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会計制度 中国の会計と税務(2)~外商投資企業への新しい会計基準

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2003年7月23日

2003/08/01 Walker China 8月号 49ページ PDF

会計制度
中国の会計と税務(2)~外商投資企業への新しい会計基準

グローバルスタンダードを目指す中国。会計基準とてその例外でありません。今回は新しい会計基準について、中国ならではの変化をわかりやすく解説します。

前回は、中国の企業会計についての全体像、すなわち、企業会計制度自体に重点をおいてお話しましたが、今回は、少し詳しく、外商投資企業の会計に適用される新しい「会計基準」についてお話しようと思います。

新「会計基準」

① 国際会計基準への準拠:新しい「会計基準」の最大の特徴は国際会計基準(International Accounting Standard:以降IASと呼ぶ)に準拠していると言う点です。日本でも数年前に話題になりました。企業の活動が世界中に跨り、一方投資家の資金も世界中から集まってくるような現在のグローバル化した経済の中で、企業の業績を示す財務諸表を作成する基準がそれぞれの国で異なっていてはなんとも不便ですし、正しい投資判断ができなくなる可能性があります。この問題を解決するために、世界中で、会計基準を統一しようという流れです。この新「会計基準」により中国の会計制度は大枠においてIASと一致したと言ってもいいと思いますし、それはすなわち、大枠において、日本の会計基準と一致したと言ってもよいという事になります。但し、全てを急速に取り入れた結果、実務的には手探りの状態が続いている部分が多く、詳細については、ケース・バイ・ケースで中国の実務が成熟してくるのを待つ必要がありそうです。細部の処理については、常に担当の会計士に問い合わせるか、IASにおける取扱等が参考になるものと考えられます。以下、特徴的な会計処理や、今回の改正での重要変更点等を簡単に記述します。

② 開業費の取扱:開業費とは企業の建設準備期間に発生した人件費、事務所経費等をいいます。従来は、生産経営を開始した時から5年以上の期間で償却するとなっていましたが、生産経営を開始した月に一括償却することとなりました。これにより開業したての企業の費用負担が増加することになります(なお、税務はかわっていません)。

③ 土地使用権の取扱:日本の会計では、土地使用権は無形固定資産に含まれます。しかし、中国では、自社工場建設のために取得したものは、工場建設前は無形固定資産、建設開始後終了までは建設仮勘定、建設終了後は建物等固定資産の一部を構成することとなります(但し、数次に分けて工場を建設する場合には一部を切り分けて処理する事がありますのでご注意ください)。中国では基本的に、土地の私有が認められていないので、土地使用権も建物を利用するための権利の一部という風に捉えているようです。

④ 資産の減損/各種引当金:資産の減損の概念が導入されほぼ、IASに近い形となっております。具体的には、貸倒引当金、短期投資評価引当金、棚卸資産評価引当金、長期投資減損引当金、固定資産減損引当金、無形資産減損引当金、建設仮勘定減損引当金、委託貸付金減損引当金が挙げられています。最近“資産の減損”という言葉を聞くことが多くなりました。特にインパクトの多い点としては、工場の機械や土地といったものは従来価値が下がっても評価損を計上することが無かったのですが、これからは評価損を計上することを検討しなくてはならなくなった点にあります。しかし、一概に、機械の評価と言っても、ほとんどの中古機械について客観的な市場や同様の取引例などはあまりありませんから、この評価については実務的にはかなり難しい判断が要求されると思います。担当の会計士等とよく相談して決めるべきでしょう。

⑤ 貸倒引当金:従来は期末残高の3%を限度として計上できるとなっていたが、これからは、企業が発生の度合いを見積もって計上することとなります。

⑥ 棚卸資産評価引当金:従来は、所轄の財政部門の認可を受けた上で計上できる・・という扱いでしたので、計上していない企業もありましたが、実際の正味実現価格との比較で引当金を計上することとなりました

⑦ 固定資産の減価償却:従来は原則定額法(生産高比例法も可)でしたが、定額法以外にも作業量法、年数総和法(級数法)、倍額残高逓減法等を採用できることとなりました。また、耐用年数も従来は建物等20年、列車/船舶/機械等10年、車/電子設備等5年という最低償却年限がありましたがこれもなくなり、企業が合理的に見積もることとなります。

前回号では会計ソフトの認可を受ける先を税務局としていましたが、財務局に訂正します。

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