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ログイン2003年5月1日
<税務・会計> 中国では来料加工・進料加工といった、加工貿易が広く行なわれています。これらは、輸出を前提とした加工を行なう場合、部材・半製品の保税輸入を認める制度ですが、この応用形として、転廠という制度があります。 転廠取引は、加工貿易の応用形である事から、関税の取扱については、保税措置の適用が可能であることが、比較的明確に規定されています。ただし、転廠に際して増値税がどのように課税されるか、という点については、地域によって扱いがまちまちになっており、非常に理解しにくい状況となっています。ここでは、何故このような不統一な状況が生じるのか。さらには、転廠に関わる増値税の課税方式として、どのような形式が考えられるのかを解説します。 1.転廠の概要 中国では、他国に比べて柔軟な保税政策が採用されており、それがビジネスを行なうにあたっての魅力となっています。 中国の保税政策の一つとして、加工貿易(来料加工・進料加工)が挙げられますが、これは、一般地域(保税区や輸出加工等のような税関監督の特別地域以外の地域)で輸出用の保税加工を行なう制度です。 さらに、加工貿易にあたっては、転廠と呼ばれる制度が認められ、中国内で広く行なわれています。これは、来料加工や進料加工を行なうにあたって、加工が一つの工場では完結しない場合に、一次加工工場が製造した製品(半製品)を、保税のまま中国内の二次加工工場に移送する制度です。加工貿易というのは、中国の企業が、製造した製品・半製品を輸出することを前提として、部材・半製品を保税で輸入する制度ですので、加工した製品を中国内で販売することは厳しく制限されています。ただし、最終的に輸出される製品を製造するために、二社以上の加工工場が関与する必要がある場合、図1のように輸出と輸入を繰り返すことは、輸送コスト・時間の無駄になります。 <図1>
その為、図1の(2)の半製品輸出と、(3)の半製品輸入というステップを省略し、図2のように加工貿易企業BからCに対する国内移送を認める制度を転廠と呼びます。 ただし、国内移送とはいっても、保税品の国内移送であるため、税関の事前許可が必要ですし、輸出入通関手続きも必要となります。つまり、加工貿易企業Bが、C社に対して半製品を移送した段階で、図1の(2)に相当する輸出が行なわれたものとして輸出通関手続きを行ない、また、C社が半製品を受け入れた段階で、図1の(3)に相当する輸入が行なわれたものとして輸入通関手続きが行なわれることとなります。 転廠取引は、物理的には中国内取引ですが、通関上は輸出入に準じた手続きが行なわれるという特徴があります。 <図2>
転廠取引は、加工貿易企業の便宜性確保のために、加工工程にある半製品の輸出入のステップを省略し、国内移送を認める制度ですので、関税上は保税措置が採用されます(勿論、税関の事前認可を取得した場合に限定されます)。では、増値税の扱いはどのようになるのでしょうか。 2.輸出加工取引に関する増値税課税と輸出還付の特徴 転廠に関わる増値税の課税方式については、困ったことに地域によりまちまちであり、統一した解説を行なうことができません。では、なぜこのような事態が生じるのでしょうか。この点を理解するためには、まず以下の事項を理解する必要があります。 (1) 増値税の輸出還付 ただし、このゼロ税率の適用が遵守されず、輸出還付政策が二転三転したことが増値税の問題点となっています。現在では、標準税率である17%が適用される財貨についての還付税率は、13〜17%となっており、17%の還付税率が適用される一部の財貨を除いては、還付の欠け目が生じることとなります。 さらに、還付税額の算定にあたっては、輸出FOB価格をベースとした上で、還付の欠け目(還付税率が13%の場合は4%)を掛け合わせて、「還付しない額」を先に確定する、という変則的な方法が採用されています。このため、本来の還付の掛け目は、還付税率による欠け目以上に大きくなることとなります。 <例> 以上の通り、販売利益相当分が、還付しない税額の計算に算入されてしまうため、実際の還付額は税率の差額以上に大きくなります。ただし、本文では、便宜上この点を無視し、還付の欠け目は、標準税率である17%から、標準的な還付しない税率である13%を控除した4%として解説します。 (2) 加工貿易に関わる増値税の課税 来料加工:原材料が全て輸入により調達され、かつ、加工後の製品が全数量輸出される。 増値税関係規定では、来料加工と進料加工では、以下のような対応の違いが生じています。 ・ 来料加工:免税 つまり、原材料が全数量輸入(無償提供)され、かつ、製品が全数量輸出される来料加工では、原材料は、中国での一時的な加工のために輸入されるに過ぎず、増値税も理論上免税となるのが妥当と判断され、それが増値税の課税政策においても反映されています。ただし、進料加工は、原材料の大部分が輸入され、かつ、製品の殆どが輸出されるものの、国内調達原材料の使用、製品の国内販売も一部行なわれます。よって、形態が来料加工より複雑となるため、増値税の扱いについても、課税の要否の判断を所管の税務局に委ねているものです。このため、進料加工については、地域によって増値税課税の対応が異なってきます。さらに、転廠取引は、場合によって税務局の所管を跨ぐ事となりますので、状況がより複雑となります。 (3) 輸出加工取引に関する課税と還付のタイミング ● 先徴収・後還付方式 ● 免税・控除・還付方式 ● 不徴収・不還付方式 「転廠に関わる増値税の課税方式について(2)」へ続く
(03年5月6日記・3,841字) |
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