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税関査察に対する企業の対応のあり方 ―税関査察条例の改正を踏まえて

中国ビジネスレポート 金融・貿易
劉 新宇

劉 新宇

有料

2016年10月21日

近年、中国税関の査察はますます強化されており、通関業務に直接関わる事項だけでなく、会計、事業計画、生産ライン、在庫、調達、販売などもその対象とされているが、特に、企業の会計、物流、生産に関する伝票・帳簿に対する抜取検査の増加が顕著となっている。一方、税関トラブルが頻発する背景としては、企業側の対応不足により、税関査察に関する制度や法令、実務運用などに関する知識が必ずしも十分ではなく、不適切な対応となってしまっていることさえあることが挙げられる。

中国税関による査察の関連法令は主に「税関査察条例」(1997年1月3日より公布・施行)となるが、既に約20年が経過しており、この間の中国には社会・経済等の多大な変化・発展があったことから、法実務においては当該法令で対応しきれない種々の問題が生じていた。これを受けて、これまで数年余にわたり改正作業が行われてきていたが、2016年7月1日、「中華人民共和国税関査察条例の改正に関する国務院の決定」(以下「決定」という。)が公布され、2016年10月1日より施行されることとなった。この「決定」の施行により、税関査察条例に対しては、①税関査察の実行を保障し、これを支える基本的な措置の増設、②税関査察手続の規範化・合理化、③査察における税関の権限と行いうる措置の明確化、④違法行為に対する峻厳・寛大の両面を兼備した処罰の徹底、これらを主な内容とする修正が加えられることとなるが、以下本稿では、この法改正をめぐり企業において特に注意すべき点につき論ずるものとしたい。

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