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中央金融工作会議の蹉跌(2)

中国ビジネスレポート 金融・貿易
田中 修

田中 修

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2003年2月10日

<金融>
中央金融工作会議の蹉跌(2)

田中修

(「中央金融工作会議の蹉跌(1)」から続く)

人民銀行9大分行制の廃止

1月20日付け、1月27日付け21世紀経済報道によれば、中央金融工作会議のもう1つの争点として、人民銀行9大分行制の廃止があったという。

1998年、人民銀行は計画経済期の行政区画に基づいて設置されていた31の省クラス分行を廃止し、省にまたがる9大分行を設置するとともに、20の金融監督管理弁事処と20の省都都市中心支行を設置した。この結果、現在人民銀行の機構は、総行(本店)―(大区)分行―省都都市中心支行―県支行となっている。これは、人民銀行の独立性を強化し、地方政府の関与を防止し、地方金融機関の監督管理を強化することが狙いであった。

ところが同紙によれば、5年がたち、1人の大区行長は率直に次のように述べたという。「過去省クラス分行があったときは、年越しの際に省長が行長を伴って上京し、資金集めに奔走したものだ。地方政府は人民銀行を自分の一部門と見なしていた。大区が設立されて以後は、このような状況が発生することは少なくなった。しかし、金融監督管理について、地方政府が積極的に協力しなくなり、金融監督管理を有効に行うことが難しくなった」。また、人民銀行内のある人物は、「9大区行の設置は、金融政策と銀行監督管理が混在していた時代の産物だ。もし、中央銀行が機能を分離するのなら、金融政策は全局的なものであり、監督管理は市場に密着していなければならない。この意義からして、大区行の廃止は、自然の選択なのだ」と語った。さらに、ある専門家は、「当時の改革は、出発点はよかったのだが、4年運営してみて理想に過ぎた面が暴露された。特に、権限と責任の区分において、分行・金融監督管理弁事処・省都都市中心支行の相互関係、職責の区分の面がしばしば混濁していた」と指摘したという。

もし、人民銀行の機能分離が実現すれば、それは人民銀行の独立性強化とともに、9大分行制の廃止にも連動することになっていたのである。

2002年の金融状況

1月13日、人民銀行は、2002年の金融状況を発表した。これによると、2002年末でM2の伸びは、対前年度比16.8%増、M1は同16.8%増、M0は同10.1%増であった。

金融機関の預金額は、18.3兆元、対前年度比18.1%増、うち個人預金は8.7兆元、17.8%増であった。貸出し残高は、14兆元、15.4%増であった。外貨準備は2864億米ドル、34.9%増であった(2003年1月13日人民網北京電)。

不良債権については、2002年末で対前年比951億元減少、不良債権比率は4.5ポイント改善したとされる。これを4大国有商業銀行別に見ると、5分類方式では、建設銀行15.36%(対前年比3.99ポイント改善)、工商銀行25.52%(同4.26ポイント改善)、中国銀行22.37%(同5.14ポイント改善)であり、農業銀行は対前年比4.72ポイント改善(2001年末は42.12%)したとしており、不良債権比率は37.4%程度と想定される(2003年1月27日付け21世紀経済報道)。

全国銀行・証券・保険工作会議(1月24日)

会議では、温家宝副総理が2003年の金融工作の主要任務について指示を行った(2003年1月26日新華社北京電)。

(1)銀行の不良債権比率を引続き引き下げること。

(2)金融改革を着実に推進すること。

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