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経済関連工作会議のポイント(1)

中国ビジネスレポート マクロ経済
田中 修

田中 修

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2003年1月15日

<投資環境>
経済関連工作会議のポイント(1)

田中 修

2002年12月9、10日に開催された中央経済工作会議に続き、経済関連の各種工作会議が次々に開催されている。以下、主要なポイントを紹介することとしたい。

1.全国計画会議(2002年12月13、14日)

温家宝副総理は、マクロ経済政策の重要問題として、次の4点を強調した(2002年12月15日新華網北京電)。

(1) 経済の安定・高成長を維持する。
「2003年もマクロ経済政策の安定と連続を保持しなければならない」とし、「国内市場の供給状況に大きな変化がなく、社会需要の安定増加メカニズムが不完全な状況下においては、一定規模の長期建設国債を引続き発行することは、非常に必要なことである」と積極的財政政策の継続を強調している。

(2) 経済構造調整の戦略的調整を推進する。

(3) 改革開放を堅持する。

当面の重点は、農村改革・企業改革・金融改革・政府機構改革に置くことが明示されている。

(4) 経済生活における突出した矛盾と問題の解決に力を入れる。

具体的には、次の3点が挙げられている。

労働集約型産業・各種サービス業、中小企業・非公有制経済、外資の役割が重視されている。

また、曾培炎国家計画委主任は、2003年の国民経済と社会発展計画の重点として次の9項目を指摘した(2002年12月13日新華社北京電)。

(1) 農業と農村の経済発展に対する支援を強化し、農民の所得増加に尽力する。
農村住民の平均所得の伸びを4%以上とする目標が掲げられている(2002年12月14日新華社北京電)。

(2) 国債をうまく運用し、構造調整と経済発展を促進する。

(3) 再就職活動に力を入れ、就業機会の増加に努める。

(4) 工業競争力を高め、サービス業の発展を加速する。

(5) 西部大開発を積極的に推進し、地域経済の調和的発展を促す。

(6) 市場主導の改革を堅持し、投資、価格、綿と食糧流通、独占業界で管理体制改革を深化させる。

(7) 誘致政策と海外進出政策を同時に進め、経済技術交流や協力を推進する。

(8) 市民の消費能力を育成・強化して、消費需要による経済発展を促す。

(9) 各種社会事業を発展させ、持続的発展能力を更に強化する。

2.全国経貿工作会議(2002年12月16−18日)

【2003年の重点活動】

李栄融国家経貿委主任は、2003年の重点活動として、次の8点を指摘している(2002年12月19日付け人民日報)

(1) 経済運営の総合的な調整を強化し、経済成長の質と効率を高める。

(2) 企業の改革と再編を推進し、国際競争力を備えた大企業・大企業集団を育成する。

(3) 中小企業を積極的に支援し、様々な所有制経済の共同発展を推し進める。

(4) 企業の技術進歩を促し、工業構造の高度化と全体としての素質向上を推進する。

(5) 資源節約型経済と環境保護を推進し、経済や社会の持続的発展を促す。

(6) 流通分野の現代化を推進し、更なる市場開拓を行う。

(7) WTOルールを守り、対外貿易活動のレベルを高める。

(8) 市場経済秩序の整備を行い、生産管理の安全性を高める。

また、李主任は、「2003年の経貿工作の主要奮闘目標は、年間売上高が500万元以上の企業の生産額(付加価値ベース)を10%前後、設備更新・技術改造投資を10%以上、消費財小売総額を実質で10%前後増やし、工業企業の経済収益を2002年より増やすことである」と述べている(2002年12月19日付け証券時報)。

【国有企業改革】

 これとは別に、呉邦国副総理は、12月16日会議の一部代表と会見し、国有企業の改革・発展について次の指示を行った(2002年12月16日新華社北京電)。

(1) 国際競争力のある大企業・大集団の発展を堅持すること。

(2) 構造調整を引続き推進し、産業の高度化を促進し、新しいタイプの工業化過程を加速すること。

同時に、呉副総理は2003年の国有企業の改革・発展の任務は非常に重大だとし、企業と社会の安定の維持に努力するよう求めている。具体的には、てはテンポをよく把握し、企業・労働者の受容能力を十分考慮すること、困難な労働者大衆の生産・生活問題を高度に重視すること、を強調している。

もともと、呉副総理は99年以来、朱鎔基総理の国有企業急進改革路線に対し、常に慎重論を唱えてきた。今回の会談でも「国有企業は既に総体として苦境を脱し、国民経済の速く健全な発展に積極的な貢献を行っている」との認識を示し、「今後は国有企業の持続的発展を可能とするための問題解決に力を入れるべきだ」としている。そして、改革の深化よりは企業・社会の安定に重きを置くのである。この両者の見解の相違が、ここしばらくの国有企業改革の停滞の最大原因といえるのではないか。呉副総理の主張には、李鵬総理時代以来の、大型国有企業・国有大企業集団中心主義の政策思想が色濃く残っているのである。

なお、今回の会議では、李嵐清副総理が指示を行い、呉儀国務委員が賀信をよこしている。

3.全国外経貿工作会議(2002年12月23−25日)

まず、石広生外経貿部部長は、2002年までに貿易額を2000年の4倍に引き上げ、貿易大国から貿易強国への転換を図りたいとする。このためには、2020年の貿易額が約2兆米ドルに達することが必要であり、この数字は現在の世界最大の貿易国の貿易規模にほぼ匹敵すると指摘している(2002年12月23日人民網北京電)。

そして、2003年の対外経済貿易政策については、次の諸点を挙げている。

(1) 2002年の高いベースを基礎に更に対外貿易を増加させ、輸出入の基本的な均衡を実現する。

(2) 労働集約型産品や多くの商品の輸出を更に拡大し、機械電器産品・ハイテク産品の輸出を加速し、ブランド輸出産品の育成に力を入れ、技術・付加価値を高める。

(3) 市場の多元化を加速し、各種企業の輸出拡大を支援し、貿易方式の多元化を推進する。

(4) 外資を吸収する新方式を積極的に探索し、サービス業の対外開放を段取りをつけて推進し、国家クラスの経済技術開発区の運営をうまく行い、外資の投資のソフト面の環境を更に改善する。

(5) 海外進出戦略の推進を加速する。

(6) 対外投資協力がスムーズに推進されるよう努力する。

(7) サービス・監督を強化し、海外派遣労働者の合法権益を保護し、相互投資保護協定を積極的に締結する。

また、石広生部長は、外経貿政策の連続性・安定性を強調し、WTO加盟に対応する政策をしっかり推進し、マルチの貿易交渉にも深く参与していくことを述べている。なお、呉儀国務委員は代表団と別途会見を行っている。

4.全国財政工作会議(2002年12月25日)

【2003年の重点政策】

項懐誠財政部部長は、2003年の財政政策の指導方針・全体的要請について、次の4項目を指摘している(2002年12月26日付け人民網日本語版)。

(1) 内需拡大方針の堅持と積極的財政政策を引続き実施することを根幹として、政策の安定性と一貫性を保ち、国民経済が安定的に、やや早いペースで成長するよう促す。

(2) 財政支出構造の調整を積極的に行い、社会保障、国民の生活改善、農業、西部大開発といった重点的支出項目に対する保障能力を高める。

(3) 財政収支管理を厳格化し、収入増加と支出削減に努力し、財政と経済の秩序を整理・規範化する。

(4) 引き続き、財政改革を進展させ、予算の決定・管理制度をより充実したものにする。

2003年の重点政策としては、次の6項目が挙げられている。

(1) 経済発展の保証と、積極的財政政策の継続実施。

(2) 社会保障、給与支払といった重点支出項目の保証と、貧困層の生産・生活問題の解決を通して、安定した社会を実現。

(3) その他重点事業支出項目の保証と、経済・社会の調和のとれた発展へのバックアップ。

(4) 徴収管理の徹底による財政収入の安定的増加の確保。

(5) 節約の励行と浪費の厳禁。

(6) 財政の整理監督の徹底と、財政経済秩序の規範化。

こうみると、2003年も積極的財政政策が推進されるように思われるが、会議の中で項財政部長は財政赤字の抑制をかなり強調した模様である。具体的には、2003年の支出は社会保障や給与支払、農業支援など法規や関連政策に基づく支出以外は2002年と同規模・水準とし、中央財政の一般経費の伸びをゼロとすること、地方財政についても一般的経費は厳格に抑制すること、財政収入は経済成長率より高めの伸びに調整すること、を指示しているのである(2003年1月2日付け国際金融報)。

【財政改革】

また、項部長は2003年以降の一定期間における財政改革の任務は、「1つの目標、2つのカギ、3つのポイント」に集約できるとしている(2003年12月25日新華社北京電)。

(1) 1つの目標
公共財政改革を進展させ、数年以内に充実した公共財政システムを構築すること。

(2) 2つのカギ
GDPに占める割合を発展途上国の平均水準までに高める。

システム・構造・技術の各方面の改革を全面的に成功させる。

(3) 3つのポイント
せる。

低所得層の生活を保障し改善する。

発展を実現する。

さらに、2003年度における改革任務としては、テム改革の一層の充実、テム改革、行政管理システム改革といった重要システム改革へのバックアップと協力、の3点を具体的に指摘している。

なお、李嵐清副総理は会議の中で財政管理改革を引続き深化させるよう強調しており、具体的には、部門予算改革、資金受払いの国庫集中、予算内外資金の改革、「小金庫」の整理・廃止、政府購入制度の推進、政府の公共工程管理の規範化、財政移転支払制度の一層の規範化、国有資産の価値維持・増加のメカニズムの健全化等を指摘している。また、朱鎔基総理は別途代表団と会見し、なる発揮、革(農村税費用改革、財政支出管理改革、財政活動の情報化)を完全に行う、。

(1月15日記・4,382字)
財務省財務総合政策研究所
客員研究員 田中 修

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