こんにちわ、ゲストさん

ログイン

【心理学とロジックで勝つ中国ビジネス 】Vol.3 日本人は料理を、中国人は料理を食べている自分をアップする

中国ビジネスレポート コラム
江口征男

江口征男

無料

2013年10月3日

Twitter、Facebook、微博などのSNSで、食事の写真を投稿する場合。日本人は料理だけが映っている写真を投稿し、中国人は料理を食べている自分(または友人)の写真を投稿します。この日本人と中国人の行動特性の違いを理解することは、日系企業が中国人消費者に対してマーケティング活動を行う上での大きなヒントになります。

この行動の違いは、日本人と中国人の2つの趣向性の違いから生じていると私は思います。

1つ目は、成功を勝ち取るために取る戦略の違いです。日本人は「出る杭となり村八分となることを避ける」ことを優先するのに対して、中国人は「機会を逃さず出る杭となる」ことを優先します。

例えばこの戦略の違いは、多勢が参加する会議やセミナーの質疑応答の時間に手を挙げて発言するかどうかにも現れます。「質問したいことはあるけど、恥をかくかもしれないので辞めておこう」と考えリスクを避ける日本人と、「せっかくのチャンスだから自分が聞きたいことを、今聞かないと損だ」と考える中国人との違いです。100点を取らないと自慢できない日本人に対して、50点でもどうどうと自慢できる中国人の違いとも言えます。食事の投稿写真に自分も一緒に入るのであれば、自分の写りが相当いい写真でないとダメだとシャイな日本人は考えてしまうのでしょう。

もう1つの趣向性の違いは、「モノ自体に価値を見いだす日本人」に対して、「モノ自体の価値よりは、それをヒトに紐づけて価値を見る中国人」との違いです。モノよりもヒトやヒトとの付き合いに価値があると考える中国人。モノはいつか壊れるかもしれないし、誰かに盗られるかもしれない。壊れたり盗まれたりしなくても、モノの固有の価値以上に化けることはない。一方、ヒトとの信頼関係は(信用が失われなければ)一生崩れないし、無限の可能性を秘めている。もし無一文になったとしても、ヒトとの信頼関係があれば、生きていける、ということなんだと思います。ある意味中国人の考え方の方が、私個人にはしっくりきます。

ヒトが主で、モノはあくまでも従。ヒトとの関係を深めるための触媒としてモノを考えているとも言えるでしょう。ヒトに見せるためにモノを買う、ヒトと一緒に楽しむためにモノを買う。買物も何を買うかよりも誰と一緒に買ったか、旅行もどこに行くかよりも誰と行くかが重要なのです。食事も友人・知人との人間関係を深くするための手段に過ぎません。微博などのSNSツールに友人・知人と一緒に写った写真を投稿することで、他の知り合いにも自分の友達関係をアピールするとともに、一緒に写真を撮った友人にも「私は、あなたのことを大切にしていますよ」というメッセージを送っているのです。

そしてヒトの中でも中国人が一番好きなのが「自分」です。日本人の中でも自分が一番好きなヒトは少なくないと思いますが(私も実はその1人ですが)、それを堂々とアピールすることは憚られるでしょう。でも中国人はどうどうと自分好きをアピールできるのです。それは携帯の待ち受け画面やPCのデスクトップ画面を見れば分かります。年齢に関わらず半分以上の中国人が、自分の写真にしているからです。ただし、中国人は自分自身のことが大好きで、堂々とアピールするくせに、他人からの評価もすごく気になるという生き物ではあるのですが。

こういう中国人消費者の趣向性を理解すれば、商品の品質や機能だけをアピールしても、なかなか中国市場ではビジネスを広がらないことが分かるでしょう。何年か前に流行ったVANCLの「我是凡客」キャンペーンではありませんが、商品を通じて大好きな自分自身をアピールできるようなアプローチや、友人知人とのコミュニケーションを増やすためのネタを提供するような販促を混ぜることで、中国では拡販の可能性が高まるのです。中国人消費者の視点で考えた時に、自社の商品が自分自身のアピールに使えるか、または友人との関係強化に使えるようになっているか。中国のB2Cビジネスではこの視点がキーになると思います。

ユーザー登録がお済みの方

Username or E-mail:
パスワード:
パスワードを忘れた方はコチラ

ユーザー登録がお済みでない方

有料記事閲覧および中国重要規定データベースのご利用は、ユーザー登録後にお手続きいただけます。
詳細は下の「ユーザー登録のご案内」をクリックして下さい。

ユーザー登録のご案内

最近のレポート

ページトップへ