を支援した。
新たに増えた財政赤字と疫病対策特別国債2兆元について、特殊移転支出メカニズムを確立し、新たに増えた財政資金を一足飛びに直接市・県の末端に交付し、直接企業に恩恵を与え、国民を利した。
中央レベルの支出の伸びをマイナスとし、うち不要不急の裁量的支出を50%以上圧縮した。
改正後の予算法実施条例を公布施行し、契約(不動産譲渡)税法、都市維持建設税法を順調に打ち出した。印紙税法案を全人代常務委員会の初審議にかけた。
生態環境・公共文化・自然資源・緊急救済等の分野で、中央と地方の財政権限・支出責任区分改革の方案を打ち出し実施した。
予算管理の一体化を推進し、全国統一の業務規範・技術基準を打ち出した。
安定の中で前進を求めるという政策の総基調を堅持し、新たな発展段階に立脚し、新発展理念を貫徹し、新たな発展の枠組を構築し、質の高い発展推進をテーマとし、サプライサイド構造改革の深化を主線とし、改革・イノベーションを根本動力とし、人民の日増しに増大する素晴らしい生活の需要を満足させることを根本動力として、システムの概念を堅持し、疫病防御と経済社会発展の成果を強固にして拡大し、発展と安全を更に好く統一し、「6つの安定」(雇用・金融・対外貿易・外資・投資・予想を安定させる)政策を着実にしっかり実施し、「6つの保障」(庶民の雇用、基本民生、市場主体、食糧・エネルギーの安全、産業チェーン・サプライチェーンの安定、末端の運営を保障する)任務を全面実施する。
積極的財政政策は質・効率を高め、更に持続可能とし、経済運営を合理的区間に維持するよう努力する[1]。
支出構造の最適化を強化し、刻苦奮闘・勤倹節約・きめ細かい予算編成を堅持し、政府の倹約の要求を全面実施し、国家重大戦略任務への財政力保障を増強し、貴重な財政資金を最も肝心な分野に用いる。
財政資金の統一を強化し、財政支出の基準化を推進し、予算の制約と業績効果管理を強化し、財政支出の効率向上に努力する。
中央と地方の財政権限と支出責任区分改革要求を実施し、予算管理制度改革を深化させ、税制改革を着実に推進し、現代財政制度・税制の確立を強化する。
地方政府の債務管理を強化し、地方政府の潜在債務リスクの解消にしっかり取り組み、財政の持続可能な発展を促進し、第14次5ヵ年計画の良好なスタートを確保し、卓越した成績をもって中国共産党創立100周年を慶祝する。
上述の総体要求に基づき、以下の6原則の把握を重視しなければならない。
マクロ・コントロール需要と財政リスク防止を統一し、財政の対GDP比率を合理的に計上する。
遊休資金の活用を強化し、適度な支出強度を引き続き維持し、国家重大戦略任務への財政力保障を増強し、科学技術イノベーション支援・経済構造調整の加速・所得分配の調節等方面における財政資金の重要な役割を発揮させる。
地方政府特別債の規模を科学的に計上し、地方政府債務リスクを積極的に防止する。
財政受容能力と企業の困難緩和援助政策の需要を総合的に考慮し、一定の減税・費用引下げの程度を維持し、引き続き小型・零細企業と個人工商事業者に傾斜させ、科学技術イノベーションへの政策支援を増やし、減税・費用引下げの実施効果を一層高め、企業の税費用負担の軽減に努力し、市場主体の活力を奮い立たせる。
直接交付メカニズムの経験を真剣に総括し、好い方法を適時制度に格上げし、直接交付資金の範囲を拡大する。
直接交付資金の管理制度を整備し、資金分配プロセスを最適化し、地方政府の主体責任を実施し、地方の積極性を十分動員し、資金分配の科学性を高める。
直接交付資金の健全な監督・コントロールシステムを整備し、監督管理措置を細分化し、モニタリングシステムを整備し、監督管理を強化し、直接交付資金の分配・交付・使用にしっかり目を配り、財政資金の業績効果を一層高める。
経済発展の質・効率向上を重視し、内需体系の育成・整備加速を支援する。
科学技術イノベーションを大いに推進し、基礎研究への投入を強化し、カギ・コアとなる技術の難関攻略を推進し、自主的なイノベーション能力向上を支援し、現代産業システムの早急な発展を推進し、産業チェーン・サプライチェーンの現代化水準向上を促進する。
外資・対外貿易の発展を支援する。
力を尽くして実施し、力量を慮って実施することを堅持し、財政状況と実際の需要を結びつけて民生政策を合理的に確定し、民生支出のリスト管理を推進し、財政の受容能力の評価を強化する。
健全な奨励・制約メカニズムを確立し、民生支出資金管理の科学性を高める。
再分配メカニズムを整備し、低所得層の最低ライン保障を強化する。
あらゆる手を尽くして地方に対する中央の移転支出の規模を増やし、財政が困難な地域と未発達地域に傾斜させ、基本民生を保障する能力を増強する。
刻苦奮闘、勤倹節約を予算編成で長期に堅持する基本方針とし、党・政府機関の倹約を推進する。
支出構造の最適化に一層力を入れ、予算支出のバルブを厳しくしっかり把握し、一般性支出を一層圧縮し、新たに増やす財政支出を厳格に査定し、効果が低い・無効な支出を削減あるいは廃止し、支出節約の潜在力を深く掘り起こす。
財政資源の統一を強化し、資金の有効な供給を増やし、財政資源の配分最適化を促進する。
2021年の積極的財政政策は、質・効率を高め、更に持続可能にしなければならない。
一方では、マクロ政策の連続性・安定性を維持し、経済回復に必要な支援の程度を維持し、成長安定とリスク防止の需要を併せ考慮し、赤字・債務・支出規模を合理的に計上し、急転換を行わず、タイミング・程度・効果をしっかり把握する。
他方では、政策オペレーション上、更に精確・有効にし、支出構造の調整・最適化に更に大きく力を入れ、政策実施メカニズムを一層整備し、政策の効果と資金の効率を確実に高める。重点は、以下のものが含まれる。
資金の統一を強化し、4つの予算(一般公共予算、政府基金予算、国有資本経営予算、社会保険基金予算)のリンクを強化し、21年度は全国一般公共予算支出を25兆元超(1.8%増)計上する。
財政支出規模は前年度比で増加し、重点はなお雇用・民生・市場主体保障への支援を強化し、国家重大戦略任務の資金需要保障に力を入れ、経済運営を合理的区間に維持するよう促す。
引き続き制度的減税政策を執行し、小規模納税者への増値税優遇等の一部段階的政策の執行期限を延長し、新たな構造的減税措置を実施する。
小規模納税者への増値税の課税最低限を月売上額10万元から15万元に引き上げ、小型・零細企業、個人工商事業者の年課税所得額が100万元に満たない部分について、現行の優遇政策の基礎の上に、更に所得税を半減する。
港湾整備費の徴収を廃止し、民間航空発展基金の航空会社からの空港使用料徴収基準をさらに20%引き下げる。
新たに増える財政力が有限な情況下で、中央財政は中央レベル支出を圧縮し、構造を調整し、地方への移転支出規模を増やす。
地方への移転支出を8兆3370億元(前年度比やや増)計上し、うち一般性移転支出は7.8%増と、伸び幅を昨年度より顕著に高くする。
疫病が有効にコントロールされ、経済が徐々に回復していることを考慮すると、GDP比率を3.2%前後計上(前年度比やや低下)し、赤字規模は3.57兆元(前年度比1900億元減)である。うち、中央は2.75兆元、地方は8200億元である。
このように計上したのは、財政政策の積極方向を体現しているだけでなく、わが国は「バラマキ」式の強い刺激を行わず、質の高い発展を推進するという明確なシグナルを発出し、かつ今後新たなリスク・試練に対応するために政策の余地を残しておくものである。
新たに特別債を3.65兆元(前年度比1000億元減)計上する。
これは主として、既に発行した特別債の規模がかなり大きく、政策効果が今年なお持続するものとみられ、新たな特別債の規模を適切に減らすことも地方政府の法定債務のリスク防止に有益と考えられるからである。
疫病対策特別国債発行は特殊な時期の特殊な措置であり、現在疫病対策等の臨時支出が大幅に減少しており、地方公共衛生等のインフラ建設・基本民生等の支出が、正常なルートを通じて保障を与えることができる。このため、疫病対策特別国債を再発行しない。
これに対応して、特殊移転支出を再び実行せず、正常な移転支出制度の執行に回帰する。
節約は民のためであり、倹約を堅持し、基本民生支出は増やすだけで減らさないことを確保する。
中央レベルの支出の伸びは引き続きマイナスを計上し、不要不急の裁量的支出を一層圧縮し、重点プロジェクト・重点政策性補助も、「厳しく引き締め、圧縮できるものはすぐ圧縮」の原則に基づき査定する。
地方財政も一般性支出を一層圧縮し、更に多く財政資源を捻出して、基本民生の改善と市場主体の発展支援に用いる。
財政資金直接交付メカニズムを一層整備し、資金の管理を厳格にし、資金審査を柔軟にし、資金使用を精確にして、「精確な点滴灌漑」が需要の末端にまで達するよう努力する。
全方位・全プロセスをカバーする予算業績効果管理システムを早急に確立し、業績効果管理を実質的に予算管理プロセスに組み入れ、業績効果管理の結果の応用を強化し、有限な財政資金をうまく完全に用いる。
(4月8日記)
[1] この部分は、本文がゴシックになっている。以下、ゴシックは筆者。
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